序章 1-1 小さなきっかけ
5月19日 日曜日、時刻は午前11時過ぎ
私こと向条創弥は
高校生活での最後(?)となる18回目の誕生日を迎えた
しかし向条にはこれといって祝福してくれる家族はいない
両親は中学のころ事故で他界、親戚の家でそれから3年間育てられ
現在はアパートの一室を借り、仕送りを貰いつつのバイトの毎日に明け暮れている。いや、厳密にはつい最近まで明け暮れていた、というのが正解だろう。
今、向条は高校生活最後の1年ということでなにか思い出に残ることや何かに心の底から取り組めるものを探していた。
「暇だ、・・・というかやることがない」
はっきり言うが向条は友達が少ない、ものすご~く少ない
正直だからこそバイトをしていたといっても過言でもはない。
つまり現在バイトをやっていない彼にとっては家で過ごす毎日が暇でしかない。
勉強?バイト? そんなの今の向条にはどうでもいいことである
とりあえず暇すぎるということでちょっと本屋に行くことにする。
(そういや昨日は週刊誌の発売日だったな~)
3年間高校生活において必須だった自転車を出し向条はコンビニに向かうことにする。
(にしても5月だってのにまだ少し寒いな~)
手袋でも持ってくればよかったなどとすぎたことを考えて近所のコンビニに向かった。
さっさと買って帰るかな~、なんて気楽に考えてコンビニに入っていったが
「ない」
いつもはあるはずの週刊誌がないのである、向条は頭に手を当ててため息を吐きつつ脱力した。
(昨日きずいて買いにこれてれば・・・)
向条はさりげない不運に正直結構なダメージを負ったわけだがここで一つ思った
(まてよ、ないってことは隣町の本屋まで行かないといけないんだよな)
それもそのはず、実は近所に本屋はあるのだが今日は日曜日
近所の本屋は実は休みだったりする訳で・・・
(なんつーか・・・今日は心底恵まれてねぇよ・・)
しょうがないので自転車を駆け、お昼までに帰れたらなぁ、とか個人的希望をもらす訳だが・・・