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鳳凰伝説の死海文章《ダイドシースクロースザフェニックス》  作者: 百鬼周作
転生からの学園生活編
1/1

フェニックスのエル

遅くなってしまい、すみません。

これから毎日、上げられるかわかりませんが、頑張っていきたいとおもいます。

 教会の中も多くの子供たちで溢れ、そろそろ儀式が始まるといった感じになってきた。暇を持て余したフラムは魔法学の本を読み耽っていた。この世界の魔法は大きく分けて、炎、水、風、雷、この四つとなり後はすべて派生型となる。


 そして、魔力量は先天な物と鍛錬によって鍛えることができる二通りある。フラムは能力的には問題なく、家のメイドからは神童なんかと言われたこともあるが、本人はそれに満足するはずがなかった。


 この五年彼は家族に気付かれないように魔力の鍛錬をこなしてきた。もちろん座学も。そのため、今では同年代の子たちよりも頭二つぐらい抜けている。


「何の本を読んでるの?」

「魔法力学の保存則についてだよ。ところで君は?」

「私?私の名前はアリア・フローレス。アリアって呼んで。あなたは?」


 いきなり声をかけてきた女の子は金髪の好奇心旺盛な子だった。フローレス家。昔は有名な聖職者の家系だったが、ここ数年で地位を落とされた。その理由については箝口令が敷かれたため、調べることができなったからフラムはよく覚えていた。


「僕の名前はフラム・S・フェニックス。フラムって呼んでくれていいよ」

「えー!!あのフェニックス家の嫡男!?お、お会いできて光栄です」


 いきなり畏まる彼女を見てフラムは思わず面白くて、かわいいと思った。


「いいよ、そんなに敬わなくても、僕自身は初代様みないな力があるわけじゃないし」

「フラム様ならきっと大丈夫よ」

「様はいらないよ、そうなってくれるといいな」


 アリアからの猛烈なアプローチを受けることになっていると、辺りが暗くなり、まるで当時でいうところの映画が始まる直前のようだ。


 先程まで騒がしかった会場も自然と静かになり、神父の壇上での足音のみが教会のホールの響きわたる。


「これから、市民の子供たちの洗礼を始めます。それでは手を組み私の後に続いて復唱しなさい」


 平民の子供たちが先に洗礼を受ける。すでにこの教会には五万人以上が収容されており、その九割が平民である。そのため、洗礼はその大多数の平民の子供たちを先に終わらせる。


後、残りの貴族や大商人の子供たちを一人ずつ行い、平民の子に見せつけ、絶対的な権力を叩き込ませるのが裏の目的のようだ。



「それでは始める」


復唱を開始すると同時に一面に光の粒子が子供たちのいる場所へと降り注ぐ。その神秘的な光景にフラムは目を奪われていた。


「神の恵みを受けし、我ら民は」

『神の恵みを受けし、我ら民は』


「主の前では等しく主の子である」

『主の前では等しく主の子である』


「大地を守り、平和を築くための恩恵を」

『大地を守り、平和を築くための恩恵を』


「この身に授けたまえ」

『この身に授けたまえ』



 すると、復唱が終わると同時に眩しいほど輝いていた光の粒子は子供たちの中へと取り込まれていく。すると先程と同様の暗闇が訪れる。しかし、子供たちの声がホール内に響き様々な声が聞こえて来る。



「やった!私のスキルは『裁縫』です。これで、家族の手伝いができる」


「俺は〈水魔法〉だ。これで、学園にはいれるかもいれねえ」


「スキル一つだけど、これじゃ使えないよな」



下の階からは欣喜雀躍する者、意気消沈している者。世界が本当に平等ではないことが上から眺めるフラムは、前世の記憶から苦い思い出が蘇りそうになる。


 そして、その喜びを分かち合える相手が少数であることもよりはっきりと出る。これが現実、わかっていても辛いものがある。



「静粛に願います。これから貴族様方による洗礼をとり行います。マレイス・カレイド前へ」

「はい」



 次から次へと貴族たちの子供たちが洗礼を終えていく。やはり、貴族だといえるのだろうか、ほとんどが魔法やスキル持ちが多い。


 そしてついに、フラムの番がやってくる。



「次、フラム・S・フェニックス」

「はい!」


 壇上へと上がり、膝を付く。フラムの名前が出た瞬間、会場が少しざわめく。それでも、フラムは集中していた。そのまま手を組み、祈りはじめた。




◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



 一通りの儀式の手順を終え、目を開けると、フラムがいた場所は教会ではなく、赤い祭壇だけがある白い空間にいた。



「ここは、差し詰め神の祭壇ってところかな」

「こんにちは、斎藤翔様。いや、今はフラムとお呼びしたほうがいいでしょうか」

「フラムでお願いします。もうこっちの世界にも慣れてきましたし」



 祭壇の上には火の粉がちらつかせ、特徴的な火に纏われた尾、翼、鶏冠を揺らしながら降りてきたのは炎神の使い、フェニックスだった。



「洗礼の儀式にあなたと話したいと考えておりました。フラムあなたは初代とよく似ている」

「初代と?」

「ええ、レーモンドは正義と人情に篤い人でしたよ。あなたも実際そうでしょ?」

「そうですね。弱い人をほっとけるような最悪な奴ではないと自分でも信じていますよ」



 それから、フェニックスは楽しそうに、まるで母のような趣で歴代の当主について語っていた。本題に入るまでには大分時間が経ったが。



「フラム、あなたに私からと主からの伝別があります。是非、受け取ってください」

「ありがとうございます。でも、いいのですか?普通の魔法でも通じそうなものですが」


 フラムがそう言うと、先程とは打って変わり、申し訳なさそうに頭を垂れて謝罪の念を伝えてきた。



「すみません。今回の件について話すことを許可されていないのです。また次にお会いした時に説明できるとおもいます」

「…分かりました。ところでフェニックス様って名前があったりしないのですか?『フェニックス』って種族名みたいなものなだから呼びにくいなって、思って」

「あるにはありますよ。それこそ初代が『エトルリア』と呼んでいましたよ」

「じゃあ、略して『エル』でいいですか」

「ええ、構わないですよ」


 少し名前を呼んで貰い嬉しそうにするフェニックスことエル。フラムは少し落ち込んだ雰囲気を和ませることができて安堵する。


「そろそろ、行かねばならない。これからもこの世界のためによろしくお願いします」


 白かった空間は終わりを告げるが如く、だんだんと闇へと閉ざされていく。そしてエルは羽ばたき炎を吹き上げ羽ばたきながら、消えていく。


「はい。任されました」


フラムは小さく返事をして再び目を閉じ自分の中の闇の中へと引きずりこまれていった。



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