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最弱冒険者はパーティーから捨てられる  作者: 秋元智也
旅の始まり
39/163

38話 骨董屋

どんなに頑張っても、努力が報われない時があった。

そんな時でさえ、一緒に冒険をしてくれた仲間がいればなんだ

ってやっていける。

昔はそう思っていた。


でも、パーティーを追い出されて現実を知った気がする。

自分はいいように利用されていたのだと。


村でも親の作物は言い値で安く叩かれ、ポーションは大量に作

らされていた。


搾取され続ける日々はもう終わりにするべきだ。

そう考えれるようになった。


これもリリーに出会えたからだった。


「レイア、もう一度言う。母さんのアクセサリーを返して」

「何よ、カイトのくせに生意気よ?あげたなら女々しい事言わ

 ないでよ?」

「なら、実力で奪い返させて貰うよ…」

「って言いたいところだけど、もう売っちゃったのよ。今日、

 誰かがダンジョンボス倒したせいで魔石を取り損ねたのよ」

「なっ………」


骨董屋に売ったとレイアは話した。

慌てるように骨董屋に行ったがもう店は閉まっていた。


明日、一番で来る事にして今は宿屋に戻ったのだった。





その数時間前まで遡る。


「おい、レイア。ちょっと頼みがあるんだが、明日またダン

 ジョンに潜ろうと思うんだが………カイトのポーションは

 あとどれだけある?」

「うーん、この前根こそぎ持ってきたから数本ってところ

 かしら?」

「そうか………今、ハンナがいる事で順調だと思わないか?」

「それも、そうね!」

「でだ、明日からハンナを雇う金がない!」


真剣な顔で言った台詞が金が足りないという事だった。


「私もそうないわよ?金目のものっていったら………」


首にかかっているカイトから奪ったペンダントを見た。

もちろんダルカもそれをいっているのだろう。


「仕方ないわね、すぐに買い戻すわよ?」

「あぁ、明日はいつも以上に稼ぐ!だから安心していい」

「もう、せっかく手に入れたのに……」


骨董屋では予想外の金額がついたのだった。


「これはお嬢さんのかい?」

「いえ、母の形見なの。高く買ってくれないかしら?」

「それはもう、これでいかがですかい?」

「これは………」


ダルカもレイアも目を疑った。

カイトが持っていた物だというのに、ここまで高価だったのかと

驚きを隠せなかった。


金貨が詰まった袋を掴むとダルカはレイアと一緒に豪華ディナー

へと行ったのだった。


もちろんナノやイルギも一緒だった。


「ダルカ、こんな高価な場所に来ても払えないだろ?今日は俺たち

 稼げてねーし……」

「いいんだよ。臨時収入だ。後でナノ頼みがある。レイアについて

 行ってくれるか?」

「分かった」

「ナノ、悪いわね〜。ちょっと荷物を取りに行きたいのよ〜」


ナノと一緒なら部屋の鍵は簡単に開けれる。

前は宿屋の店主を酔わせてそのうちに合鍵をくすねた。


今日はそんな事をせずに楽にポーションを手に入れれそうだった。


あとはカイトが帰ってきて作ってくれていれば…だった。



その頃骨董屋の店主は慌てて店を閉めると大事そうに胸の包みを抱

えて、神殿へと向かっていた。


教会の神官よりもさらに上の高位の神官達が集まる、神殿は街から

少し離れた場所にある。


街の結界とは別の強固な結界に護られており、アポ無しの部外者は

多額の寄付をすれば中に入れてもらえるというほどに、厳しい場所

だった。


「神官様、神官様、緊急でお会いできないでしょうか!」


門前で叫ぶ骨董屋の主人はさっきのペンダントを見せた。

すると、中から現れた神官によって、すぐに中へと迎え入れられた

のだった。

それはレイアが売ったあのペンダントだった。

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