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【第一部完結】転生99回目のエルフと転生1回目の少女は、のんびり暮らしたい!  作者: DAI


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第28話


ここはウエス国の森の中。


「待てー! 」

「待つキキー! 」

「待たないキー! 」

相変わらずリリィたちは追いかけっこをしている。


「今日も紅茶が美味しいわ」

フィーネ、スザク、イブは、ロッキングチェアでのんびりしている。

「それにしても暑いな」

イブは汗だくになりながら言う。それにしても汗をかきすぎだ。

「どうしたの?イブ、汗びっしょりじゃない!? 」

フィーネがイブの異常に気付いた。

「女神は体温調整が苦手なんだ。暑さ寒さには弱い」

イブがぐったりして言う。

「そんなこと初めて聞いたわ。とりあえず氷で冷やす? 」

「かき氷が食べたいな」

イブが無茶を言う。

フィーネは少し考えて、

「わかったわ。かき氷を作りましょう」

フィーネが右手を振ると、調理器具や材料が勝手に動き出す。

飲み水が氷になり削られて器に盛られる。シロップはハチミツや砂糖を煮詰めて作る。

あっという間に人数分のかき氷が出来上がった。


「フィーネ特製かき氷の完成よ! 」


「わー!かき氷だ! 」

リリィが目を輝かせている。

「かき氷ってなんだキー? 」

「なんだキキー? 」

モックとドンキーは初めて見るかき氷に興味津々だ。

「氷を細かく削って、それに甘いシロップをかけた食べ物だ」

イブがかき氷を食べながら解説する。


「これは、冷たくて甘くて美味しいね」

スザクも気に入った様子だ。


「暑い夏はかき氷に限るわね。日本の夏が懐かしいわ」

フィーネもかき氷の出来に満足そうだ。


「ねえ、フィーネ? 」

「何?リリィ」

「海水浴にみんなで行かない? 」

「海水浴?ここから海は遠いし、魔物も出るから危険よ」

「私、泳ぎたい! 」

リリィはスッカリ夏の気分になってしまったらしい。

「そうねえ。湖で良ければ……」

「湖があるの? 」

「数時間歩いたところにウエス湖っていう、大きな湖があるわよ」

フィーネが言うと、リリィが食いついてきた。

「ウエス湖行こう!みんなで! 」

「面倒くさいなあ。でも、たまには良いか」

「やったー!ゴブローとオルガも誘おうよ! 」

「もう、好きにして良いわよ……」


こうして、2日後、フィーネたちはウエス湖に行くことになった。

オルガに馬車を出してもらい、荷物を積んで準備万端。

いよいよ出発の時がやってきた。


「水着も作ったし。浮き輪やボートも作ったし。準備OKね」

リリィが楽しそうだ。

「私は泳がないわよ」

フィーネは乗り気ではなさそうだ。

「まあ、たまにはこういうのも良いんじゃないか? 」

イブはもう水着を着ている。一番前のめりのようだ。


「今日はお誘いいただいてありがとうございます! 」

オルガが馬車を引く馬を撫でながら言う。

「わざわざ馬車まで出してもらってありがとう、オルガ」

スザクが言う。

「俺まで誘ってもらって良いのか?なんだか申し訳ないな」

ゴブローが言う。


「よし!出発しよう! 」

オルガが言うと、馬車がゆっくりと動き出した。


ウエス湖までは、馬車なら1時間ほどの距離だ。ウエス国最大の湖で、中央に島がある。そこには神の竜が祭られているそうだ。ウエス湖の神竜は、はるか昔、魔神と戦って勝ったという伝説が残っている。





森の中を1時間ほど走ると、視界が急に開けて、大きな湖が見えた。これがウエス湖だ。

「大きな水たまりキー! 」

モックが言う。

「モック、あれは湖って言うのよ」

リリィがモックに言う。

「きれいなところね」

スザクが言う。

「ここには魔物はいないと思うけど、一応気を付けてね」

フィーネがくぎを刺す。


馬車は砂浜に止まった。


リリィ、モック、ドンキーが、早速走り出す。

ゴブローとオルガは、敷物やパラソル、椅子など、荷物を手際よく準備する。


フィーネ、イブ、スザクは、水着に着替えて、水辺まで歩いていく。

「リリィ!あまり遠くまで行かないでよ! 」

「わかった! 」

フィーネは、やれやれという感じで息を吐いた。


「この森の中に、こんなにいい場所があるなんて知らなかった」

スザクが言う。

「この湖には神の竜が住んでると言われているの。水もきれいだし、波も穏やかだし。確かにいい場所ね」

フィーネが言う。

「もう我慢できん!ぼくは泳ぐぞ! 」

イブが水の中に入っていった。物凄い水しぶきを上げて泳いでいる。


「イブ、すごーい!私も泳ぐ! 」

「泳ぐキー! 」

「泳ぐキキー! 」


リリィとモック、ドンキーも泳ぎだした。


「フィーネ、私も行ってくる」

スザクも我慢できずに水に入っていった。


フィーネは、その様子を見ながら、平穏な時間を噛みしめるように楽しんでいた。


「フィーネ!準備ができたよ! 」

オルガがフィーネに向かって叫んだ。

セッティングが出来たようだ。

フィーネは早速、椅子に座り、冷たい紅茶を淹れる。

「やっぱり、のんびりが一番」

そういうと、アイスティを一口飲んだ。





フィーネたちがバカンスを楽しんでいるころ。


ウエスの森を移動する、黒い影が湖の方向に向かっていた。


「お兄様、今回の任務は小娘を捕らえるだけの簡単な任務。なぜ私たちまで駆り出されるのですか? 」

「フウジンよ、任務に簡単な物はない。気を抜くな」

「わかりました。お兄様」

「ビャッコたちが手こずった相手だ。気を引き締めていくぞ」

「はい」


フウジンとライジンが、フィーネたちに襲い掛かろうとしていた。



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