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最弱冒険者はパーティーから捨てられる  作者: 秋元智也
旅の始まり
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39話 ペンダントの秘密

奥に招き入れられると、さっき持ってきた物を見せられたのだった。


「これはどこで手に入れたのですか?」


低く、どこまでも静かな物言いだったが、あきらかに殺気が籠ってい

た。


「これは…今日売りにきた人間がいたんです。冒険者と思われます」

「冒険者がこれを?」

「はい」


ありえないとでも言うような眼差しがピリピリとした空気をさせてい

たのだった。


「それで、その者は今どこにいますか?」

「はい、町外れの宿屋に泊まっていると言ってました。」

「そうですか……」

「年齢は40くらいの女性でしたか?」

「いえ……まだ若い女性が持ってきました。母親の形見だとか……」


神官の顔が急に変わった。

まるで不機嫌になったような、そんな気がした。


「形見……ですか………」

「はい、そう言っていました」

「そうですか、ではコレはこちらで預かります。帰っていいですよ」

「へっ………あの……神官様、情報の料金を……」


骨董屋の主人はあきらかに高価な物だったでしょ?

という顔で見上げてきていた。


「そうですね。帰りに受付けの人にこう言ってください。『例の関

 係者だ』と言ってくれれば別室に案内されます。そこで報酬を貰

 ってください」

「はい、ありがとうございます、神官様」


男は嬉しそうに微笑むとそそくさと出て行った。


「いいのですか、帰してしまっても…」

「いえ、生きて帰すとは言ってませんよ?それよりも、コレを売り

 に来た女性とやらを探しなさい。そして彼女を見つけ次第連れて

 来なさい。」

「はっ」


丁度すれ違いに朝早くにダルカ達は教会へと来ていた。

ダンジョンへと潜る為に寄付金を払ってハンナとの同行を求めにき

たのだった。


昨日はカイトに出会ったせいでポーションも手にいれ損ねてしまっ

た。

ナノも朝まで眠ったままだった。

レイアは屈辱的な思いで夜を過ごしていたのだった。


カイトはそのままどこかへ行ってしまい、今日はハンナの癒しだけ

が頼りでもあった。


「すみませんが、ハンナは貴方達とは行かないと言っておりまして」

「なんでだよ!昨日もちゃんと言っただろ?それに俺らはこれから

 あの賢者の試験をクリアするんだぞ?どうして断るんだ?」


いくら怒鳴っても返事は変わらなかった。

ダルカが激怒したのも、最もだと思われた。


が、これは神官と教会、冒険者との問題だった。


神官が行きたくないと言えば無理には誘えない。

それが教会側の言い分だ。


誓約書にもそう記載されている。

よっぽどの事をしでかさない限りは、このような事は起きないはずだ

と言っていた。


が、ハンナは断固として拒絶したのだった。


「ハンナ、いつものパーティーが迎えに来たが行かないのか?」

「すいません、もうあのパーティーでのダンジョンは行きたくありま

 せん。すみませんが別の方に変わっていただけますか?」

「はぁ〜、一体何があったんだい?」

「それは………何があったと言うわけではないです。ただ、行きたく

 ないのです」


ダンマリを決め込まれると、困ってしまう。


何か問題があるのならそれを言い訳にして追い払えばいい。

だが、気分でと言われると、別の神官を派遣するほかなくなる。


急遽神官といえど、出払っていてすぐには用意できないのだった。


「今日だけでも行ってくれないか?」

「………」

「仕方ない。私が直接行こうかね…」

「お待ちください。司教様がそんな……」

「では、言ってくれるかい?」

「………はい」


渋々だったが承諾したのだった。


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