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最弱冒険者はパーティーから捨てられる  作者: 秋元智也
旅の始まり
38/163

37話 窃盗

カイトは久しぶりに宿屋へと戻ってきた。


ギルドでは死んだ者として扱われていたので、こっちでも

荷物がどうなっているか不安でもあった。


追加料金を払って部屋に戻ってみると荒らされたような跡が

残されており、カイトの荷物に金目の物などないというのに、

一切合財ぶちまけてあった。


無くなっている物といえば、帰ってきてから売りに行こうと

貯めておいたポーションくらいだった。


いや、そもそもポーションが目的だったのかもしれない。

となると犯人はしれている。


味をしめて、またここに来る事だろう。


「はぁ〜、ダルカか、もしくはレイアあたりだろうな〜」


気が重い。

もしレイアなら、アレを返してもらうチャンスだ。


静かに息を潜めていると、夜更けになってキィ〜っと音がし

てドアが勝手に開いた。


二つの足音に、警戒を強める。


タンスの中に新たに作ったポーションを入れておいた。

片付けられているのを見て、安心しながらタンスへと手を伸

ばす。

その瞬間、バチバチッと電流が流れ、ドサっと倒れる音がする。


「ちょっと、ナノ!」


声を上げた侵入者を確認してから電気をつけたのだった。


「カイト……戻っていたのね………ナノに何をしたの?同じパー

 ティーだったじゃない?こんな酷い事していいと思ってるの?」

「それはこっちにセリフなんだけど?どうして僕の部屋にいるの? 

 それより……僕の作ったポーションを勝手に持っていったよね?

 それってどう言うつもり?」


今日はハキハキと攻めに徹するカイトにレイアの方がタジタジにな

ってしまう。

こんなはっきり言うやつだったかしら?


勿論レイアにとって悪い事をしたと言う自覚は全くない。


「そうだ…母さんのアクセサリー返してよ?」

「何を言ってるの?アレは私のよ。返してなんて図々しいわね」


悪びれた様子もなく淡々と話すレイアにため息が漏れる。


「じゃ〜、なんで僕の部屋に来てるの?ポーションを盗みに来た

 って事でいい?」

「何を言ってるのよ。これはみんなで使うべきでしょ?それに、

 古くなったら効果も無くなっちゃうじゃない?私達が効果を試

 す為に使ってあげてるのよ?感謝しなさいよね〜。ほら、ポー

 ション出しなさいよ」


今度は堂々と言い放ったのだった。


「これからはこういう事やめてよ。それにポーションはもう作らな

 いよ。」

「はぁ〜?ちょっとなんでよ?カイト、あんたそれくらいしか出来

 ないくせに、生意気よ?はは〜ん、代金を取ろうってことね?本

 当に仕方ないんだから〜これでいいでしょ?」


そう言って銅貨3枚を机の上に置いた。


普通に査定して買い取ってくれるところでも、ここまで安くはない。

あきらかにバカにしているのだ。


確かに、パーティーにいた時は無償で渡していたけど、実際に販売

してみたら、結構いい値段になるのだ。


そして、リリーの元で修行したおかげかポーションの効果が飛躍的

に向上していた。


さっき作ってみたが、性能があきらかだった。


それも、あの泉の水に近い効果を持っていたのだった。

これは売るなと言われる訳だった。




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