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マリ×ルカ〜第一王子に婚約解消されたので、好きに恋愛させてもらいます!〜  作者: 岩永久子
第三章 公爵邸でお茶会を

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幕間3 バイオレット・バレンティ公爵夫人 ①

章終わりの恒例となっております、幕間です!

今回はマリアンヌのお母様、バイオレット視点で過去回想となっております。よろしくお願いします。



「お兄様、ありがとうございます!!お兄様がダンジョンから摘んで来てくれた植物のお陰で、ルカともっと親密になれましたわ!!」


 娘のマリアンヌが家族の夕食時に嬉しそうにそう言ったのは、彼女とその友人達が公爵邸で夜会練習をしたその晩だった。


「いつの間に愛称で呼ぶ仲になったんだ!?」


「あら、今日ですわ」


「展開が早すぎる!!」


 愕然とした顔の息子、ライアン。そして同じく、言葉を失うほど驚愕している夫のジョージ。うちの男性陣は、とても家族思いで感情豊かなのだ。


 ところで、ジョージはともかく、ライアンはどういう意味で驚愕しているのだろう。もしかして、自分が奥手で彼女が出来ないからだったり……などと考えるが、息子の考えなど知る由もない。私の魔法は、自分の魔力を他人の身体に流し込むことで、その人の考えていることを読み取ることができる。けれど勿論、普段から使うようなことは決してないから。


 男性陣の動揺をかけらも気にしていない様子のマリアンヌは、無表情の顔をほんのりと赤く染めて、今日の出来事を思い出すようにうっとりしている。


「あの草、フウセンソウと言うのですって。素敵なジンクスがあるから、フウセンソウを刺繍したハンカチをルカにプレゼントしたのよ」


「風船草……」


 マリアンヌの言葉に、思わず呟く。懐かしい。私の大切な友人も、その草が大好きだった。


『ねぇヴィオ。風船草にはね、とっても素敵なジンクスがあるのよ』


 彼女の母国では身近だったという風船草は、この国では一部のダンジョンでしか手に入らない珍しい植物だった。彼女はそのことにガッカリしていたっけ。


ーーああ、リオナ。今ならうちの温室で、貴女の好きな風船草を見せてあげられるのに。


 そんな言葉を胸に抱きながら、彼女と出会い、過ごした日々のことを思い出していた。




♢♢♢♢


 今から約二十年前のこと。ベアステラ王国には大きな危機が迫っていた。先代の聖女が亡くなってから百年、その間に一人の聖女も見つけられなかった我が国の結界は、限界を迎えようとしていた。


 特に最西端のライオネル領では、頻繁に魔物が出没するようになり、一刻も早い聖女の出現が待たれた。平民も含む全ての国民に魔力検査を義務付け実施したが、国中を覆うほどの聖結界を張れる者はいなかった。


 日に日に増える魔物に、ついに国王、ルドルフ・ベアステラ陛下は他国から聖女を迎えることを決断される。


 けれど、ベアステラの周辺国には聖属性魔法を使える者が少ないため、強い聖属性魔法を使える者はすでに母国の国防を担っている可能性が高い。そんな貴重な人材を他国に派遣してくれるとは思えず、ましてベアステラの結界が弱まっていることを知られたら、これは好機と攻め込まれてもおかしくはない。よって、周辺国に頼ることは不可能だった。


 そこで、ベアステラ王国からかなり距離があり、強力な聖属性魔法を使える者を多く輩出すると噂のセインス国に話を持ちかけることにしたそうだ。


 当初、セインス国を頼ることは無謀な賭けだと言われていた。遠すぎて、我が国はもちろん、周辺国にも交易のある国はなく、遠い北の大陸にあると存在が噂される程度の情報しかない。本当に聖属性魔法の得意な者が多いのかも分からない中で、反対意見を振り切ってルドルフ陛下はセインス国探しを強行した。


 結論から言えば、セインス国はあっさりと見つかった。


 セインス国探索隊の者達が隣国でたまたま知り合った行商人の中に、セインス国まで行ったことのある者達がいたのだ。


 探索隊は行商人達に事情を説明し、ベアステラまで来てもらった。そして、ベアステラの王城で、国王陛下にセインス国までの行き方などの情報を話してもらったのだ。


 その際、彼らの話に嘘はないかを見抜くため、バレンティ公爵家から読心魔法が使える私が呼ばれた。


 夫同伴で王城に呼ばれた私は、魔法で行商人達の話す情報に虚偽がないことを確認し、彼らが無意識に省いたセインス国王家の情報なども読み取り、陛下に伝えた。


「セインス国王家の者は代々、聖属性魔法に非常に長けているそうです」

「そうか」


 私の報告に、ルドルフ陛下は一度考えるように瞼を閉じた。そして、しっかりとした決意の籠った眼で私に問いかけた。


「セインス王家に、未婚の女性はいるだろうか?適齢期であれば尚良い。私は、セインス王家から妻を娶り、聖女に据えようと思う」


 射抜くような陛下の青い瞳に、私は決意の重さを感じた。それは、彼が常々考えていたことだったのだろう。確かに、他国の王家筋の姫を迎え入れるなら、それなりの地位を用意しなければならない。聖女も我が国では最高位の地位にあるが、聖属性魔法の使い手が多いセインス国にしてみれば魅力的な地位に見えないだろう。


「あくまで、行商人達が聞いた市井の噂話からの情報ですが……セインス国王には四人の王女がおり、長女以外の三人は未婚。中でも、十九歳のリオナ第三王女は治癒魔法が苦手で、結界魔法に長けているそうです。どちらの聖属性魔法も高水準で使いこなせるセインス王家出身のため、肩身の狭い思いをされていると。婚約者もなかなか決まらず苦労しているご様子。彼女なら、我が国の提案をのんでくれるかもしれません」


 陛下にそう進言しながら、私は最近王妃になった友人の顔を思い浮かべる。国のためとは言え、彼女の夫に別の女性を勧めているのが心苦しい。

 伏目がちな目を少し上げれば、陛下は依然として真っ直ぐにこちらを見ている。青い瞳がきらりと光った。


「そうか。では、リオナ第三王女に求婚しよう。そのためにまず、セインス国に使節団を送りたい。できるだけ少数で、あちら側に威圧感を与えず、失礼に当たらない様に位の高い者の派遣が望ましい。かつ、セインス国側の情報を秘密裏に取ってこれる者だと尚良し」


 陛下の真っ直ぐな視線が私に刺さる。私の隣で一緒に話を聞いていたジョージが、陛下と同じ色の瞳を見開いて固まっている。

 陛下の言いたいことは、すでに分かっていた。


「バイオレット・バレンティ公爵夫人、セインス国に行ってくれるな?」


 私は固まってしまった夫を宥める様に彼の手を握り、目線は陛下から逸らすことなく微笑んだ。


「御意に」


お読み頂きありがとうございました♪

次回も幕間が続きます。ルーカスの母、リオナも登場予定です。

早めにお届け出来るように頑張ります!

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