60話 課外学習
森の奥へとナナと一緒に歩いていく。
やっぱりこの村は、薬草が多く生息していた。
村の側もそうだったのだが、離れてみても生育環境が
いいせいか他の場所で取るよりも、かなりいい。
これはポーションの素材にするにはかなりいいものだ
った。
「森の中に来て正解でしたね〜」
「そうだね。どれも成長がいいし、他のよりも大きい」
「そう言えばあの村では薬草は取らないそうですよ?」
「それはなぜ?こんなに環境がいいなら……」
ポーションを作って売ればいいのに…。
「ギルドが小さくて買い取りが少ないからか、それとも
作り方が分からないからか?」
「なーんだ、知ってたんですか?そうみたいです。ポー
ションへの精製できる人がこの村にはいないんですっ
て…せっかくいい薬草がいっぱいあっても運んでいる
うちに萎びてしまうしって言ってました」
「でも…ナナは……なるほど。薬か!」
「はい」
下級ポーションとまではいかないが、塗り薬なら誰でも
作れるらしい。
そもそもナナは魔法学校で勉強していたせいか知識が豊富
だった。
常識的な事は、教科書から学んだらしい。
連れの二人も若いとは思っていたが、まだ学生らしい。
今回は半年に渡る課外授業の一環で、ギルドの依頼を受ける
という課題らしい。
だから安全そうな、大人数のを選んだというわけだった。
結局、友人を亡くしてしまったが。
それでも、学んだことは多くあったはずだ。
今回はセオドアさんというベテラン冒険者に色々聞けたし、
知識はメンデが補っていた。
じつに有意義な時間だったらしい。
「これが終わったら学校に戻るの?」
「はい、もうそろそろ卒業試験なんです」
「卒業したら……いや、いいや」
「………私、卒業したら本格的に冒険者になろうと思います」
「役所には就職しないの?練習すればポーションくらい作れ
るようになって、錬金塔に入れれば、安定した収入が……」
この世界には聖女など、回復に特化した人物を集める教会側と、
冒険者の味方、回復ポーションなのどを生み出す、錬金術師が
いる。
錬金術師たちは、錬金塔という場所で日々ポーションの改良を
行っている。
そもそも、ポーションと薬の違いは魔力が込められているか
どうかだった。
薬草を決められた分量で混ぜて作るのは薬と呼ばれるものだ。
誰でも作れて安価だ。
逆にポーションとは魔力の込め方次第で粗悪品にもなる。
多すぎても、少なすぎてもいけない。
そして一番違うのは、ポーション精製するのに、必要不可欠
なのが、教会で販売している聖水だった。
一般的に寄付する事で手に入れられるが、寄付金の額によって
水で薄めた物を売って来る時がある。




