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最弱冒険者はパーティーから捨てられる  作者: 秋元智也
旅の始まり
71/163

69話 ナナの最期

いくら高級ポーションでも、死にかけた傷は治せないし、治癒

には魔力とポーションのどちらも使うと聞く。


「やっぱりカイトさんは凄い人だったんだ……」


ナナは急いでセオドア達の荷物を漁った。

もしかしたらもう一本あるかもしれない。

そう思ったからだった。


ないと思うと、今度はメンデの荷物を探す。

すると、ナナに渡されたのと同じ瓶をみつけた。


買ったポーションにはラベルが付いている。

が…これには何の表示もなかった。


「これさえ使っていれば、死ななかったかもしれないのに……」


ポーションを手に握りしめると、立ち上がった。

このままここにいても仕方がない。


魔法学園に戻ろう!


あそこなら外部からの干渉を受けない唯一の安全な場所だっ

たからだ。


まずはこの森を抜けて、街へ出なければならない。

あとは馬車が拾えればすぐに立つようにお金を弾めばいい。


杖を握りしめると、歩き出した。

これからは、たった一人で進まなければならない。


目指すは隣町。

怖かったが、遅い足取りで向かって行ったのだった。

途中で川を見つけるとそこで水を調達した。


唯一の飲み水だ。

大事にしないと……。


「すいませーん、このあたりの人ですか?」

「あ、はーい。私は通りかかっただけで……」

「そうだろうな。まだ生きていたとはな……」


人畜無害そうな農民風の男が近づいて来たと思ったら、即座

にナイフが突き刺さるのを感じた。


「えっ……うそ………」


ドサっと倒れると、意識が遠ざかっていく。


男は何やら話している。

他にもいるのだろうか?


「あとはカイトって奴だけか……チッ、どこまで行ったんだよ。

 全く」


自分たちは狙われていたのかと知ると、もっと早く行動すれば

よかったと後悔した。


カイトからもらった命。

こんなところで散らせたくない!


ポーションを口に含むと一気に杖を振る。


「おい、まだ生きてるのかよ!」


火炎は男の横をそれてしまった。

再び魔法を発する前にポロリと腕が地面に落ちていたのだった。


「いやぁぁっぁーーー」

「うるせ〜女だな……、一体どうやって毒を解毒したんだ?いや、

 それよりもさっきの傷はどこいったんだ?」


腹を蹴るとさっき刺した傷を確認する。

服は破けているのに傷がない。

毒に侵されているようにも見えない。


「こいつ連れて帰りますか?」

「止血しないと死なないか?」

「あぁ〜そうだった。腕落としたんだったな……おい、腕くっつ

 けてみろ?そしたら生かしてやるぞ?おい、聞いてんのか?」


なんとも無茶苦茶な要望だった。

だが、それは無理な注文だった。


ポーションはもうない。

さっき飲み干したので最後だ。


泣き叫びながら次第に動かなくなって行ったのだった。


「なんだよ、つまんね〜の!」

「お前が殺ったんだろ?さぁ、先に行くぞ」


ナナが死んだのを確認した上で、連れと一緒に先へと向かった

のだった。


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