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最弱冒険者はパーティーから捨てられる  作者: 秋元智也
旅の始まり
28/163

27話 森の不思議な洞窟

その日も朝から採取依頼の為の薬草を取りに出かけていた。


「きゃぁぁーーー!」


森の奥の方で悲鳴が聞こえて来た。

もちろん、奥に行けばその分魔物の生息地なので、攻撃力

の高い冒険者でなければ二次災害に遭う可能性だってある。


普通ならギルドに知らせて終わりにするのが定番だった。

なのにこの日、カイトは声のする方へと行ってしまった。


目の前に広がる悲惨な惨状に一瞬目の前がクラッときた。

前衛は全滅。

後衛の魔法師と弓、そしてかろうじて一人前衛が生きている

程度だった。


目の前にいるのはジャイアントベア。

立ち上がると体長3m弱の個体だった。

気が立っていて、口元には噛んだであろう血がこびりついて

いる。爪も真っ赤になっている事から倒れている前衛の血で

間違いないだろう。


こんな場面に遭遇して、カイトに何ができるのだろう。

考えても思いつかない。


ただ、この人達を助けるにはまずは魔物を惹きつける必要が

あった。


近くの石を拾うとジャイアントベアの頭に向かって投げつけた。


ゴンッっと音がして振り向くと、こっちを見てジワリジワリと

歩み寄って来た。


「今のうちに逃げて!」


「でも………ごめんなさい……ありがとう」


側にいた魔法師にポーションを投げるとそのままカイトは一目散

に走った。

後を追ってくるジャイアントベアを振り向きながら距離を取るは

ずだったが、森の中では彼らの方が有利だった。


奥に行けば行くほど距離は縮まっていく。


開けた場所に出たと思ったら、切り立った崖の前に出てしまった。

そこには一つの洞窟がぽっかり空いている。

どこにつながっているかもわからない。


もしかしたら、彼らの巣穴かもしれない。

そうなったらもうおしまいだった。


ジワリジワリと距離を詰めるジャイアントベアの攻撃力を何度か避け

ながら意を決したように洞窟へと飛び込んだのだった。


「なんとかなれ!」


大きさは天井も高く、ジャイアントベアでも悠に入れる広さだった。


「あいつ…こないのか?でも……どうして?」


が、入り口で立ち止まるとグルルルルっと唸った。

出てくるまで根気よく待つつもりなのだろうか?


不思議と入ってこない事に安堵すると、一旦休む事にしたのだった。

たいした装備は持っていないけど、さっきまで取っていた薬草を取り

出すとポーションを作っていく。


材料を魔力さえあればできるのでお手軽だった。


「あれ?なんでだろう?」


いつもより色が濃い気がする。

周りの魔力濃度によって出来は左右される事が多いが、ここはダンジ

ョンではない。

ただの洞窟だった。


「おかしいな〜中に何かあるのかなぁ〜」


薄暗い中を覗き込んでみるが誰の気配もしなかった。

一人で奥に行くのは危険だ。

が、このまま外に出るのはもっと危険だ。


入り口でずっと待つつもりなのかジャイアントベアは寝そべり始めたの

だった。


「奥に行ってみるか〜………」


勇気を出すとカイトはそのまま奥へと歩き始めたのだった。

奥に行けば行くほど光苔のおかげか足元がぽわぁっと光っていてなんとか

見える程度にはなっている。


目が慣れれば歩くには支障がないほどだった。

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