表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
白ノ龍騎士物語  作者: 邦継
一年目 龍騎士みならい編
4/4

四時限目 モンスター退治? 保護?

 町長の娘ナナリーから依頼を受け、さっそくモンスター退治へと向かう。なお、俺には戦闘技能なんてものはないので全てヴァイスに任せる。

 ……後々何か覚えていこう。

 さて、今は町の外側。ちょうど俺のいた小屋と反対側の草原地帯に来ている。見渡す限り爽やかな風が吹き抜けているいたって平和な草原だ。

 

「何処にもモンスターの影はないのだが……」

 

『そうですね、もう少し森の近くまで行ってみましょうか?』

 

「モンスターは森が住処なのか」

 

『そういうのが多いですね。あとはダンジョンとか』

 

 やはりそういうのはあるらしい。と言ってもいまだに残っているのは比較的安全なものばかりらしく、危ないものは残らず国の監視下にあるらしい。

 日本とは程遠いのにこの過保護みたいな対応は日本をにおわせるな。

 

『さっそく来たみたいですね』

 

 丁度遠くに森が見えるところに差し掛かった時、ヴァイスがそういう。

 出てきたのは……たぶんゴブリンとかそういうのだと思う。

 

「あれは?」

 

『ゴブリンですね。どうやらこの森を住処にして、町の方にもちょっかいかけているといったところでしょう』

 

 見た感じ濁った緑色の肌をした鬼の子供みたいな感じだ。例にもれなく棍棒のようなものを手にもっていて、ちょっと怖い。

 ヴァイスがやられることはないとは思うが……。

 

「とりあえずよろしく」

 

『えぇ。任されました』

 

 そういうとヴァイスはもとの小屋程の大きさに戻り、一瞬でゴブリンたちの目の前に移動した。

 隣にいたというのに、瞬き一つするともう遠くにいるドラゴン。頼もしい限りだ。

 もちろん俺は何もしない。というか何かするたびに足手まといにしかならないと思う。

 

『終わりました』

 

 うん、早い。

 苦戦しないとは思ったけど、ほんの数秒で終わった。

 解説するとゴブリンの前に移動したら容赦なく爪で薙ぎ払い前衛を壊滅。その後、後衛が逃げようとしたところにまた瞬間移動して尻尾で薙ぎ払い。総勢20くらいいたのにたった二回の攻撃で全滅。

 ……ドラゴンってみんなこうなの?

 

「圧倒的ではないかわが軍は!」

 

『はい! これくらいは軽くこなせないようではセイヤ様の従者は務まりませんから』

 

 圧倒的にツッコミが足りません

 圧倒的な力はあるけどねアッハッハ……。

 

「とりあえず森に入って数を減らしておこう」

 

『そうですね』

 

 そういえば。

 

「モンスターを減らし過ぎて困るとかってあるのか?」

 

『いえそういうことは……。あぁ、食物連鎖とかそういうのを気にしてますか?』

 

「あぁ」

 

 地球では野生の動物を狩り過ぎるとその土地の害虫が増えすぎたり、困ったことになることがあるがこちらではそういうのはないのか?

 

『そうですね。食物連鎖はこの世界にもありますが、モンスターはそれとは関係ありません。モンスターはただ人間を襲って食べるだけですので害になることはあってもこちらに恩恵があることはありませんね。とても強力なモンスターが目を光らせているから人里に弱いモンスターが来ることがないというのもなくはありませんが、ドラゴンに敵うモンスターはなかなかいませんからその役目はドラゴンが担っていますので』

 

「ドラゴンはむやみに人間を襲うことはないか」

 

『はい。初代龍騎士との制約の中にそのようなものがありますので。もし守らなかった場合はほかのドラゴンがそのドラゴンを討伐する決まりになっています』

 

「初代様々だな」

 

 そういうことらしい。

 ドラゴンと人間の中には制約なるものがあり、人間の知恵と技術を提供する代わりにドラゴンは軍事力を提供する。それで共存してきているらしい。

 そうこうしている内に森の中へと入っていった。

 

『ここからはモンスターが多くなると思いますのでセイヤ様もご用心を』

 

「あぁ……。と言っても自衛の方法を俺は持っていないのだがな」

 

『それでしたら。魔法の練習でもしましょうか?』

 

「え!? できるの?」

 

 ヴァイスがいうには、人間と契約すればドラゴンが体の大きさを変える魔法を使えるように、人間の方にもドラゴンの魔法が使えるようになるという。

 

『魔力の量が多くなければ使えない魔法もありますが、セイヤ様は元々魔力が多い人ですから大抵の魔法は使えると思いますよ』

 

 そこからはモンスターを実験材料とした魔法の研究会が始まった。

 まず初めに水と風の魔法。火の魔法は森を焼いてしまう可能性があるため帰りに草原でやることになった。

 この世界で魔法を使おうとすると、まずイメージが大事になる。

 と言っても日本人の俺にとっては科学という分野を学ぶ機会があるので、水や風なんかをイメージするのは簡単だった。

 風はそよ風とかを強くして鎌鼬(かまいたち)を起こすイメージ。

 水は空気中の水蒸気を集めて高圧にしてから打ち出すイメージ。

 

「思ったよりも魔法って簡単なんだな」

 

『……それはセイヤ様だからです。ドラゴンでも属性を持っていない限りこれ程強力な魔法は使えませんよ』

 

 風魔法の成果はモンスターごと後ろの巨木を2~3本ぶった切り、水の魔法に至ってはモンスターを貫通してその後ろの6~7本を貫通する威力だった。

 

「ドラゴンの魔法使いとかいるの?」

 

『いますよ。直接戦闘が苦手なものは魔法を使いますね』

 

 ドラゴンメイジ……響きがかっこいい。

 

「次々行きますか」

 

 本日の研究結果。

 風と水の魔法は威力の手加減を覚え、火の魔法は青白い高熱の火の玉を出すのに成功し、土の魔法はちょっとした城壁を創れるようになった。

 ちなみに、この世界の魔法は火・水・風・土しかないらしい。ほかの魔法はユニーク魔法と言って、例えば雷とか氷はユニーク魔法に分類される。ほかには物を浮かせる魔法や姿を隠せる魔法なんかもあるらしい。

 

 こうして魔法というロマンが使えることが判明し、気分よく俺が町へ帰ろうとしたときに、一匹の狼が目の前に立ちはだかった。

 

「む。可愛らしい狼だな」

 

『そうですね……。ですが可愛らしい見た目からは想像できないほど強そうですね』

 

「この森のボス?」

 

『かもしれませんね』

 

 会話している途中に狼がこちらへゆっくりと歩いてくる。森のボスというだけあって、可愛さもありながら堂々とした面構えで近づいてくる。しかし、不思議と敵意を感じない。

 俺はそのまま狼を迎え入れてモフモフする。うん、いい毛並みだ。十分に食事をとってよく運動をしているようだ。

 狼はなすがままになっており、気持ちよさそうに喉を鳴らしている。そしてひとしきり俺が撫で終わったときに思いもよらないことが起きた。

 

《気持ちの良い撫でであった! 私を従者にしてはもらえぬか!》

 

 異世界ではドラゴンも喋るが、狼も喋るらしい。

 ……え!?

 要約

 町の依頼でモンスター退治へと向かったセイヤ。

 初の戦闘であるゴブリン戦はヴァイスのおかげで数秒で終わった。

 その後ドラゴンの恩恵で魔法が使えるといわれセイヤは年甲斐もなくはしゃぎ、ついに魔法を覚えた。

 変えいり際に出会った狼をモフモフしていたのだが……。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ