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マリ×ルカ〜第一王子に婚約解消されたので、好きに恋愛させてもらいます!〜  作者: 岩永久子
第三章 公爵邸でお茶会を

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幕間3 バイオレット・バレンティ公爵夫人 ②

すみません、リオナ、出てきませんでしたっ!!



 勅命を賜ってから一月、私はセインス国に立っていた。


 セインス国が未知の遠方の国であることから、もっと時間がかかると思っていた旅程は、使節団の中に転移魔法の使い手がいたことで大幅に短縮された。魔法陣を使った大規模な転移魔法の存在は公にされておらず、ベアステラ国の魔法師団が研究の末、最近実用に至った秘匿魔法の一つだそうだ。


「転移魔法の中継地点を作るためにセインス国探索隊にも参加したんですけどね。情報を知る行商人が思っていたより近場で見つかったので、隣国までしか転移できないんですよ」


 なんて笑いながら言うのは、この度の使節団の一人、魔法師団長だ。彼の転移魔法によって、私達使節団と案内役の行商人の計六名は、ベアステラ王城から一瞬で隣国まで辿り着いた。

 因みに、転移魔法の存在は私の魔法と同じく国家機密のため、使節団と案内役の行商人全員に、他者に口外しないための魔法誓約がなされている。


 隣国に転移後は、行商人の案内に従ってひたすら北上した。馬車を使うこともあれば、魔法師団長の魔法で空を飛んだこともあった。そうして進んだ先には、広大な海が広がっていた。

 初めて見る海は途方もなくて、私は本当にこの先に陸があるのかと不安になった。行商人から、ここから船で二十日程かかると聞いた時には眩暈がしそうだった。海の向こうの大陸では、私達の言葉は通じないそうなので、翻訳の魔道具を購入する。その時に利用した商会にお願いして、私達もセインス国行きの商船に乗せてもらえることになった。

 ここまで案内してくれた行商人とは港で別れて、私達使節団一行は船路を行った。そうして、約二十日間の航海の末、無事にセインス国に到着したのだ。


 セインス国に到着してすぐに、魔法師団長が陛下からの親書を王城へ届けた。勿論魔法を使ってだ。さすが、魔法師団長は色々な魔法が使えてすごい。

 王城からの返事を待つ間、私達はセインス国の王都に向かって移動していた。

 セインス国で驚いたのは、なんと言っても国民の瞳の色だ。ベアステラ周辺国には珍しい、紫色の瞳の者が多くいる。そして黒髪。瞳の色は紫以外にも色々あったが、髪の色はご老人の白髪以外は皆、艶やかな黒髪だった。稀に見かける黒髪でない人達は、私達の様な他所の国から来た人達らしい。黒髪はベアステラ周辺国には多少いるが、生粋のベアステラ人にはいない髪色だ。珍しくてつい色々な人を眺めていたら、あることに気づいた。


「皆、耳に小さなピアスをしているわ」


「そうですね。男女問わず多くの方がつけていますね……私達も目立たない様、小ぶりのピアスをつけましょうか?」


「そうね」


 公爵家から連れて来た、私の護衛兼メイドのリーアからの提案に頷き、私達二人は耳にピアスをつけた。


 王都に向かう道中は、見たこと、経験したことのないことが多くて楽しかった。


 まず、関所を通るために必要な身分証を手に入れるため、使節団全員が冒険者になった。

 そして冒険者の立場を利用して、次の町に行く商隊の護衛として雇われた。その際、私達(主に魔法師団長)が魔法であっさりと魔物を倒すものだから、商隊の専属護衛に驚かれたりもした。

 逆に、その時軽く怪我をした人々を商隊専属治癒士がさっと治していて、私達使節団はかなり驚いた。

 私達の驚き様に治癒士は不思議そうな顔をしていたが、私達が海の向こうから来たことを伝えると、納得したように微笑んだ。


「なるほど。だからあんなに強力な攻撃魔法を使えるんですね。セインス国の魔法使いは、大半が聖属性魔法使いなんです。だから、それ以外の属性魔法は苦手な人が多いんですよ」


 そう言って、他にも驚きの事実を教えてくれる。


 なんでも、私達が受けたこの護衛依頼は、商隊が新人冒険者に仕事を与えるために出している、ボランティアの様な依頼であること。そもそも、商隊には聖属性魔法で結界を張っているので、魔物に襲われることはない。盗賊には専属護衛が対処するし、わざわざ護衛を冒険者に頼む必要はないのだ。


「それでも冒険者ギルドに依頼を出しているのは、新人冒険者が将来うちの顧客になってくれる可能性があるからです。うちの商会はセインス国全土で商売をしております。高ランクの冒険者の方々は、珍しい素材を卸してくれたり、高価な品物を購入して下さったりする、大切なお客様です。そのお客様との縁を、新人のうちに作っておくのが我々のやり方なのです」


 そう言ってキラリと目を光らせたのは、この商隊の商隊長だ。若い外見とは裏腹に、百戦錬磨の商人の様な独特のオーラを放っている。大きめのウェーブがかった黒髪に、赤茶色の瞳をした痩せ型の男性は、自らをアカと名乗った。


「異国の高貴な身分の方々とお知り合いになれましたこと、大変嬉しく思います。これも貴重な縁。我が国と交易される際には何卒、このエンコ商会を使って頂けますと幸いです」


 私の前で赤茶色の瞳を細めて、黒髪の頭を恭しく下げた商隊長。私達の身分が高いことを一瞬で見抜いた上、この中で一番高位の人間を嗅ぎ分けるとは、さすがの商人の嗅覚である。


 私は彼の商売人としての姿勢に敬意を表して、ベアステラ王国の代表として挨拶をする。


「私はベアステラ王国から参りました、バイオレット・バレンティと申します。私達はセインス国と友好関係を築きたいという陛下の命で参りました。一応、私が公爵夫人としてこの使節団の顔役を務めております。セインス国との外交が上手くいきましたら、エンコ商会のアカ様にセインス国の品物を融通して頂きたいですわ」


 私がにっこり笑顔を浮かべてそう言うと、アカ様は


「その際には是非ともご連絡ください」


と商会の連絡先を教えてくれた。


 そうこうしていると、魔法師団長の下に鳥が舞い降りた。どうやらセインス王城からの返信のようだ。


「夫人、国王が王城へお招き下さるそうです。王城へ送った使いに転移ポイントを持たせていますので、すぐにでも飛べます」


 魔法師団長の言葉に私は頷いた。


「参りましょう。早い方が良いです。アカ様、依頼の途中で申し訳ありませんが……」


「いえいえ。素晴らしい魔法も見せて頂きましたし、素敵な縁も結べました。依頼は無事完了したと、冒険者ギルドには伝えておきます」


「ありがとうございます。では皆様、行きましょう」


 私がそう言うと、魔法師団長がさっと魔法陣を描き上げ、発動させた。魔法陣と共に私達使節団五人が光り始める。


「ご連絡、お待ちしています」


そう言って頭を下げるアカ様に手を振った次の瞬間には、私達は森の中にいた。


まさかバイオレット視点の幕間がここまで長くなるとは……なんか冒険してるし。なにこれ。

次こそはリオナ出てくると思うのでっ!きっと!幕間もできれば次の話で終わりたいのですが、果たして終われるのでしょうか?

本編が読みたい方、すみません……


次回も幕間ですが、どうぞよろしくお願いします。

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