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【第一部完結】転生99回目のエルフと転生1回目の少女は、のんびり暮らしたい!  作者: DAI


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第50話


ここはウエス国の森の中。


町で一日デートを楽しんだオルガとフィーネは、町一番の名店『ブルークリスタル』で2人きりの食事を楽しんでいた。


「オルガ!起きて!」

肩を揺するが起きる気配がない。

フィーネは途方に暮れていた。

「店の扉は開けとくから、ごゆっくり!」

店長が気を利かせて帰って行った。

もう店内にはオルガとフィーネの2人しかいない。

「オルガ、水を持ってくるわね」

フィーネは、そう言うとグラスに水を入れて持って来た。

「さあ、飲んで」

オルガは辛うじて起き上がり、水を飲んだ。

「本当に、仕方のない人ね」

フィーネがオルガを見つめる目は優しい。

「フィーネさん......好きだ......」

オルガはまだ微睡の中にいるようだ。


フィーネは、1人考え事をしていた。

魔神を倒すためには、リリィとフィーネの力が絶対に必要だ。リリィが深淵の国への扉を開き、魔神の力を抑える。フィーネは99回の転生で得た力の全てを魔神にぶつける。そして、フィーネは、100回目のー最後のー転生を迎える。つまり、それは、フィーネの「死」を意味する。このことはフィーネ自身と女神イブしか知らない。

このことを他の皆んなに話せば反対されるのは目に見えている。絶対に隠し通さなければならない。

フィーネはフゥッと息を吐いた。


「だから、私はオルガとは一緒になれないの。ごめんね」

そう言って、フィーネはオルガの頬にキスをした。


「フィーネさん...むにゃむにゃ...」

オルガはまだ起きない。


テーブルに伏せて寝るオルガをフィーネはただただ優しい眼差しで見つめていた。


オルガは夢を見ていた。


「フィーネさん!どこだ!」

辺りは真っ白で何も見えない。

遥か遠くに黒い人影のようなものが見える。

「フィーネさん!そこにいるのか!」

人影に走って近づこうとするが、全く距離が縮まらない。

「フィーネさん!」

オルガはすぐ隣の気配に気づいた。

「リリィ?」

リリィは言う。

「フィーネは100回目の転生をするの。もうお別れよ」

オルガは驚いて叫ぶ。

「そんな!フィーネさん!行かないでくれ!」

遠くの人影は消えてしまった。

「さあ、オルガ、行きましょう」

リリィが言う。

「何処へ?」

オルガが言うと、リリィの姿はみるみるうちに醜い魔物の姿に変わった。

「魔神様の所だ!」

「ウワーッ!!」



ガバッ!

オルガは目を覚ました。

「夢か......」

オルガの目の前にはフィーネが寝ている。

それにしても嫌な夢だった。

オルガは、近くにあったグラスの水を飲み干した。


「フィーネさん」

オルガが肩を揺すると、

う、ーん...

フィーネが体を起こした。

オルガを見て言う。

「オルガ、起きたのね」

「フィーネさん、ごめん。また酔い潰れたみたいで。」

「大丈夫。店長さんが店を開けておいてくれたから」

フィーネは、目を擦りながら言った。

「すっかり遅くなってしまったね」

「そうね。ゆっくり帰りましょうか」

そう言うとフィーネは立ち上がった。

オルガも立ち上がり歩き出す。


店の扉を閉めて『close』の看板を立てかけて、オルガの家に向かって歩き始めた。


「フィーネさん」

「なに?」

「僕は思うんだ。人間とかエルフとかゴブリンとかドリアードとか女神とか水竜とか関係なく、皆んな家族になっている丸太小屋って良いなって」

「そうね。いつの間にかそうなっちゃったわね」

「フィーネさんが居たから、皆んな集まって家族になったんだよ」

「私が居たからか」

フィーネは、恥ずかしそうに呟いた。

「僕も皆んなもフィーネさんが好きだ。だから、誰も失いたくない」

オルガはいつになく真剣な表情で話している。

「魔神との戦いが避けられないのは、分かってる。だからこそ、今、言っておきたい」

「どうしたの?急に真面目な顔して?」

フィーネは少し動揺しているようだ。


「フィーネさんは、僕より沢山の人生を経験してるし、歳もずっと上だ。何より不老長寿のエルフだ」

「そうね」

「それにひきかえ、僕はただの人間の農夫。人生経験も少ない」

「でも、良い人よ」

フィーネが精一杯のフォローをする。

「ありがとう。僕は魔神との戦いの前に後悔を残したくない。だから決めたんだ。どんな結果になろうと自分に素直になろうって」

オルガが真っ直ぐな目で見つめてくる。

「オルガ...」

フィーネは、思わず唾を飲み込む。


「どうか、真面目に聞いて欲しい」

「うん」

永い沈黙が続いた。そして、

「僕は、フィーネさんが好きだ。結婚を前提に付き合ってもらえないかな?」

オルガが言うと、フィーネは俯き加減で応えた。

「本当に私で良いの?エルフなのよ?」

「僕は、エルフのフィーネさんが好きなんだ」

フィーネは、少し考えて返事をした。

「私もオルガが好きよ。お付き合いしましょう」

オルガは、緊張が解けてホッとした顔で言った。

「ありがとう。これからもよろしく」

「こちらこそ」



空には満天の星空が瞬き。

一筋の流れ星が流れて行った。


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