表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【第一部完結】転生99回目のエルフと転生1回目の少女は、のんびり暮らしたい!  作者: DAI


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

18/93

第18話


ここはウエス国の森の中。ではなく、エルドランド王国。


勇者エル王子、"竜殺し"の異名を持つオークの戦士ガルム、大魔法使いハック、ヒーラー(回復士)のアンの4人は、王の前でエルドランド国王と謁見していた。


「我が息子エルと、その仲間達よ。この国には、魔王ミカエルの驚異が迫っておる。命運は、お前たちにかかっている。よろしく頼んだぞ。」

「解りました。父上。必ずや、魔王を封印して参ります。」


勇者エルたち4人は、魔王討伐の旅に出る前に、壮行会をすることにした。

【エルフの店】と言う、首都エルドでも珍しい、店員が全員エルフと言う酒場だ。


エルたちは席に着いて、ビールで乾杯をした。フルーティーで苦味が少ないビールだ。


「エル。魔王との戦いの前だ。飲み過ぎるなよ。」

ハックは、エルを嗜めるように言う。

「俺は、関係なく呑んで食うけどな!」

ガルムは、豪快にビールを飲み干すと、骨付き肉を頬張った。

「ガルムも飲み過ぎないで。介抱するのは、ハックと私なんだから。」

アンが少し呆れながら言う。

「魔王ミカエル。黒い闇に包まれた恐ろしい姿をしていると聞く。みんな、気を抜くなよ。」

エルが真顔で言った。

「アンの封印の秘術があれば、大丈夫。必要なものは、揃ってる。」

ハックが頷き言う。


「ところで、エルとアンは、結婚しないのか?」

ガルムが言うと、エルが盛大に噴き出した。

「魔王を封印するまではお預けね。」

アンが顔を赤らめて言う。

「ケジメは付けるつもりだ。」

エルも赤くなって言った。


4人は、夜遅くまで、お酒を楽しみ、

エルとハックが酔い潰れてしまった。


アンは、ガルムに気になっていたことを聞いた。

「ガルム、あなたは転生者だって言うのは、本当なの?」

「ああ、俺は、もう何十回も転生してる。」

ガルムが疲れた顔をして言った。

「私は異世界転移者。翻訳スキルなんてものが与えられたけど、役に立たない。私は時々、何のためにこの世界に来たのか分からなくなるの。」

アンが悲しそうな顔で言う。

「アンには君にしか出来ない仕事があるじゃないか。魔王ミカエルを封印する。」

ガルムは続ける。

「俺は何回も転生してる。でも、その意味はさっぱり分からない。もう、諦めてるよ。でも、生きて行くしかないんだ。」

アンが頷いた。

「私は、魔王ミカエルを封印する。その後のことは、その時に考えるわ。ガルム、ありがとう。」


エルとハックを宿屋まで連れて行き、翌朝、ガルムたちは魔王討伐に旅だった。








「う....ん。アン、エル!」


フィーネは夢を見ていたようだ。

「また、あの時の夢か」


フィーネは体を起こすと、魔法で紅茶を淹れた。

その紅茶を一口飲む。


「あの後も、色々あったわね。魔神が現れたりとか、ゴブリンの弟子も居たっけ。」

フィーネの頭に様々な記憶の映像が現れては消えて行く。


イブとスザクは、熟睡している。


「ちょっと、頭の整理をするかな?」

フィーネは、露天風呂に向かった。

更衣室で服を脱ぎ、広い湯船に入る。


「気持ちが良い....」


ふと、湯船の底に目が行った。


何か大きな鍵のようなものが沈んでいる。

「コレは何かしら?」

手が触れた瞬間、嫌な予感が虫唾のように走った。

両手で持ち上げると、悪魔のような装飾がされた、大きな鍵だった。

「何処の鍵だろう?」

とりあえず、鍵を置いて、また湯船に浸かった。


「あの遺跡のどこかの鍵とか?」

新しい冒険の気配がする。

「いえ、もう冒険は懲り懲り。」

フィーネはお湯に頭まで浸かった。


しかし、何か嫌な予感を感じるフィーネであった。






その夜。


いつも通り、テーブルを囲んで、賑やかな食事だ。

フィーネ、リリィ、モック、ドンキー、イブ、スザク。

いつの間にか、人数も増えた。


「でも、のんびりは譲れないわよ。」

フィーネの意思は硬い。



「ねえ、イブ。お風呂から、こんな鍵が出てきたんだけど、何か分かる?」

フィーネがイブに鍵を見せた。

「うーん、深淵の鍵に似てるけど、分からないな。」

「イブでも分からないか....」



「モック待てー!」

「お兄ちゃん、待つキキー!」

「待たないキー!」

リリィとドンキーとモックが、追いかけっこを、始めた。


フィーネとイブとスザクは、ロッキングチェアに座って、紅茶をすすっている。


空には満天の星空。いつも通りののんびりした食後のひと時。


フィーネは、のんびりと冒険の間で、珍しく心が揺れていた。

ガルムの記憶がそうさせるのだろうか?



「ねえ、遺跡に行って、この鍵の正体を確かめない?」

フィーネが言うと、

「フィーネがそんなこと言うなんて、珍しい。」

イブが驚いて言う。

「この装飾....なんか見たことあるような気がする....」

スザクが考え込んだ。胸の奥に引っかかるものを感じていた。


「難しいことは分からないけど、兎に角、調べてみよう。」

「わかったわ。私も協力する」

スザクが言った。

「そうとなれば、ぼくも協力しよう。」

イブも言う。


フィーネは、珍しくのんびりと新しい冒険との葛藤に心が揺れ動くのだった。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ