第一章 プロローグ
「……は?」
「聞こえなかった? クビだって、そう言ってるのよ」
目の前の少女達が、冷たい視線で俺を睨み付ける。
特殊な性癖でもあればご褒美になったのかもしれんが、あいにく俺にそういう趣味はない……。
……っていやいや、そんなことを考えてる場合か!
「ま、待ってくれよ、そんないきなり……! この2年間、結構うまくやってきたろ俺たち!?」
「ハッ!うまくねぇ? 荷物持ち風情が、随分と大きな口をたたくじゃねぇか?」
「ぐっ、それを言われると痛いところだが……」
確かに魔物との戦闘は彼女たちに任せきりだった。
俺はといえば自分の身と、預かった荷物を護るので精いっぱいだったからなぁ。
「……私も、正直ずっといい気分はしなかった。……アルティラからも、リーダーとしてきっちり言ってあげて」
「……そうだな」
腕を組み、目を伏せるようにしていた女性。
このパーティのリーダーであるアルティラ・ヤーベラムが口を開く。
「確かに私たちは、貴方のマジックアイテムへの適正を必要としていた。……だがそれを差し引いても、その足かせ具合は目に余る。……私からパーティへ誘っておきながら忍びないが、この際だ、はっきりと言わせてもらおう」
……おいおい待ってくれ。
お前まで、お前らまで俺をそう呼ぶのか……?
「これ以上、共にいても迷惑なだけだ。だから――」
――ああホント、聞きたくなかったわ。