1-1 走りたい車
7月16日
向条創弥はコンビニで中古車雑誌を漁っていた
今月の頭に自動車免許を取得し今は乗る、いや乗りたい車を選んでいる
向条は約2年間バイトをしていて貯金がある
車の免許にも自分のバイト台を当てたため現在の予算は意外にも多すぎる150万だ
しかしドリフトをするためのパーツ代を考えると正直心許ない
150万などいいパーツを買えばすぐなくなってしまう
かといって安い車を買うにも心が引ける
ましてや事故車など買ってみろ、下手すれば真っ直ぐすら走らない車だってある
エンジンだって焼き付いているかもしれないし
見た目がきれいだからといって中まで綺麗とも限らない
内装をひっぺがえせば錆の芝生だってよくあることだ
中にはアイドリングを上げてエンジンの異常をみせなかったり、
平然と走行距離のメーターを細工してあたかも程度を良く見せて売ったりと
気をつけなければぼったくりもいい所だ
かといって新車はともかく、比較的新しい車なんて高くて買えない
ましてや新しい程度のいい車などもってのほかだ
ということで向条は今程度の良くて安い車を探している
もちろんFRでMTの車だ。
できることなら新しく燃費も良くて軽い車のほうが税金も少なく済むのだが
結局、いい車は雑誌では見つからない
実際雑誌の車など目玉の車であって年式の古いFRなど大抵広告には出していない
(車どうすっかな~)
なんて考えているとふと思った
灰村ならどっかいい所しってんじゃないのか、と
さっそく携帯電話で灰村樹誉を探す。
プルルと電子音が鳴るとほどなくもしもしと聞こえた
「灰村、今車さがしてるんだけどさーーー