48話 勇者パーティー
イーサが見つけて、全部買い占めたというポーションからは
神聖な力が溢れていた。
こんな事が出来る人物はそういない。
教会で保護して隔離しなくてはならない。
世の中が騒ぎ出す前に、速やかに対処しなければならなかった。
聖女は手紙をしたためるとイーサに託す。
「これをロイエンの側の神殿へ届けてくれないかしら?」
「分かったわ〜。」
魔力で作った鷲にくくりつけると一気に空へと放つ。
真っ直ぐに上に飛行すると、旋回しロイエンの方へと飛んでい
った。
「いつ見ても便利だよな〜」
「一回行った事がある場所へしか行けないわ」
「それでもすげーだろ?」
イーサの魔法を見ながらラキスが羨ましそうにいう。
「ラキス、ランク戦は今年だ。いくのか?」
「なんだよ?ハニエル〜俺に一位になって欲しいか?」
「うん、私たちが最強だって見せつけたい!」
「そうか〜、そうだよな〜。この依頼が終わったらいくか!
王都へ」
「うん」
まだ幼さを残したハニエルはエルフだ。
種族的に一番年上だが、見た目が見た目なので、誰もが子供と
してみてしまう。
「この辺りってジャイアントベアの根城だったよな?ついでに
今日は肉でも食うか!」
わざわざ少し遠回りをして狩りに行くというラキスに続くよう
にアンも賛同した。
「仕方ありませんわね」
「ふわぁ〜、私の番はあるのかしら?」
「いんや、多分ねーよ。そこで見てなっ!」
ハニエルは周りの警戒、聖女イザベルと魔法師イーサはのんび
りとしている。
ラキスとアンだけが目を血走らせると、歯を剥き出しにするジ
ャイアントベアに対峙したのだった。
まるで子供をあやすように、次々に殺していった。
「歯ごたえのねーやつだな〜」
「ただのクマ公だからなぁ〜、今日は熊肉で焼肉でもすっかぁ?」
勇者ラキスに続いてアンがジャイアントベアの遺体を背負うと聖女
の前まで担いてきた。
一人で軽々と持てるあたり怪力としか言いようがない。
聖女の収納に納める前に魔石を取り出し肉と毛皮に分ける。
そんな細かな作業は仕事が雑なアンよりハニエルのが得意だった。
毛皮はなめして丁寧に畳むと聖女に手渡す。
「これで高値で売れるはず…」
「ハニエル、いつもありがとう。アンも少しは見習いなさい」
「うるせーな!肉が食えればいいだろ?ほれ、焼くぞ〜」
薪を担いて戻ってくると火を起こし始めた。
ラキスは水を汲んできたのか、あとは出来るまで座って待つ。
数匹手負いのジャイアントベアが逃げていったが、そんなのは別に
興味ない。
今は食事ができればそれでいい。
このあとは、やっとワイバーンの生息地へと向かう事にしたのだ
った。




