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最弱冒険者はパーティーから捨てられる  作者: 秋元智也
旅の始まり
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68話 ナナの回想

新人冒険者ナナにとって、魔法学園での生活は退屈なものだった。


「早く実習行きたいな〜」

「おいおい、実習って冒険に行くのか?」

「もちろんだよ!魔法だってもう一人前に使えるもん」

「すぐに息切れするくせに…」

「それは周りがサポートしてくれればいいでしょ!」

「はいはい、お!ゲイル、今日も自主練か?」

「あぁ、そんなところだ」


魔法師のナナ、重戦士のバン、弓使いのゲイル。

ゲイルは弓以外にも魔法も補助魔法を習っており、重戦士と相性

がいい。


「3年になれば嫌でも冒険者登録するだろ?」

「そうなんだけどさ〜」

「まぁ、もうすぐ実習もあるし、ダンジョンに行ってみるか?」

「わーい!やったぁ〜バン大好き〜」

「俺はどうなんだ?要らないようなら別のパーティーへ行くぞ?」

「やだな〜、ゲイルも大好きだよ〜」


ナナは二人と組むつもりだった。


ダンジョンに行くにあたって5人のパーティーを組むように言わ

れた。そこで他を当たる事になった。


もちろん、ここで足りないのが回復を専門にする職業だった。

が、これは魔法学生にはいない。


いたらすぐに教会からお迎えが来ているだろう。


仕方なく、二人のコンビと一緒に潜る事にしたのだった。

彼らの連携は非常に上手かった。


それに後方からの火炎魔法のナナと、前を任せられる重戦士のバン。

それに支援魔法をかけれる後方支援のゲイルは非常に重宝されたの

だった。


ダンジョンもお目当てのモンスターを倒すまで行くと、出てきた。


「今日はありがとう」

「いや、こちらこそ。いいパーティーだったよ。」

「それはこっちこそだよ、また今度があったら一緒に組んでね」

「そうだな、兄さんもいい?」

「あぁ」


コンビだと思っていたのは兄弟だったらしい。

息が合っていたのも頷ける話だった。


それから三年になったとこには彼らはすでに魔法学園を去った

と聞いた。


非常に優しいひとたちだった。

それだけに、ちょっぴり寂しく思えた。




今思い出してももう、帰らぬ記憶だった。

部屋で死んでいた二人も、もう二度と会えないのだ。


「どうしてこうなっちゃったんだろう……」


森では戦闘の跡が残されていた。

セオドアが殺されるなんて考えてもいなかった。

無惨に手足を切断されていたのには吐きそうになった。


さっきまで話していたのに……。


『森の入り口付近で野営してるから、なにかあったら相談に

 きな?1週間はまだいるつもりさ』


あの言葉を頼りに、ここまできた。

が、遅かった。


ナナはどうして助かったのか?

自分でも不思議だった。


別れ際にカイトにもらったポーションを大事に抱きしめて寝

ていた。

割れると困ると枕の下に………。

痛くて苦しくて…最後の力を振り絞ってポーションを手に取

ったまでは覚えている。


そして、朝早くに目が覚めたのだった。

多分彼ら同様殺されたのだろう。


だが、今生きている。

これは奇跡としか思えなかった。


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