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冬こそ旬の、小松菜を育てよう

東京式のお雑煮に小松菜が必ず入ると聞いたのはたしか高校生の頃だったか。

私の住んでいるところはお雑煮に葉物は入らない。なので、ずっと不思議に感じる感覚が抜けなかった。


小松菜に関しての歴史を学んだのが大学時代。約300年前、江戸の小松川で漬物に使う葉野菜の中に、ひときわ葉が大きいものがあった。徳川吉宗公がその菜っ葉を気に入り、冬の流行り病に対して栄養をつけるため栽培を奨励した……とか。


実際小松菜は栄養があり、βカロテン、ビタミンC、カルシウムなど健康を支える栄養素がたくさん含まれている。個人的には小松菜の、葉物の割に多いビタミンB1を見て、おお!と思った。江戸の街で、白米常食による脚気が風土病のごとく人々を脅かしていた時代に、このビタミンB1の含有量は多少なりとも脚気から人を遠ざける力になった……のかも知れない。


前置きが長くなった。そんな栄養豊富な小松菜だが、旬は冒頭で雑煮に入ると述べたように冬である。ということは今から育て始めるのが、一番美味しい小松菜を食べられるタイミングとなるということ。小松菜は育て方もそんなに難しくない。早速紹介していこう。


今回ももはや常連となったプランターにご登場いただこう。体積6リットルのものが使いやすいが、もう少し植える場所の長さを求めて10リットルのものでもいい。植えられる小松菜の株数が増えるからだ。


そして、こちらも常連の野菜用培土。肥料は葉物野菜用の肥料を使うか、もしくは、安さを求めて鶏糞(けいふん)でもいい。小松菜は成長が早く鶏糞を使っても目立つ不具合が出ない。かつ、鶏糞に含まれるカルシウムを吸ってくれる。こんなにありがたいことはない。


さて、資材を揃えたら土を用意していこう。今回はプランターに土を入れた後、肥料をあらかじめ入れて混ぜてしまう。これを元肥(もとひ)という。小松菜はおよそ1ヶ月で育てきって植物体そのものを引き抜いて収穫するので、肥料は先入れしたほうが楽だ。


肥料の割合は普通の化成肥料や葉物用肥料ならプランター1つに100gくらい。鶏糞を使うときは200g入れよう。よく混ぜたら水を1リットル入れて、肥料がなじむまで二晩放置だ。


肥料が土となじんだプランターに、今回は小松菜の種を買って撒く。

横一列にシャベルか指で溝をすーっと引く。そうしたら、小松菜の種をパラパラと溝に落としていくのだ。種は小さいので気をつけよう。溝は土で軽く埋め戻し、芽が出るのを待とう。


だいたい3日ほどで小松菜の芽が見えてくる。そうしたら水やりを始めよう。最初はなるべく優しく、霧吹きで水をあげよう。今くらいの気温であればあっという間に大きくなる。双葉の状態から本葉が出始めたらジョウロに切り替えだ。


小松菜は本当に成長がはやい。芽が出たと思ったらすぐにすくすく育ち、2週間程度で背丈10センチを越えてくる。そうするとすでに食べてもいいのだ。間引きついでに食べてしまおう。今の時期寒さに当たった小松菜は本当に味が濃く、葉もやわらかい。使う料理もおひたし、みそ汁、鍋に入れてもいけるし、細かく刻んでちりめんじゃことともに軽く煎るのもおいしいらしい。本当に何にでも使える野菜だ。


種まきから一ヶ月、多分草丈は20センチに届くかどうかという状態になるだろう。個人的にここが一番おいしい瞬間だ。そっと土から引き抜いて根っこは切り、朝の味噌汁に食べる直前に入れてみてほしい。濃い緑色が美しいし、味も小松菜自身の甘みを存分に味わえる。


作り方はこの通り、先に肥料を入れた土に種まきし、間引きしながら食べ、おいしいところで収穫できる簡単さなのだが、私から1つ小松菜栽培で注意をしておきたい。


それは、小松菜は大変害虫に好かれる菜っ葉だということ。

代表的なのはキャベツの害虫でもおなじみのモンシロチョウの幼虫か。いつの間にか卵を産み付けられおいしい葉っぱを太った大きな幼虫がむしゃむしゃ食べているというのはよくある話。蛾の仲間のヨトウムシも大変良く小松菜を食べる。家庭菜園をしている人にとってはかなりの難敵だろう。なにせ大切に育てた野菜に突然、芋虫がつくのだから。虫嫌いな人にとっては天災と大差ない。


私は家庭菜園にて、虫がついたら嫌だからと殺虫剤を使うのは決して止めない。無農薬栽培は個々人のこだわりではあっても誰かに押しつけるものではないと信じるからだ。

ホームセンターで芋虫用やアブラムシ用の殺虫剤はよく取り扱っている。店員さんに聞いて合ったものを選ぼう。ただし、残留農薬の心配があるので収穫の5日前からは使うのを控えよう。それさえ気をつければ殺虫剤は悪者では決してない。


小松菜の使い方についてもう一つ、小松菜は食べ切れなければ、生のままザクザクと切って、それを袋に入れて冷凍してしまってもいい。

使うときは冷凍から取り出して熱湯にいれるなり熱い味噌汁の中に入れるなりして一気に火を通そう。そうすると生のものを切って入れたときと大差ない食感になり、小松菜を一年中楽しむことができるだろう。


いかがだったろうか。小松菜はまさに今から作るにうってつけの野菜だ。作り方も楽で、先に肥料を混ぜておく、間引きしながら食べる、のふたつを欠かさなければ新鮮で最高の味の小松菜が食べられる。

今年の冬はぜひ、小松菜とともに元気に乗り切ってみてはいかがだろうか。


以下5段階評価による小松菜の評価

暑さに耐える力★★※¹

寒さに耐える力★★★★※²

作りやすさ★★★★※³

※¹暑さにはそこまで強くない。枯れはしないものの著しく味が悪くなるので、夏に育てるのはやめよう。


※²寒さには強い。マイナス3度+猛吹雪の条件でもちゃんと生きている。寒さに当たると味も良くなるので積極的に屋外で育てよう。


※³初期投資は安く手間もそこまでかからない。ただし各家々での害虫の出方が予想できないため最高評価はつけなかった。現在の気候を鑑みて真冬でもモンシロチョウがいる可能性をふまえ星は4つ。

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