44話 男女の仲
交代の時間になるとこっそりと下に降りた。
「あれ?カイトさん。どこにいたんですか?」
「あぁ、うん、ちょっと見回り?」
「そんな事しなくていいのに…」
「まぁ〜ね。」
まわりには魔物が居ないのを知っているから言える事だった。
リリーが使っていた魔力の糸は使い勝手がいいものだった。
リリーのように周りに張り巡らせれば、敵を寄せ付けない防御と
しても優秀だし、さっきのカイトのように編んでハンモックにし
ても頑丈なものが出来る。
敵との戦闘に使えるのだろうが、今のカイトにはすぐに作って敵
に攻撃するだけのコントロールは無理だった。
時間をかけてウニョウニョと作っていくくらいが精一杯だった。
見張りと言っても焚き木の番をしながら起きているだけだった。
「そういえば、あの時はありがとうございました。」
「あぁ、君らが無事でよかったよ」
「俺、気を失ってて〜多分起きたら死んでるんだろうな〜って思
ってたんです」
あの時はバンが瀕死で、ナナが唯一生存で確認できたようなもの
だった。
まさかもう一人生きていたとは思わなかった。
「でも、よかったよ」
「それも、これも、カイトさんのおかげだってナナから聴きました」
「そう言っても、僕も必死で逃げただけなんだけど」
「あのあと、カイトさんが帰って来てないってギルドで聞いて、俺
達のせいじゃないかって……あんなのがいるんだったら行くんじゃ
なかったって思ってたんです。」
「でも、まだ君達は冒険者を続けてる。そうだろう?」
「はい」
「なら、今度は別の人を助けられるようになれるといいな?」
「はいっ!」
大層な事を言うつもりはなかったが、少し先輩風を吹かせてしまった
かもしれない。
「そろそろ交代だから、呼んでこようか」
「そうですね」
セオドアに声をかけると中からメンデが返事を返して来た。
一緒に寝ていたようだった。
まぁ男女のパーティーなんてものはそう言う関係になっていてもおか
しくはない。
死線を何度も乗り越えているうちに、友情が愛情に変わる事など、日
常茶飯事なのだ。
逆にピンチに陥れば、すぐに相方の性格が出てしまう。
だから、出来れば同じパーティーに恋人を作らない方がいい。
何かあった時、なんとしてでも会いたい相手が安全な場所にいると知
っていれば、帰るために必死でもがくからだ。
「セオドアさん、メンデさん、交代の時間ですよ〜」
「すぐにいく……」
眠そうな声にゲイルと一緒に苦笑いを浮かべたのだった。




