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赤いイヤフォン  作者: ami.
6/11

6話

 水曜日の朝の交流はあるから何だかんだ続いている。


 おすすめのCDを貸してもらい返してもらうと違うCDをおすすめしてもらい……というの遣り取りが続いているのだ。


 ーーあの少し不機嫌ように見えた日の事もの曲を勝手にかけたのが行けなかったかと思い尋ね炊けど、別に構わないって言われただけだからな。


 絢が知っている橋津くんのことは、


 静かな時間が好きな事や彼静かなゆったりした音楽が好み。

 早く帰るときはバイトしている。

 学校へはチャリ通で帰り道の図書館に寄るのが気に入ってるコース。

 現代国語は好きじゃないけど英語は得意

 甘いものは苦手、でもコーヒーなどの苦いものも好きじゃない。

 

 どんな小さな事でも彼について知れる事が、週を重ねる毎に増えていくのが絢はただただ嬉しかった。


 沙紀はそんな絢の様子に気づいているのか、「相変わらず橋津のこと見てるね〜」とからかっては来るが「好きなんでしょ?」っと言うのを辞め、何か絢から言ってくれるのを待ってくれているようだった。

 絢自身も心臓に悪いこの気持ちを持て余していたが、彼女になりたい!という強い思いはないように思っていた。


 ーーただ、このまま朝のあの穏やかな時間と橋津くんのほのかな笑顔を見ていたいな。


 絢はこのままの関係でいたいという思いであってか、周りが言うような一般的な恋という感情には当てはまらない気がした。




 放課後の下校放送後、日誌を埋める絢に「そういえば、今日のお昼の絢の選曲よかったね」と何か含むような笑顔を向けて来る。絶対感づいていると思いながらも、決定な事は言わないし絢の気持ちも決定的ではなく何も返せないでいた。

 流石に何も言わない彼女に痺れを切らしたのか「水曜に早く登校している事に関係あるのかな?」と確信をつくいてきて、「日誌出してくるね!」っと思わず書き終わった日誌を掴み、絢は職員室に逃げ込んだのだった。


 部室の鍵も一緒に持ってきてしまったので、結果的に放送室に舞い戻ったのだが沙紀はおらず鍵を閉めてから荷物を取りに行ったのであろう教室に追いかける事にする。


 ーーはあ、絶対にあの様子だと気づいてるよね。


 絢は彼女にどう話そうっと考えていると、教室に後少しというところで開いたまま扉から沙紀の笑い声が漏れていることに気づいた。


 ーーもしかしてこの時間に残っているんだとしたら……


 はやる気持ちを抑えて教室を除きこむと、案の定いつもの残っていたのだろう橋津と沙紀が話していたようだった。




 絢は心臓がズクンズクンち波打つのを感じた。


 自分だけの特別に感じていた彼が朝のあの時間と同じように穏やかに沙紀と話していたからだ。


 そして整った彼と美人の先が並ぶと、チンチクリンの自分とは違いとてもお似合いに見えた。話している内容までは聞こえないが沙紀も楽しそうに話している。


 そして次に瞬間、絢の心臓は氷水をかけられたかのよう感覚に陥った。


 ーーあっ、あの顔。


 彼があの頬をかすかに緩める笑みを先に見せていたのだ。


 


 いつからだったのだろうアレを見せてもらってえいるのは自分だけでないかと自惚れていたのは、


 アレは自分だけに特別だと思い上がっていたのは、


 ただ自分が特別に思いたかっただけなのかもしれない。


 そう思うたかったからか、そう見えたのかもしれないし。


 ただ何処かが痛くて痛くて仕方が無かった。

 キリキリ痛むのにそれを止める事も出来ず、目が離す事も出来ずに痛みが増すだけだった。すると彼がもう一度微かに笑ったのが見てとれた。

 

 気づけば走ってその場を離れており、彼女の頬には気づけば濡れていた。



 ーー今ようやく分かった。


 ーーああ、私は彼に恋してたんだ。

 

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