02S.5種のキュービアン
「キュービアンの末裔達」は、この時代では「原種の魔人」と、呼ばれました。見た目は、ダルタニアの地下世界で有る「アルザンティア」に、住んで居た6色魔人の内の1種族で有る「黒色魔人」と、良く似た肌色をしました。しかしその魔人よりも、肌色が薄くて「独特のオーラ」を、解き放ちました。
「魔神リーリス」達、外部の魔神達が、飛来したときには、まだそこには、魔神達が創造した魔人類は、存在しませんでした。しかしキューブィの内部世界のダルタニアには、既に「固有種」で有る、彼らが存在しました。
「右側神サタナス」が、淫魔族を創る前には、この「固有種」を代わりの者として、使役しました。サタナスの後継神で有る「魔神リーリス」は、大層この「固有種」を、気に入り、最後には、眷属と成った固有種達に、恩賞として「サタナスの刀剣」を、数本ずつ授けた程でした。
今の時代のキュービアンの末裔達は、既に「4種態」を、解き放って居たので「人間態」のみの形態でしか、生まれなく成りました。「グルバンのビビアン」に、囚われた「リアンナ」も、能力的には6色魔人達と、大差無いものでした。
しかし「魔神リーリス」からの「大脳修復施術」を、受けてから「キュービアンの種の起源」にまで、遡って行ったことで、リアンナのみは「4種態」を、宿したままの、解放前の形態を維持した「初期型キュービアン」として、蘇ることが出来ました。
この「初期型キュービアン」の最大の特徴は「実に死に難い体質で有る」と、言えました。「匠大神サタナキア」が創った、キュービンに於いて、その内部世界を、多数の生命体で満たす為に、創造された「初めての生命体」でした。その為、直ぐに死なれては、困ることも有り「死に難い体質」として、創造しました。
彼らは「5体で1体を、形成した」ので、5体の内の1体が、何処かで死んでも、他に4体が残って居れば、そこから「生き返ること」が、出来ました。最大で4体共、死んだとしても、最後に「1体さえ生き残れば」そこから4体共、生き返ることが、出来ました。また5体とも同時に、死んでしまったとしても、近くに同族さえ居れば、そこから生き返ることも、可能でした。
彼らは5体で、1組を形成して、1体のみが代わる代わりに、個別に出現することも無く5体共、同時に出現することが、可能でした。この5体は、1体のものから、アメーバーのように分離して、時間を掛けて「別個体を形成する」ことも無く、一瞬で変化して、一瞬で最大5体に、分離することが出来ました。その仕組みを個々の学者達が、理論的に説明しようとしても、誰も説明することが、出来ませんでした。
「リアンナ」は、ハマー隊のメンバーが、傍に居るときは、5体に分離することは、有りませんでした。リアンナは「女性の姿」でしたが「キュービアンの性別」は、どちらにも「変化が可能」でした。
ただ生まれながらの「個体の本質」のようなものが、有るらしく、リアンナの場合は「女型属性」が強いので、本来の属性は「それで有る」と、思われました。キュービアンの5体とは、①人間のような姿のもの②犬のような姿のもの③猫のような姿のもの④鳥のような姿のもの⑤蜥蜴のような姿のもの、の5つでした。
リアンナを①の人間のような姿のものと、すると②の犬のような姿のものとは、身体が逞しくて体色が黒い、大型犬のような、格闘に秀でたケダモノの姿でした。この犬は、リアンナの近くに出現すると「力の弱いリアンナ」を、いつも守護するような、行動を見せました。
リアンナは、この犬のことを「イヌン」と呼んで、いつも頼りにして居ました。この「犬型キュービアン」は、戦闘の他、移動能力にも優れて、苦も無く遠距離を、移動することが、出来ました。
そして③の猫のような姿のものとは、体色が黄金色に輝いて居る、大型の猫のような、敏捷性の高い、ケダモノの姿でした。この猫も、リアンナの近くに出現すると「力の弱い彼女」を、いつも守護するような、行動を見せました。
リアンナは、この猫のことを、いつも「ネコン」と呼んで、可愛がりました。この「猫型キュービアン」は、戦闘の他、発掘能力にも優れて、何処からともなく、有意義なものを持って来る習性を、持ちました。イヌンとネコンは「戦闘に秀でたキュービアン」でした。
そして④の鳥のような姿のものですが、この鳥は、白い大柄な、オウムのような姿でした。頭には黄色いトサカ状のものが有り、感情が高まると、トサカ状のものが縦に、広がり、大きな声を挙げて、相手を威嚇しました。この鳥は、身体が大きい割には、高い飛行能力を持ち、空間を変幻自在に、飛びました。また暗闇でも視界に優れて、猛禽類のように、小動物を捕らえて、食べることが出来ました。
そして嘴と足の爪には、猛毒を隠し持って居るので、それに傷つけられると、敵対者は、速攻で麻痺して、動けなく成りました。リアンナは、この「鳥型キュービアン」のことを、いつも「トリス」と呼んで、調教しました。トリスは、リアンナの近くに出現すると、決まって彼女の右肩に停まり、対面者を観察しました。
そして最後に⑤の蜥蜴のような姿のものですが、これは、コモドオオトカゲのような姿でした。身体も大きめで有りそこには、魚の鱗状が有りました。その為、水中に潜ることが、出来ました。また「えら呼吸」が、出来たので、水中での活動が、可能でした。
この蜥蜴型は、戦闘に成ると、とても有利で、トリッキーな戦闘を、得意としました。先ずは、身体が透明化して、相手から見えなく成りました。そして足の構造上、無音で歩けるので、相手の近くに出現することが、出来ました。そして、この蜥蜴の牙と爪と尻尾の先には、極めて致死率の高い、猛毒を注入することが、出来ました。
それから体内と外皮からは、猛毒の霧を排出することも、出来ました。リアンナは、この「蜥蜴型キュービアン」のことは「イグアン」と呼んで、出現時には、いつも縫いぐるみを抱くように、両手で抱えて、それを抱き締めました。
また①の人間のような姿のものとは「リアンナ」のことを、言いました。しかし彼女は本来、戦闘には不向きな「キュービアン」でした。しかし今回は「魔神リーリス」の使命を受けたので、彼女の大脳皮質に「魔神リーリスの御加護」が、組み込まれました。その御加護とは「彼女の使命が、上手く行くように、何時でも〝魔神の声″が、聞けました。」
そして危険な「若い娘の1人旅」と、言うことも有り、彼女の戦闘能力が、ずば抜けて、強化されました。それは、彼女の両手には、戦闘時には、極めて殺傷能力の高い武器で有る「魔銃ミラージュ」と言う「魔神リーリス」の外骨格を模した「漆黒の銃」が、出現しました。
そしてこの銃が、弾丸を発射する度に、魔神が「リーリスのクビキ」を、行うときのように、銃身が「赤黒く不気味な色」に、変わりました。そして「赤黒く変色する」度に「弾丸の威力が増す」と、言われました。この魔銃の弾丸は、無尽蔵なので幾らでも、連射が可能でした。
その弾丸の材質は、金属類では無く、とても硬い気流のようなモノでした。生物系で有れば、当たれば一発で、即死レベルの「死の銃」でした。「魔神リーリス」は、この魔銃を、リアンナに授けると「邪魔するものは、全て抹殺せよ。」との「至上命令」を、彼女に与えました。
そして一番大事な「タイムリトア(時間遡行)」と言う、リアンナを数百万年も前の、世界に戻す能力ですが、本来この能力は「ダルタニアの最高位魔法の1つ」と、言われており、能力者は、主に「パルパンティア(浮遊大陸)」に、存在した「リトリン」と言う「女型の縮小魔人」の一部の者にしか、使用出来ない「高位能力」でした。
それもリトリンが、過去に戻れる範囲は、僅か、数ヶ月前から、最高一年位前までの世界でした。それをリアンナは、一気に数百万年前までの世界に、戻ることが、出来ました。この能力は、魔神と言われた「神の系譜」に、所属するものが彼女に、直接授けた能力で有り、これこそが「神の奇跡」と、呼ぶに相応しいものでした。
リアンナが「タイムリトア」を、実行する為には「ただ思うだけ」で、訪れることが、出来ました。「魔神リーリス」が、言うには「そのときの思いが、強ければ強い程、上手く行く」と、言いました。リアンナが、今までに過去に戻ったことは、只の一度も、有りませんが、彼女は何も、心配しませんでした。
それよりも1日でも早く「幼い弟を、連れ戻したかった」のです。数百万年も前に、存在した弟を彼女は、多分何十回も、生まれ変わったであろうが、今回初めて彼を、連れ戻せる機会を、得られたのでした。弟の名前は「ログゼル」と、言いました。小高い山の中腹に建つ「小さな家」に彼女は、弟と2人だけで、暮らしました。