道
鉄塊を載せ
車輪は廻る
吾は諾諾と
坐つたままで
身じろぎもせず
車窓を眺め
行先を憂ひ
駄賃を数え
廻るは車輪
巡るのは生死
鉄は轍を踏み
かたかたと揺れ
道を外れて
海原へ出づ
道転じて未知となり
吾を惑わし
満ち充ちゆく
御者は既に無く
車内は吾のみ
把手も踏板も其処には無く
窓も
車輪も
囲む鉄すら矢張り無く
初めから吾は只独り
吾を使て廻らしむのでは無く
吾は止まぬ足を踏み出し続け
道無き道を
海原に見出し
逸らさず眼は前を向く
景色は変わらず
灯台も無く
気づけば、また
あの場所に居る