2-6 オーダーメイド
ガレージに戻ると滝斗が椅子に腰をかけていた。
どうやらエンジンの組立が一通り終わったらしい。
「来たか。さてと、じゃあエンジンをハチロクに載せるぞ」
エンジンをエンジンクーレーンに載せ、ハチロクの心臓部にゆっくりと下ろしていく、滝斗は慣れた手つきで次々と配管、ベルト、ホース類をまとめ挙げ、エンジンをマウントしていく。
慣れない向条と灰村達も滝斗に言われるまま少しながら作業に貢献する。
とうとうこのハチロクに心臓が乗った。
次はミッション「MH45」 を載せていくのだがそれは滝斗に任せることにした。
ジャッキアップをして車体の下に体を滑り込ませる。
その間だ向条はセルモーターを接続していく。
そして作業開始から数時間程、ハチロクは完成した。
滝斗方向性としては徐々にチューンとのこと
現状スペック
向条 AE86
・キャブレター
・推定175馬力
・車重 1000Kg程
・ハイカム仕様 レブリミット 約9000回転
・推定最大トルク14kg
・高回転型
パワーウェイトレシオ 約5.7Kg
灰村 HCR32
・S15 (黒ヘッド)SR20DET搭載
・4連スロットル化
・推定280馬力
・約1250Kg車重
・推定最大トルク28Kg
パワーウェイトレシオ 約4.5Kg
時刻は午後5時を回っている。
流石に素人を教えながらは時間が掛かるようだ。
「ふぅ~、出来はさて置き。完成というわけだ、あとは時間をかけてある程度持っていくとしよう」
ツナギには所々油汚れが付いていたが滝斗は気にせず続ける。
「今夜軽くシェイクダウンでもするか、慣らしも兼ねてな。もちろん2人も来るだろ?」
「どこに行くんです?」
向条はキョトンとした顔で聞き返す。
そこに間入れず灰村が口を挟む。
「ヤマだよ。ヤマ」
ーヤマ? なぜ向条はそんなところにいくのかが疑問だった。
「向条、ヤマって峠だよ。峠」
「コウちゃん、まさかそんなのも知らなかったのかい?今日は人も少ないから気気楽でいいぞ。」
そんなやりとりをして2人は滝斗に送ってもらった。
待ち合わせに関しては滝斗が2人を迎えにいってショップまで車を取りに行きくらしい。その後峠に向かうという訳だ。
まだ持ち出せないのは暫定的にセッティングを少し調整するらしい。
現時刻は6時、迎えに来るのは8時半だ。
向条はそれまでに夕食を済ませることにした。
エンジンはまだ掛けていない。