06S.疑似淫魔の娘 前編
この世界には、まだ淫魔が居なかった。「まだ居なかった」と、言うことは、後で来ると、言うことでした。この国は、大変良く出来た「新しい国」で有り彼女は、この国の町に、住んで居ました。この国の統治者は、異世界から飛ばされて来た存在で有り、強力な「攻撃魔法の使い手」でした。
その統治者は、とても魅力的な人物でした。その為、人がたくさん集まって来ました。何でも、聞いたことの無い「魔神」を、崇拝しており、この国の名前を、その魔神のものから取って、名付けたようでした。「キュービアンのリアンナ」が、この世界に「タイムリトア(時間遡行)」するように成ると、何故かそれに、呼応するように、この国に「疑似の者」達が、少しずつ、現れるように成りました。
また「リアンナの世界」には、存在しなかった「特殊な能力」を持つ者も、目立って出現するように、成りました。それは、何処かの「魔神の意思」により、連れ帰って貰えることを、待って居るようにも、見えました。この世界には「リアンナの世界」には、無いものが有りました。
この町に住んで居た若いOLの「鮎原ヒロミ」には、それらの事象には、何の関係も有りませんでした。彼女が住んで居た、この小さくて「新しい団地」には、家賃が安いことも有り、比較的若い学生が、多く住んで居ました。彼女は、奥まった所に有る、静かな1階の部屋に、住んで居ました。
最近、所々でミイラのような変死体が、多く見つかって居ました。それは当初、高齢な浮浪者が亡くなり、見つかったものと、思われました。しかし良く調べてみると、それらは若い人達の死体でした。死体の性別は、様々なものが有りました。最近この辺りにも、ミイラが見つかりました。それは若い男のものでした。
若いOLで有る、ヒロミの容姿は、身長155㎝位の肌色の白い、少し痩せて居ましたが、出る処が出て居る中々、魅力的な娘さんでした。彼女の髪色は、やや青味が掛かったグレイ色で有り、両耳が隠れる程度に、髪を伸ばしました。
彼女の最大の「顔の特徴」と、言えるのが、その目で有り、化粧をして、そうして居るのか、或いは素顔で有るのか、良く分かりませんでした。それは目の縁色が、上下供に「赤黒い色」でした。それでも彼女の顔の印象は、とても「綺麗で、可愛いOL」でした。
彼女は、時々いつも悩んで居るような、表情でした。彼女は、この団地の住人としては、古い方で有り、時々何かに、怯えて居る様にも、見えました。この町は、比較的温暖で有るので、彼女が部屋に居るときは、少し胸元が開いた「水色のTシャツ」と「短めの青っぽいスカート」を、履きました。それと彼女はハイヒールが大好きで、家に居るときも、いつも白っぽいヒールを履いて、過ごしました。
最近、彼女の上の階に、若い男子学生が、入って来ると、彼女はとても困った様に、慌ただしく自分の部屋を出たり、入ったりを繰り返すように、成りました。上の階の学生も、偶に見掛ける、この「綺麗なOL」を、良く見て居ました。休みの日に学生が、洗濯物を外に、干して居ると、偶に洗い物が下に、落ちるときが、有りました。
彼は、それを拾いに行って帰りに、何気無く彼女の部屋を見ると、いつも彼女は、物凄い顔をして、彼を見ました。学生は、何か気にすることを、彼女にしたのでしょうか、少し考えましたが、思い当たる節が、無かったので彼は、その場で挨拶をするとサッサと、自分の部屋に戻りました。
それからも彼の部屋は、彼女の階の直ぐ上の階に有ったので、外から帰ったときに、自分の部屋を、見ようとすると、下の階に住んで居る彼女が、いつも物凄い顔をして、彼のことを、睨んで居ました。学生で有る彼は「何であんな綺麗な人が、あんなに恐ろしい顔をして、自分のことを睨むのか。」少し不安に成りました。
そんな或る日、彼が外に出て居ると、下の階に住んで居た彼女が、彼に話し掛けて、来ました。「まだ挨拶が、済んで居なかったわね。私は、貴方が住んで居る、下の階に住んで居るヒロミよ。〝鮎原ヒロミ″と言うの、貴方は学生の〝省吾君″ね。貴方のことは、偶に見掛けて居たの。どうぞ宜しく。それと今度、私の部屋に、来てくれないかしら。貴方に言っておきたいことが、有るから。」と彼女は、省吾君に話しをしました。
彼は、いきなり彼女に「言っておきたいことが有るので、今度部屋に来て。」と、言われてしまい、嫌な感じがしたので「分かりました。今度、日を改めてお伺いします。」と、彼女に伝えました。その日は、それで済みましたが、省吾君は「余り彼女とは、関りを持たない方が、良いだろう。」と思い、彼女の部屋には、行きませんでした。
それから数日が過ぎた、或る日のことでした。彼の部屋のベランダに、干して有る、彼の洗濯物が、下の階で有る「彼女の部屋」のベランダの中に、落ちてしま居ました。彼は、余り深く考えずに、それを取りに行こうと思い、彼女の部屋のドアを、叩きました。
「鮎原ヒロミ」は、部屋に在宅中に、上の階から「男物の下着」のようなものが、自分のベランダの中に、落ちて来たのを、見ました。すると彼女は、急いで何かの準備を、始めました。丁度その頃に成ると「彼女の部屋」のドアを、誰かが叩く音が、しました。
ヒロミは、急いで返事をして、ドアに近づきドアを開けました。するとそこには、恥ずかしそうな顔をした「省吾君」が、立って居ました。彼女は珍しくその時は、彼に笑顔を見せてから、彼を部屋に入れました。部屋に入った省吾君は、言いづらそうに、何かを言おうとしたら「鮎原ヒロミ」の方から、先に言いました。
「遅い!何でもっと早く来てくれなかったの。いいから早く上がって、こっちに来て座って。」と彼は、彼女に怒られました。それから省吾君は、中に招かれて、奥まった所に、座らされました。その時のヒロミの様子は、余り化粧気の無い、素に近い顔でした。
しかし彼女の目だけは、いつも通りの、目の上下の縁が赤黒い色に、縁どられて居ました。この縁色は、どうやら生まれ付きのようでした。今日の彼女は、寛いで居たようで、彼女の服装は、いつもよりも、胸元の開いた「Tシャツ」と、スカートの丈も、いつもより短めでした。
彼女は、台所に行って彼の為に、お茶の支度をしました。彼が、座らされた場所から、彼女の後姿が、良く見えました。彼女は、背伸びをしながら、上の引き戸を開けて、コップを取りました。彼女の短めのスカートからは、白くて綺麗な素足が、良く見えました。
今度は、彼女が座り込んで、下の引き戸を開けて、何かを、取り出そうとしました。彼女が座り込んだ、後ろ姿からは、スカートの下の方から「白くて大きな」彼女の、お尻の割れ目が、見えました。彼は、それを見ると、ビックリしました。どうやら彼女は、下着を穿いて居ないようでした。省吾君は「これは、少し不味いかも知れない。」と、思いました。
彼は、初めの頃には、余り気付きませんでしたが、少し落ち着いて、周りを見ると、彼女の部屋からは、何か得体の知れない、強い「獣の臭気」が、しました。それは、何かから、発せられた「性的なフェロモン」かも知れませんでした。それが充満した部屋でした。彼は「そんなことは無いだろう。」と、思いましたが、いつしか部屋の「強い臭気」のせいか、彼の足腰が痺れて、立てなく成りました。
彼女は、台所から戻って来ると、大きなコップに炭酸ジュースを注いでから、省吾君に「全部飲んで。」と、促すように差し出しました。すると彼は、良く分からないままに、そのコップを手に取ると、彼女が見て居る前で一気に、ジュースを飲み干しました。彼女は、少し嬉しそうに、彼を見ました。




