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最弱冒険者はパーティーから捨てられる  作者: 秋元智也
旅の始まり
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92話 ボス部屋

アンデッドが終わると、ただの遺跡の中をただ散歩している気分になった。

なぜなら、もう魔物の気配がないからだった。


奥に大きな気配はあるが、きっと出て来ないボスなのだろう。

一番奥の突き当たり。

そこだけが異様な空気を放っていたのだった。


奥の突き当たりまで行くと、彼女達にもわかったらしい。

異様な空気の原因がこの部屋の中にいると言うことに。


「ここってボス部屋って事ですよね?」

「あぁ、多分……」

「初めてだね!どんなボスなんだろう〜、楽しみ〜」

「うーん、多分だけど……」

「リッチじゃないかしら?さっきのワイバーンでも、そうだけど、その

 魔物の上位種が出てきたじゃない?だったらアンデッドの上位種って

 言ったら……リッチよね?」


エルドラの知識は確かに優れていた。


「リッチって、ふよふよしてるやつだっけ?」

「シェナちゃん、ちゃんと授業聞いてた?リッチには物理攻撃が効かな

 いかわりに水属性、雷属性は耐性があるの、そして火属性と聖属性だ

 けがダメージが通りって、常に見ておかないといきなり別の場所に現

 れるなどの移動手段もあるから要注意なの。私の土属性はもちろん効

 かないわ」

「エルドラさんは、本当に詳しいんだな〜。すごいよ」

「そんな事ないです、学校で全部習った事なので」

「えーそうだっけ?」

「シェナちゃんはいつも聞いてても覚えないもんね〜。」


二人はよっぽど仲がいいらしい。


「なら、武器に聖属性のエンチャントをかけておけば戦えそうだね」

「助かります。」

「ありがとう〜、じゃ〜、私が切り込んでいけばいいね!」

「シェナちゃん。話聞いてた?」

「うん、聞いてた、聞いていた」


つい二人の漫才並みの言い合いに笑いが溢れた。

カイト自身一人で黙々とやっていただけに、誰かがいると言うのも

いいものだと思ってしまう。


だが、前のように仲間がいると言う事はいつかは追い出されるという

事でもある。


そうなるのが辛い。

だったら、ずっと一人なら、そんな思いをしなくてもいい。


騙されるくらいなら、一緒にいない方がいい。

誰も信じたくない。


自然とそう考えるようになっていた。

いっときの気の迷いなのだろう。

楽しいと思えるのは、初めだけ。


そう考えると、ボスの部屋のドアを開けたのだった。

重く、重厚感のあるドアを開けると、中は真っ暗だった。


「じゃ〜いい?行くよ?」

「「はい」」


3人は中に足を踏み入れると、壁際の明かりがぽうっと光だし、部屋全体

が薄暗いような青い光に包まれていったのだった。


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