第一章 エピローグ
――ここはどこだ?
俺は気が付くと、暗闇の中に一人佇んでいた。
辺りを見渡そうとしても、こう暗いと何も見えやしない。だが……。
「……それでぇ? つまり今回の件は失敗に終わったってことかしらぁ?」
「まぁそういうことになるのかな? ほら、きっと彼はその器じゃなかったってことだよ、ね? しょうがないしょうがない」
「キシシシ、なにを今さら……。どうせ初めから分かっていて、ただ弄んでいただけだろうに……シシッ!」
「あれ? やっぱりばれてた? まぁいいじゃない、見てる分にはそこそこ楽しかったでしょ?」
……声? 誰かの、いや、誰か達の声だけが聞こえてくる。
今回の件? 器じゃなかった? 一体何の話をして――。
「なに、何も時間が無いというわけでもないのだ。……じっくりと、楽しみながら見定めていこうではないか……」
俺の疑問に答えが出る前に、ひときわ存在感のある声がその場をしめる。
……何の話をしているのか明確に分かるわけじゃ無いってのに……どうにも、不穏さを感じずにはいられない。
「……魔王級の魔物すら凌駕する、真の魔王となるべき存在。そう――」
「――我らが、『魔王候補』を――」
「――……おっちゃん? おっちゃんってば!」
トリアの声にはっと目を覚ます。
ここは……俺の、部屋……?
「もー寝るなら椅子の上じゃなくてちゃんとベッドで寝ないと……ホントにおっちゃんはボクがいないとダメなんだからー」
ぷりぷりと怒るトリアを前にして、俺はようやく、自分が寝てしまっていたことに気が付いた。
となると、あれは夢だったのか……。
「……おっちゃん? どうしたの? なんかヘンだよ?」
「いやなんつーか……どうにもおかしな夢を見てたような気がするんだが……」
……ダメだな、思い出せん。
でたらめなまでに不穏なことを言ってたような気もするんだが……。
まぁいいか、たとえどんな悪夢だったとしても夢は夢だ。
とりたてて気にするほどの事でもないだろう。
…………気にするほどの事でもない、はずだよな?




