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【第一部完結】転生99回目のエルフと転生1回目の少女は、のんびり暮らしたい!  作者: DAI


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第8話

ここはウエス国の森の中の一軒家。


突然、やってきた女神イブは、強引にフィーネの家に住み着いてしまった。

「女神の魂を持った子供」を探すという、大きな使命を果たすためにフィーネたちは冒険に出る、のかと思いきや、相変わらずののんびり生活を満喫していた。





「昼下がりの紅茶は格別に美味しいわね。」

ロッキングチェアに座り、うとうとしながらフィーネがつぶやく。

「スー、スー。」

イブは、すでに寝息を立てている。

「むにゃむにゃ。モック、待てー」

リリィも、モックを膝の上に乗せて眠っている。


森の中には、心地よい風が吹いている。とても静かで平穏な空気感が漂っていた。


「こんにちはー!」

森から男性が出てきた。

以前、薬を買いに来たオルガだ。

「すいません、こんにちはー!」

オルガが、もう一度声をかけるが返事がない。

家に近づいていくと、フィーネたちが寝ているのが見えた。

フィーネの隣には、見たことのない女性が寝ている。


起こすのも悪いので、オルガは待つことにした。


しばらくして。

オルガも、ウトウトとし始めた。

にわかに風が止み、森の木々がざわめく。

すると、黒いローブを纏った、小柄の男が森から出てきた。

フィーネの家に近づいて行く。


その気配に、オルガが気づいた。

「お前は、誰だ!?」

腰に付けた短剣を抜きながら、威嚇する。

「しまった!起きてしまったか!仕方ない。今日のところは引くか。」

そういうと、男は森に逃げてしまった。

「何だったんだ?あいつは。」

オルガは、思わぬ訪問者に疑問を持ちながらも、しばらく警戒を続けた。


「うーん。よく寝た。」

フィーネが目覚めた。

オルガがいることに気づいて、声を上げた。

「オルガ?どうしたの?」

オルガは、フィーネのところまできて、他の3人を起こさないように小声で言った。

「薬をもらおうと思ってきたんです。寝てたから、起きるまで待ってました。」

「起こしてくれれば、よかったのに。今回は、どんな薬が必要?」

「痛みを和らげる薬を。」

「ちょっと待ってて。」

フィーネはそういうと、家の裏の倉庫に向かった。


「鎮痛剤っと……」

棚の中から、目的の薬を探し出し、必要な量を小袋に移し替えた。

「オルガ、じゃあ、これを。食後に飲ませてあげて。」

「わかりました。ありがとう。」

オルガは丁寧にお辞儀をすると、思い出したようにフィーネに向かって言った。

「そう言えば、さっき、怪しい男が来てたよ。僕が追い返したけど。」

フィーネは少し驚いて言った。

「怪しい男?どんな男だった?」

「黒いフードを被った小男だったけど、気を付けた方が良いよ。」

「わかったわ。ありがとう。」

「じゃあ。」

そういうとオルガは森の中に消えていった。


「何かあったのか?」

イブが、起き上がって尋ねた。

「オルガが、さっき怪しい男を見たって。」

フィーネがこたえる。

「まあ、気を付けるに越したことはないな。」

「それにしても、目的はなんだったんだろう?」

もやもやした気持ちが残ったフィーネは、昼寝もせずに考え込んでいた。





その夜。

月明かりが木々を優しく照らしている。


フィーネたちは食後のティータイムを楽しんでいた。


森の虫の音が止み、静寂に包まれる。


ガサガサッ


突然、森の中から音がした。


フィーネたちがそちらを見ると、黒いフードを被った小男が木陰から出てきた。

オルガが言っていた男だろうか?フィーネは叫んだ。

「こんな時間に、何の用?」

男は無言で近づいてくる。

フィーネとイブは、いつでも魔法を出せるように備えた。

すると、男が立ち止まって、話し出した。


「俺は、怪しいものじゃない。どうか、俺の話を聞いてほしい。」

男はどうやらゴブリンのようだ。緑色の肌に尖った耳が見える。

「どう見ても、怪しいんだけど?」

フィーネが言うと、男はフードを取った。

「俺は、村長に頼まれてこの森に住むゴブリンを代表してきた、戦士のゴブローだ。」

ゴブローの左頬には、戦いでついたであろう傷跡が見える。

「私たちに何の用?」

「実は、俺たちを助けてもらいたいんだ。」

「助ける?」

「俺たちの村がドリアードたちに襲われている。怪我人も出てるんだ。」

ゴブローは、本当に困っているようだ。

「どうして、温和なはずのドリアードに襲われているの?」

「ドリアードの子供が行方不明で、それを俺たちが誘拐したと思い込んでるらしい。」

「ゴブローたちは、誘拐してないのね?」

「当たり前だ!そんなことして、何の得がある?ドリアード達はこっちの話を聞いちゃくれないし......」

「それで、何で私たちを頼ってきたの?」

「最初は、そのドリアードの子供を連れていくつもりだった。」

「モックを?」

フィーネは、まさかと思いモックに確認する。

「モック、あなた、その子供じゃないわよね?」

モックは戸惑いながら答える。

「違うキー。モックの仲間はいないキー。」

「わかったわ。それで、ゴブロー。なぜ止めたの?」

「若い男に見つかったからだよ。それで考え直したんだ。」

「オルガね。」

「それで、俺は、長生きしてるエルフなら知恵を貸してくれると思って、また、ここに来たんだ。」

フィーネは考え込んでしまった。

「また、面倒くさいことを持ち込んでくれたわね……。」


「フィーネ!ゴブリンさんたちを助けてあげようよ!」

いつの間にか起きていたリリィが、口を挟んだ。

「リリィは、黙ってて。」

「でも、可哀そうだよ。何にも悪いことしてないのに。」

「そうは言っても、私たちには関係のないことよ。」

フィーネがそういうと、イブが何か思いついたようだ。

「もしかしたら、その行方不明のドリアードの子供が【女神の魂を持つ子供】かもしれないな。」

「何で、そうなるのよ?」

フィーネが当然の疑問をぶつける。

「ぼくの勘だ。」

「勘?いくら女神さまの勘でも、あてにならないわ。」

「イブもそう言うんだし、助けてあげようよ。」

リリィがフィーネに頼み込むように言う。

「お願いします!エルフ殿!」

ゴブローも頭を下げる。


「……仕方ないわね。話を聞いたからには無視も出来ないし......。じゃあ、明日、ゴブローの村に行きましょう。」

フィーネは過去に裏切られた苦い経験が頭を過ぎったが、嫌々ながらも承諾した。

「ありがとうございます!明日、迎えに来ます!」

ゴブローは、そういうと森の中に消えていった。


「また、面倒くさいことに巻き込まれちゃったわ……。頼まれたら断れないのは私の悪い癖ね。」

フィーネはため息をついた。


「冒険♪冒険♪楽しみ!」

リリィは、初めての冒険を前に心を躍らせていた。






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