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Tanka! The Battle of Short Song!   作者: 《み》
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9/9

《Where are “you”? Who are “you” with in this mind? When you knew “it”, how do “you” know “it”?》

好きなれど 認められぬは しのぶれど 忍び難きぞ 恋も人さじ

最終句 《Where are “you”? Who are “you” with in this mind? When you knew “it”, how do “you” know “it”?》



帰り道


「やれやれ、もう少しいたかったのに、面会は午後の4時からとか。」

「透。」

「凛? どうした?」

「その、実は……「あの人」に会ってきました。」

「!?!?」

「生きてたんです。しかも、生身で。」

「いつ!いつ会ったんだ!」

「院長先生に連れられて。その……国費もあの人のおかげだと。」

「……」

「服装から察するに、軍にいるみたいです。しかもかなり高い位の。」

「……。」

「透、それでね。」


「短歌で……政治を?」

「正確には、文化的世界平和活動というのを試みてるところだ。茜坂さん。あなたと進藤君となら、きっとできる。そして、君のお兄さんが助かれば、きっと素晴らしい世界ができる。」

「わ、私たちはただの高等生と大学生で、しかも孤児生……。そんなのできっこないですよ。」

「……私も孤児生だ。」

「!?!?!」

「おやおや、知らなかったのか。噂も噂、都合のいいところだけ切り取って、都合の悪い真理には手を出さない。まあ、噂の主もそういうところがあるのだろうな。」

「それは、どういう……」

「ま、まあどうなるかは、君の判断に委ねられてる。どうかね。一緒に、実現してみたくはないか?」

「……」

「茜坂さん」

「考えさせてください。」

「……うん、賢明な判断だ。さすがだな。」

「あ、いえ、そんなんじゃ。」

「じゃ、いい返事、待ってるよ。」


「そんなことが。」

「私、争うこと、好きじゃないんです。嫌いです。だから戦いたくないですし、門の字の闘うの方も嫌いです。」

「本当のところ、俺もそうだ。たぶん、みんなきっとそうだ。」

「だけど闘わなければならない。」

「ああ。そういうもんなんだ。なんせ。世界の歴史はかなり長い。特に戦争の歴史は長すぎる。それを短時間で埋めようなんて都合のいい話がこの世にあるなら、第三次世界大戦はおろか、世界大戦そのものがなくなってるさ。」

「……」

「ま、俺は短歌で世界救うなんて、半信半疑だった身だったから、まさかあの人が生きてて、今でもそういう活動してるとは思わなかった。それにしても軍かー。あの人が一番憎んでたところに、今はいるんだなー。」

「そうなんですか?」

「平和を愛する者こそ軍を愛するなんていう言葉を最後に口走った人がいて、その人とすごい取っ組み合いになったことがあるらしい。しかもその人が、あの人の親友中の親友なんだとさ。噂だけどね。」

「なんとなく。わかります。」

「ま、噂流した張本人でもあるそうだしな。」

「え?」

「ははは。、まあそれはそうと、みんな助かったところで少し疑問があるんだ。」

「……透?」

「短歌って、本当にAIに解析されないのかなって。」

「……」

「いずれは音韻の規則とか、そういうのも全部明るみに出て、誰もがすごい短歌作れる時代になったとき、俺や聖兄みたいに、玉や王という位が全く無価値になるんだよな。」

「そ、そうですね、そうなるかもしれません。」

「そうなったとき、いったい誰が俺の短歌を見てくれるんだろうな。誰が俺の、俺としての短歌を見てくれるんだろう。」

「……アイデンティティ」

「それだ! それだよ凛。誰もがそういう短歌を作れるようになったら。一体誰の短歌がその人たらしめるんだ?」

「……」

「凛。」

「……あんまりいい反例浮かばないですが。」

「?」

「たとえば透。次の交差点、どういう風にわたりますか?」

「ど、どうって、まっすぐ」

「私なら、透の後ろを横切って今とは逆のところにいます。」

「???」

「今、右にいますが、こっそり左にいるかもしれません。それが、今の私です。」

「凛……。」

「透にしかできない短歌はあります。たとえAIに透のすべての特徴量を分析させても、透にしかできない、そういう短歌はありますから。それに、私も同じです。私だけでなく、聖も、永萌も、みんなみんな、それぞれの短歌があるんです。あなたにしかできない短歌が、絶対にあります。断言します。」

「……凛。」

「は、はい。」

「ありがとう、な」

「!?!>!」


ぎゅっ


「と、透!!? そ、その、朝早いからって、外ですし、その……いつもより強い」

「あの時いったよな。触れてみないと分からないこともあるって。そして、」

「!……………」

「すべてを知る必要も、すべてを理解しようとする必要もない。だけど、」

「すべてを知り尽くし、理解しようとする心でなければ、「それ」は手に入らない。」

「そして「それ」は一度触れてみなければわからない。」


「《Where are “you”? Who are “you” with in this mind? When you knew “it”, how do “you” know “it”?》」

「その歌、懐かしいですな。」

「院長先生、この意味、解ります?」

「あまり短歌は詠んだことがないが、まあ、なんとなくAIのことだろうとは思いますよ。」

「ご名答です。」

「たしか原文はダブルクォーテーションがミスプリントで抜けてるという噂だったが。youのところ。」

「あれはミスではありませんよ。」

「へ?」

「あのyouはAIなんです。」

「AI!? ……なるほど、そういうことか。」

「はい。「それ」を知られたら、どうやって自分自身で「それ」を知れるのか。」

「……なかなかに。君の妻は奥が深い。」

「ええ。全くです。だから彼女は私が孤児生だということを、隠してくれたのでしょう。」

「それで、娘さんの顔、どうでしたかな?」

「……やれやれ、似すぎて涙こらえるので精いっぱいでした。」

「進藤透君、進藤永萌君。彼らも君の子なのでしょう?」

「はい。ふたりっ子政策。施行ギリギリに生まれ、私を貶めるための政治家の罠に利用されました。今となっては懐かしい思い出ですね。」

「……あの二人。」

「ええ。今に辛い試練が待ってることでしょう。実の兄妹なのですから。」

「……言わなくてもよかったのですかね?」

「いずれ知ることに、いや、あの顔ならもう知ってたのかもしれないな。」

「ほう?」

「さ、私たちも、緊急外来の後は身体が持ちませんよ。なにせこれから。」

「ああ、始まるんだな。」

「ええ、第四次世界大戦が。」

「文化的であってほしかったよ。」

「仕方がありません。歴史は……繰り返されるのですから。」


「透。」

「?」

「そ、その、たとえ実の兄妹であって、……その……」

「………いいんだ。」

「透……」

「どうせ昔みたいな時代のように駆け落ちしたところで、この社会じゃいずれ御法度さ。だから……。」

「……」

「その、聖兄と永萌の家庭にあやかろうと思って。」

「……」

「それだけじゃダメなのはわかってる。でも、俺にはそれぐらいしか思いつかなくてさ。……ごめん」

「謝ることはないです。」

「凛。」

「いや、まだ話が。実は、……」

「?」

「聖兄と凛とで、だ、だ、だ…………代理出産してくれないか!!!」

「!???」

「萌が許してくれるかはわからない。だけど………………これしかない………。」

「透の子として……………偽るんですね。」

「もう、それしかない。血液型は、俺と聖兄はO型で凛と萌はA型だから、その……」

「ダメです。」

「凛……。」

「私は………透の、おにいちゃんの子を、産みたいんです。」

「! ………で、でもそれだと」

「どうせ偽るなら、それでいいじゃないですか。」

「………」

「透。」

「……産んだ子に恨まれてもいいのか。」

「!?……」

「なんで生まれてきたのか、何のために生きてるのか、何のために産まされてきたのか

……。いずれ問い詰められることになる。」

「…………う、恨むかどうかは分かりませんし、恨まれても、我が子に恨まれるなら本望です。」

「凛……。」

「透は、怖いだけですよ。」

「……」

「ただ怖がってるだけです。」

「………………」

「それに、生まれてくる理由なら、ハッキリしてます。」

「??」

「天使に……天使になるためです。」

「!?!?」

「みんな天使になるために、生まれてくるんです。そう、お母さんに教わりました。」

「お母さんって…………会ったこと」

「あるんです。まだお腹の中にいた頃の記憶があって、その時にお父さんに言ってたんです。」

「凛……」

「《先立たれ 死にゆく想いに天使から 「生きてて下さい。それがあなたの本当の……」》」

「お母さんは、そう言って……。透を産んで、私を産んで、永萌を産んだんです」

「…………」

「もっとも、おにいちゃんは英雄なんですけどね。」

「えい……ゆう」

「はい。天使から英雄へ昇級です!」

「凛……。」


キュ


「凛!?」

「違いますよ。女の子の優しすぎるは、ほめてないです。ほめてないです、からね。」

「…………」

「ほら、朝日。眩しい朝日です。」


 ぎゅっ


「……透?」

「朝日より、凛の……凛の瞳の方が……眩しくて、……目が霞んでさ。…………うまくみえねぇ、みえねぇよ。」

「透。」

「もう…………知らんからな。どうなっても。」

「……はい!」

「アメジストも……本当に、キレイだ。」

「私と透の。契りのアメジスト。想い出ですね。」

「凛、なんでそれを」

「ふっふっふー、さーて………なんででしょう? よーいドン!!!」

「お、おい、凛! 走るなって! 下り坂気をつけろって!!!」




《秋の空 夢に出でにし 昇り龍 宝抱へる 春の紫》




<Finish.>


いかがでしたでしょうか。今日の朝に書き上げて一気に投稿しましたが、まあまあなだけあってスッキリしました。もう少し贅沢言えば、登場人物や背景の歴史的なところと、人工知能についてもっといろいろと語らせたかった、それくらいですかね。需要あればまたTanka!でも別の形でも語ってみようと思います。


前書きの短歌は花さじを人さじにしており、人の匙加減でいろいろと決まっていく世の中のことを風刺しながらも、それでも人によって平和な営みが生まれていくことを願っている歌でもあります。


ここまで付き合ってくださった皆様、そして、これまでの過去と未来の自分に、大いなる感謝を捧げまして、このTanka! The Battle of Short Song! を締めたいと思います。ありがとうございました!!!


で、できれば読み終えた時の感想を置いてってくれると嬉しいのですが。なんなら短歌の形で置いてっても構いませんよ?


それでは、またどこかで、会えたなら。




ヨ\/0」

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