番外編 ワールズレコード002:レベルシステムとマナプール
このお話は《第一章5話》少し後のできごとです
「そういえばさ、なんで魔物を倒すとレベルが上がったりするんだろうね?」
「…………」
トリアのその言葉に、思わず書類から目を離して振り向いてしまう。
「あれ、どしたのおっちゃん?」
「お前……お前マジか。冒険者やりながらそれは流石にどうかと思うぞ……」
「え!? ……ふふん、まぁ多少はね?」
え、なんでコイツ『まんざらでもない』って顔してんの?
…………あっ!
「いや言っとくけど『知らないのに冒険者やれててすごい!』とかそういうことじゃねぇからな!?」
「え!? ちがうの!?」
違ぇに決まってんだろ!
どんだけポジティブなんだよ!
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番外編 ワールズレコード002:レベルシステムとマナプール
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「あーとまずはそうだな……『レベル』ってのが何を現してるかは知ってるか?」
「ふふん、それぐらいわかるよ~! レベルが高いほど強くなったーってことでしょ?」
「いや、そりゃまぁそうなんだが……」
おい大丈夫かコレ、俺の手には余るんじゃねぇのか?
すこぶる不安になってきたぞ……。
「まず『レベル』ってのはだな、こうなんつーか……まぁ簡単に言っちまえば『魂の強さ』を表す数値ってことなんだよ」
「たましいのつよさー?」
うわ、ものっそいキョトンとしてやがる。
こいつホントにちゃんと学生やれてたんだろうな……?
「魔物の力の源が、『魔素』と呼ばれるものだってのは知ってるな?」
「うん、それぐらいなら知ってるよ!」
「よーしよし。んでその魔素の一部がだ、魔物との戦闘の際にこう……人の体内に入り込んで、そいつの魂を汚染するんだよ」
「え!? なんかヤダよそれおっちゃん!!」
いや、俺に言われてもなぁ……。
「まぁいわゆるところの、攻撃対象へのマーキングだな。汚染が大きくなれば影響も出るし、戦術的に言えばヘイト管理とかその辺に関わってくるからちゃんと覚えとけよ」
例えば汚染が大きいと魔物の感知範囲から逃げ切るのが難しくなる。
強い魔物ほど魔素の影響は大きくなるからな。
『魔王級の魔物からは逃げられない』なんて言われるのも、それが理由だ。
ちなみに言えば、回復魔法や強化魔法なんかで間接的に戦闘に参加したヤツらもマーキングの対象になったりするんだが……。
ま、コイツにまとめて説明しても覚えきれんだろうからな、端折っとこう。
「あ、でも魔素って魔物を倒せば浄化されるんだよね?」
「おぉ、そいつは知ってたか。それなら話が早い」
浄化っつっても全部が全部消えてなくなっちまうワケじゃあないが、今はその辺のアレはいいだろう。
「もちろん魂を汚染してた魔素も同じように浄化されるんだが……この時な、魂の中で浄化された魔素は体外へは出て行かず、そのまま魂へと吸収されちまうんだそうだ」
「え!? それ大丈夫なの!?」
「今んとこ、致命的に悪い影響ってのは報告されてねぇな。むしろその過程によて魂の力が大きくなる、って話なんだよ。その一連の流れを確か……」
えーっと、なんだったっけな。
「そうだ『エクストラ・クロス・プリミティブ』だったか。通称『EXP現象』つってな。お前も『あの魔物はEXPが多い』なんて風に使ったりするだろ?」
「あー、あれそういう意味だったんだー」
「んで、それによって変化した魂の大きさを数値化したものが……」
「『レベル』ってわけだね! なるほど~」
うんうんといった様子で頷くトリア。
……完全に初めて聞きましたみたいな顔してるけど、それ学校でも絶対習ってるはずだからな?
「レベルといやぁ、手の甲の紋章もなぁ……。わかりやすく視認化してくれるってのはありがたいんだが、いかんせん有料てのが……」
「結構なお値段するよねー? しかも月額……必要なものだけどさー」
まぁ自動でレベルを判別したり他人からは視認できなかったりと、いろいろ機能的な分、それだけ技術料もかかるってことなんだろうが……。
「そういや一説によると、レベルシステムの数値化や視認化は別の世界からやってきた勇者の手によって確立された……なんて話もあるらしいぞ」
「あ! それ話聞いたことある! その人がいた世界では、魔物と戦うのなんて子供でもやる遊びだったっていうアレだよね!」
「それどころか魔物を捕まえて戦わせて遊ぶ、なんてヤツらもいたらしいからな……」
恐ろしい世界だ。
俺だったらそんなトコ、絶対行きたくないね。
「ついでだ、そうやってレベルが上がっていくと自身に色々と変化がでてくるんだが……そいつは分かるか?」
「むぅ、ばかにしてー。『パッシブスキル』とか『マナプール』とかでしょー?」
流石にそれぐらいは知ってたか。
「でもマナって何なんだろうね? 万物に宿る力だーなんて言われても、あんまりピンとこないし……」
「まぁくわしく語りだせば、お偉いセンセー方の間でも大分意見が分かれるらしいからなぁ。……冒険者にとっちゃ、肉体の強化やスキル発動のための便利な力って認識ぐらいで良いだろ」
他の職業なんかじゃまた変わってくるだろうがね。
「そういえば、マナのコントロールができるようになることを『マナの発現』なんていうけど、アレってなんでなんだろ?」
「ああ、それは昔の名残らしいぞ。昔はその年齢ぐらいになるまで、人にはマナが宿っていないって認識だったらしい」
実際は『ただコントロールができてなかっただけ』って話なんだが、その表現だけが今も残ってるってわけだな。
「消費したマナは徐々に回復するが、レベルに応じた『マナプール』の許容量を超えては増えんしそれなりに時間もかかる……お前の『メテオパンチ』だったか? あれ考えなしに連発すんなよ?」
フルボーンドラゴンの核を一撃で砕く威力。
恐らくだが相当なマナを消費するはずだ。
「そうなんだよねぇー……。あーマナプールがもっとおっきかったらやれることだって増えてくるのになー」
「まぁだからこそ、冒険者の中じゃレベルと合わせてそいつの強さの指標になったりするからな」
もちろん、例外はある。
……俺みたいにとは言いたくないが。
つらつらとそんなことを話していると、どこからか、ぐぅ、という音が聞こえてきた。
まぁ、どこからかっつーか……。
「えへへ……! 消費したマナは自然に回復するけどー、消費したカロリーっていうかー、お腹の中身は自然には回復しないよねー? ……ね、おっちゃん?」
「はぁ……わかったわかった。なんか作ってやるからおとなしくしてろ」
「やたー! ボク今日はお肉がいいなー」
「贅沢言うんじゃねぇよ。……鶏肉だからな」
ま、フライドチキンでも作ってやればコイツの腹も回復することだろう。
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