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転生99回目のエルフと転生1回目の少女は、のんびり暮らしたい!  作者: DAI


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第20話


ここはウエス国の森の中。


遺跡で「謎のカギ」のことを調べていたフィーネたちは、人買い組織のビャッコたちに襲われた。今、リーダーのビャッコとフィーネが正に対峙している。


「ここからは、私が行きましょう」

ゲンブとホウオウを後ろに引かせて、ビャッコが出てきた。


「ああもう、面倒くさいなあ」

フィーネは、とても嫌そうな顔をしている。


「前回もそうでしたが、面倒くさいとは失礼ですね。私の力を思い知りなさい」

ビャッコは、そう言うと両手から黒い波動を放った。


バリバリバリッ!

黒い波動がフィーネに襲い掛かる。


「防御せよ、バリア」

フィーネの体を瞬時にバリアが包み込む。

黒い波動は、バリアで弾かれた。


「なるほど。では物理攻撃はどうでしょうか? 」

ビャッコの手に長い細身の剣が現れた。

「私の剣さばきは、よけ切れまい!! 」

ビャッコが素早い動きでフィーネに襲い掛かる。


フィーネはビャッコの動きよりもさらに速い動きで、軽々と剣を避けていく。

「なにこれ。止まって見えるんだけど」

フィーネが余裕の顔でつぶやく。


「くそっ!こんなはずでは……」

ビャッコは、かなりショックを受けている。

「ならばこれならどうだ! 」

ビャッコは黒い波動をその剣に移した。剣が一回り大きく見える。

「黒波動剣! 」

ビャッコが、先ほどとは比べ物にならない速さでフィーネに襲い掛かる!


ビャッコの視線からフィーネが消えた。

「どこへ行った!?  」

ビャッコが唖然として叫ぶ。

「ここよ」

フィーネは、剣の先に立っていた。

「何!? 」

「もういいかしら? 」

フィーネはそう言うと、ピョンと剣から飛び降り、そのまま、ビャッコに蹴りを食らわせた。


グワッ!ドーン!

蹴られたビャッコは、そのまま壁に激突した。


それを見ていたスザクもリリィたちも、呆気にとられている。

「フィーネ!もう、遊びはこれくらいにして、家に戻ろう」

イブが平然と言う。

「そうね、家に帰りましょう。本はテレポートさせるわ」


「くそ!覚えてろよ! 」

ビャッコは、そう言うとゲンブとホウオウを連れて逃げて行った。


「フィーネ!すごい!強い! 」

リリィが目をキラキラさせている。

「フィーネ強いキー!びっくりしたキー! 」

「びっくりキキー! 」

モックとドンキーも驚いている。


「伊達に99回も転生してないわよ」

フィーネが珍しく自慢げに言う。


こうして、遺跡の探索を終えたフィーネたちは、大量の本と共に家に戻ったのだった。





「冒険の後のお風呂は最高だね! 」

リリィが言う。

「最高だキー! 」

「キキー!! 」

モックとドンキーも気持ちよさそうに浮いている。


「ああ、疲れた。久々に激しく動いたから体が痛いわ」

フィーネが湯船につかりながらブツブツ言っている。

「フィーネがあんなに強いだなんて、私知らなかった」

スザクは、まだ興奮しているようだ。

「まあ、ぼくは知ってたけどな」

イブも頭に手拭いを載せて湯船につかっている。


「フィーネは、本当に凄いんだね! 」

リリィが目を輝かせて言うと、

「ただ、人より経験が多いだけよ」

フィーネが謙遜して答える。


「これからしばらくは、リリィにもお仕事してもらわないとね。あの本の翻訳を出来るのは、あなただけなんだから」

「ええーっ。たまには遊んでもいいでしょ? 」

「いいわよ。たまにならね」





ゆっくりと露天風呂で疲れを癒したフィーネたちは、早速、本の解読を始めた。

「えっと、この世界の果てには、深淵の国と呼ばれる魔物の国が存在する。その国に行く為の鍵は深淵の鍵と呼ばれる」

「あまり関係なさそうね。これは? 」

「魔法の本みたい。魔法の種類とか使い方とかが書いてある」

「これは、長期戦になりそうね……」


夕方まで作業を続けたが、特に役立つ情報は無かった。


「今日はこのくらいにして、夕ご飯にしましょう」

「わーい!ごはん♪ 」


「今日は趣向を変えて」

フィーネが右手を上げると、調理器具がかってに動き出して料理が始まった。


「今日は、日本食。かつ丼よ! 」

「わーい!かつ丼だー! 」

リリィが嬉しそうに頬張る。

「うん、この味付けは変わってて美味しい! 」

スザクの口にも合ったようだ。

「かつ丼とは、懐かしいな。今度はカツカレーにしてほしいぞ」

イブもご機嫌だ。


「まあ、豚肉はないから、グリズリーの肉なんだけどね。でも味は保証するわ」

フィーネは紅茶をすすりながら、満足げにうなずいた。





その夜。


ロッキングチェアに揺られながら、フィーネたちは食後のティータイムを満喫している。


「それにしても、あのビャッコという男。人間にしては強かったな」

フィーネが言うと、

「あいつは、魔の者だと思うぞ。油断しない方が良い」

イブが真面目な顔で言う。

「魔の者か……また、面倒くさいわね」

フィーネはため息をついた。





「最悪、魔神の復活もあり得るな」

イブは言葉を飲み込んだ。

もし、1000年前に倒された魔神が復活したら、世界が終わるかもしれない。

その前に「女神の魂を持つ子供」を見つけなくては……



夜空には満月が輝いていた。



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