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【第一部完結】転生99回目のエルフと転生1回目の少女は、のんびり暮らしたい!  作者: DAI


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第56話


ここはウエス国の森の中。



「ピクニック♪ピクニック♪」

リリィが鼻歌を歌いながら歩いている。

「ピクニックキー!」

「ピクニックキキー!」

モックとドンキーがリリィの後に続く。


「3人とも、あまり離れちゃダメよ!」

フィーネが3人に叫ぶ。


「たまには森を歩くのも気持ちいいな」

ハクが楽しそうに話すと、

「ぼくは、あまり楽しくないぞ」

イブはブツブツ言いながらもついてきている。その足は少しだけ宙に浮いている。

「イブはずるいな、自分の足で歩いたらどうだ?」

ゴブローがイブを見て言う。

「そうよ。自分の足で歩いてこそのピクニックじゃない?」

ホウオウがゴブローに加勢する。

その後ろには、オルガとスザクが歩いている。

「女神は疲れることが嫌いなんじゃ」

イブがゴブローとホウオウに反論した。


「みんな!そろそろ着くわよ!頑張って!」

フィーネが言う、その先に開けた小高い丘があった。

丘を登ると、眼下には一面の綺麗な花畑が広がっていた。

「うわー!凄い!」

リリィが歓声を上げる。

「これは見事だな」

ゴブローとオルガが感嘆する。

「さあ、みんな。敷物を広げて座りましょう」

大きな敷物を広げて、みんなでその上に座る。

フィーネ、ホウオウ、スザクは、持ってきたランチボックスを広げた。

「うわー、美味しそう!」

リリィは目を輝かせる。

「さあ、食べましょう」

フィーネが言うと、皆待ち切れないという感じで手を伸ばした。

「こんな良い場所が、この森にあるんだね」

ホウオウが周りを見回すと、そこには絶景が広がっていた。

色とりどりのはなが咲き乱れ、その向こうには、雪を湛えた山々が聳え立っている。空気は冷たく澄んで清々しい。

「待つキー!」

「待つキキー!」

「捕まえてみろ!」

モック、ドンキー、ハクは早速追いかけっこを始めた。

「イブ!ホウオウ!お花を摘みに行こう!」

リリィが花畑に向かって走り出す。

「俺とオルガは、あっちで昼寝してるよ」

ゴブローとオルガも行ってしまった。


後にはフィーネとスザクだけが残されてしまった。


気まずい沈黙の時間が流れる。


「フィーネ、」「スザク、」

2人同時に話し出す。

「先に言って、」「お先にどうぞ、」

また、同じタイミングで話し出してしまって、お互いに苦笑する。


「じゃあ、私から」

スザクが話し出した。

「フィーネ、私はあなたに感謝してるの。ビャッコの仲間だった私の目を覚させてくれた。そして、家族として迎えてくれた」

「私は何もしてないわ、スザク。あなたが自分で決断して変わったのよ」

フィーネは真っ直ぐにスザクを見つめて言った。

「だから、あなたとオルガの気持ちを知った時は複雑だった。私もオルガのことが好きだったから。自分の気持ちの整理がなかなかつかなかったわ」

フィーネは黙ってスザクの言葉を聞いている。

「今でも私はオルガのことが好き。でも相手がフィーネ、あなたじゃ勝ち目は無いと思ったの」

「スザク......」

「私はオルガと同じくらいフィーネと丸太小屋の皆んなが好きだから。今は素直におめでとうって言える」

「ありがとう、スザク」

「オルガと、2人で幸せになって。フィーネ」

スザクの目から涙が溢れた。

「あれ?おかしいな。泣くつもりじゃなかったのに......」

フィーネはスザクを抱きしめた。

「スザク、私たちはずっと家族よ」



「フィーネとスザクは、何を話してるんだろうな」

ゴブローがオルガに言う。

「女には女同士にしか分からないことがあるんだよ」

オルガがつぶやく。

「オルガはフィーネのどこが好きなんだ?」

ゴブローの質問にオルガの顔は赤くなった。

「それは、言えないよ」

「隠すことじゃないだろう?」

「とにかく、言えない」

「そうか。いつか話してくれよ」

ゴブローは納得してないようだ。

「フィーネさんは、自分だけで抱え込んでしまうから、僕がその重荷を少しでも軽くしてあげたいんだ」

オルガはそう言うと、体を起こした。

「なるほどな」

ゴブローはうなづく。

「僕に何でも話して欲しいんだけどな」

オルガはボソッと言った。



「見て!花飾り!」

リリィが頭に被って見せる。

「リリィ、上手だな。誰に教わったんだ?」

イブが言う。

「お母さんに......」

リリィはうつむいた。

「すまん!リリィ。許してくれ」

イブは慌てて取り繕う。

「イブ、大丈夫。気にしてない。少し思い出しただけ」

リリィは、イブに笑顔を見せた。

「それにしても、この花畑は見事ね」

ホウオウが言う。

「また、皆んなで来たいね」

リリィは立ち上がって、くるっと一回転した。

「そうだな。また、皆んなで来よう」

イブが答えた。



「皆んな!まだサンドイッチが残ってるわよ!」

フィーネが叫ぶ。

「お腹空いちゃった。行って来る!」

リリィが駆け出す。

追いかけっこをしていたハクたちも後を追う。

「おいらたちの分も取っておいてくれよ!」


清々しい風が吹き抜ける。

魔神の影や、世界の行く末など、まるで感じさせない、穏やかな一日だった。


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