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最弱冒険者はパーティーから捨てられる  作者: 秋元智也
旅の始まり
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5話 訓練

朝早くから叩き起こされた。

珍しい事に父親ではなく、母親からだ。


「母さん?どうしたの?」

「どうしたのじゃないわよ!カイトあなたのヒールはまだまだ 

 未熟よ、だから今からみっちり教えてあげるわ」

「母さん!?」


家を出る前の1週間、ずっとつきっきりで教えてもらった。

もちろん、怪我人相手ではない。


母さんがポーションを作れる事は知れ渡ってはいるが、回復魔術

まで使えるとは公言していない。


なぜなら、それがどこからか噂になれば教会が出て来てしまうか

らだった。

教会の人間は回復にお金を取る。

代わりに、いろいろなところから回復を使える人を集めて来て戦

いなどに駆り出しているのだ。

多くのお金と引き換えに神官を派遣する。

これが教会が絶対的な力を有する理由だった。


野良のヒーラーのほとんどが、まともにヒールを使えない。

カイトのようにポーションと併用してやっとヒールの効力が発揮

されるのだった。


「ちゃんと聞いてるの?カイト」

「うん…聞いてるよ」

「植物にもヒールは効くのよ。こうやって……見ててね」

「うわぁ〜すごーい」


さっきまで種だったのがパカッと割れてそこから芽が出る。

ゆっくり茎が伸びて葉っぱが出てくる。


「こうやって、ここまで育てば傷程度なら治ってるわ。それと、

 いつもカイトのポーションが粗悪品だって言ってたわね?ち

 ょっと見てなさい」


そう言うと、カイトの作ったポーションを持って来て種にかけた。

そしてヒールをかけるとめきめきと葉が育って実がなるまでにな

ったのだった。


「これは多分カイトだけの特性ね。私のはここまでは出来ないも

 の…農夫スキルを持ったお父さんとの子だからかしらね。」


カイトのポーションは植物には絶大な効果を出しているらしい。


「だったら、もっといい作物ができるはずじゃん!」

「それはね……わざと使ってないのよ」

「どうして?」

「そんな事したら、納税の額が上がってしまうわ。今はポーション

 の納品で済んでいるけど、それが作物もいいものができたら、私

 達のような余所者には多くの税を指し出すように領主様から言わ

 れてしまうのよ」

「そんな……」


ポーションといっても母が作るのは結構高級な部類の物らしい。

それを何本も毎月納めているのだから、結構な額になっているだず

だった。

それなのに、収入が少ないのは、そういった理由があるのだろう。

村ならではの嫌がらせみたいなものらしい。


「だったらこの村を出ればいいじゃん」

「…そういうわけには行かないのよ。カイト、あなたには一つの所

 に固執せず、自由に生きて。私はいつだってカイトの味方よ」


家を出るまでの間、ずっと訓練に付き合ってくれたのだった。



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