41話 力試し
いわゆるカイトは初心者並みだと言う事だった。
それが昨日、ジャイアントベアを倒した事でやっとE級へと昇格した
のだった。
ダルカ達はもうD級で、もうすぐC級への昇格を果たすところまで来
ていた。
一番簡単なC級へと昇格条件はこのロイエンのダンジョンの6階の敵
からドロップするアイテムを持ってくる事だった。
それ以外はB級冒険者から一本取る事。
決められた的を時間以内に撃破する事などがある。
どれを選ぶかは自由だった。
一人で受けるわけではない。
パーティーで受けるので、合格すればパーティー全員のランクが上
がる。
ただし、パーティーは5人までで組む事という条件がある。
B級に挑んだパーティーはボコボコにされて、ランクアップできなか
ったという話が多くきかれている。
それほどにD級からC級へと危険度が増すと言う事だった。
そもそもB級冒険者なんて者はそんなに多くはいない。
勇者パーティーですらA級が一人にあとはB級とC級になっている。
勇者の称号を今持っているのは5人とされている。
走り出すと、すぐに先に行ったパーティーに追いつく事ができた。
「すいませーん、僕はギルドに言われれて来たんですけど……あれ。
君たちは……」
「あの時の人ですよね!先日はありがとうございました。ジャイア
ントベアを惹きつけてくれたおかげで無事に逃げられました、ギ
ルドの方から応援を頼んだのですが間に合ったようですね!」
「あ……うん、まーね……」
そのジャイアントベアを倒したおかげでランクが上がったとは言え
なかった。
彼らのパーティーは3人に即席の2人の戦士を入れたスタイルだった。
「やっぱり前衛の人は……」
「あ、はい……ですが、後衛の彼女が助かったおかげでまた冒険者と
してやっていこうかなって思ったんです」
ナナと言う女性は魔法師で、バンと言う男性は重騎士、ゲイルとい
う男性は弓などの後方支援タイプだ。
これに加わったのが、セオドアという女戦士に、メンデという男性
の剣士だった。
「僕はカイトです、E級冒険者です。活動は主にソロです」
「一人で?冒険者の危険性を知ってて一人なのかい?」
セオドアは不機嫌そうに聞いて来た。
もちろん、冒険者としてはあまりにも考えが甘いと言えるだろう。
でも、これでいいのだ。
「はい、前はパーティーにいたんですけど、ちょっと揉めてしまっ
て…」
「そうか、まずはカイト。君は戦えるのか?」
メンデはセオドアと共に旅をしているらしい。
たまにこう言う他のパーティーと一緒に組む事があるらしい。
「実力を見ておかないと、不安なたちでね〜」
「それもそうですね。えーっと、どうやって見極めますか?」
「そんな事、大丈夫に決まってるじゃないですか!カイトさんは私達
を身を挺して守ってくれたんです。この前ジャイアントベアが出た
時に、私達のパーティーは前衛が亡くなってもう、私達もダメだっ
て思った時に助けに入って、そのまま注意を引いてくれたんです。
そして無事生還しているんですから、強いに決まってます。」
説得力があるんだか、ないんだか。
ナナが必死に言っていたが、セオドアは頷かなかった。
それもそうだろう。
自分の目で見ないと信じないタイプだろう。
冒険者はそうでなければならない。
自分の命を預ける仲間なのだ。
実力も知らずに信用などできない。
「じゃ〜、あたしに一発でも攻撃を当てたらよしとしようか?」
セオドアは自信満々に言うと、メンデも納得したようだった。




