表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生99回目のエルフと転生1回目の少女は、のんびり暮らしたい!  作者: DAI


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

12/60

第12話


ここはウエス国の森の中。


 フィーネたちは、今日は薬草を取りに森の中に来ていた。

「みんな、私から離れないでね」

「わかった! 」

「わかってるッキー! 」

「まあ、迷子になっても、ぼくがすぐに探せるから大丈夫」

それぞれにバラバラになって薬になりそうな植物を探す。


「ねえ、フィーネ、これは? 」

「これは雑草ね」

「こればどうだキー? 」

「これは毒草よ、捨ててきて」

「まったく。勉強の成果が出てないじゃない」

薬草を見つけられないリリィとモックにフィーネも呆れ顔だ。


順調に薬草を集め続け、疲れたので休憩をすることにした。

「今日のお弁当は、フィーネ特製サンドウィッチよ」

「やったー!サンドイッチだ! 」

「サンドイッチって何だキー? 」

「野菜とかお肉とかをパンで挟んだ食べ物よ」

モックの疑問にフィーネが答える。

「お、懐かしいな。サンドイッチか」

「イブもサンドイッチを知ってるの? 」

リリィが尋ねる。

「ぼくも日本にいたことがあるからな」

イブが答えた。

「そうなの?女神様が日本で何してたの? 」

リリィは興味津々だ。

「それは内緒だ」

「えー、つまんない。教えてよー」

「いやだ」

「つまんないの! 」

リリィはむくれてしまった。

「でも、本当にイブが日本を知ってるなんて意外だわ」

「まあ、この世界と向こうの世界は繋がってるからな。これ以上は内緒だ」

「ふーん。それで私は向こうの世界に転生したことがあるのか......」

フィーネは納得したようにつぶやいた。





夕方になり、フィーネたちは家に帰った。

「今回もたくさん、薬草が集められたわ。みんな、ありがとう」

持って帰ってきた薬草を種類ごとに分けて、倉庫にしまう。


一仕事終えて、フィーネたちはいつも通りロッキングチェアーに座って、ティータイムを楽しんだ。

「やっぱり、一人よりもみんなでやると薬草集めも速く終わるわね」

「私、頑張ったもん! 」

「モックも頑張ったキー! 」

「そうね、ホントにありがとう」


「むにゃむにゃ、またカレーか、もう飽きたぞ。むにゃ」

イブは、疲れてもう寝てしまったようだ。


ドカーン!!


突然の爆発音にフィーネたちは飛び起きた。

何事かと思い、家を見ると。玄関に小さな穴が開いている。

フィーネがドアを開けて中を見ると、小さなドリアードがのびていた。


「ちょっと!大丈夫? 」

ドリアードの子供が正気に戻った。

「キキ!へいきだッキキ!この間は、助けてくれて、ありがとうだキキ! 」

フィーナは、また余計なことが増えたと思いながらも、

「あなたの名前は? 」

と聞いた。

「ドンキーだキキ! 」

「ドンキー、何があったの? 」

「モック兄ちゃんに会いたくて、走ってきたら、勢いがつき過ぎたキキ! 」

「まったくもう。面倒くさいなあ。時代戻れ、リバース」

フィーネの呪文で玄関のドアがあっという間に直った。


ドンキーは、どうやらモックに会いに来ただけらしい。

追い返すのも悪いので、フィーネは一緒に夕食を食べることにした。

とは言え、ドンキーとモックは水だけだが。


魔法で夕食の支度をして、ドンキーを加えた5人(?)で食卓を囲む。

「我が家も賑やかになったわね」

フィーネがつぶやく。


モックとドンキーはすっかり打ち解けた様子で、兄弟のようにじゃれ合っている。


フィーネは、イブに気になっていることを聞いてみた。

「ねえ、イブ。女神の魂をもつ子供って、どうやって探すの? 」

「その子供は、ぼくが見ればわかる」

「どの辺にいるとか、種族とか、何かヒントは無いの? 」

「女神とその子供は、自然に引かれ合う。待ってれば向こうから来るはずだ」

フィーネは納得いかないような顔をしている。

「そんな適当で良いの?世界の存亡がかかってるんでしょ? 」

「だから、こうしてぼくがココに来たんだ。信用して準備だけしてればいい」

「なんだか腑に落ちないわね……」


フィーネとイブが話し込んでいるうちに、リリィとモックとドンキーが追いかけっこを始めた。

「待てー! 」

「お兄ちゃん待てキキー! 」

「待たないキー! 」


「3人とも、家は壊さないでね! 」

フィーネが3人に言う。


フィーネとイブは、ロッキングチェアに座って、食後の紅茶を楽しんだ。

「ねえ、イブ? 」

「なんだ?フィーネ」

「私が99回も転生した理由って何なの? 」

「フィーネの魂は、世界を救う鍵なんだ」

「世界を救う鍵? 」

フィーネは驚いて聞いた。

「その魂の準備のために、99回の転生、つまり99回の人生経験が必要だった」

「私って、そんなに大きな運命を背負ってたの? 」

「まあ、ぼくが居れば、フィーネは何も心配することはない」

「なんだか、のんびりもしてられなくなりそうね……」

「とにかく、女神の魂を持つ子供と、99回転生した魂を持つフィーネが揃えば、世界を救える。そういうことだ」


「待てー! 」

「待つキキー! 」

「待たないキー! 」

相変わらず3人は追いかけっこをしている。


フィーネは深いため息をついて、紅茶を一口飲んだ。


「なんにせよ、みんなが居れば良いか」


星空を見上げながら、つぶやくフィーネであった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ