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最弱冒険者はパーティーから捨てられる  作者: 秋元智也
旅の始まり
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26話 採取とポーション

カイトが稼ぐ方法となると、単独での魔物討伐は無理に等しかった。

そうなると、できる事は限られている。


薬草採取とポーション作りだった。

薬草は明け方に出かけて、たっぷり取って帰ってくる。

そして、ポーションは昼までに作れるだけ作って夕方には売りに行く。


その時に一緒にギルドの依頼を受けてその場で精算してくるのだった。

保存状態のいい薬草は高値で買ってもらえる。

手で毟ってくるのと違って切れ味のいいナイフで斜めにスパッと切る

せいかそのあと、多少鞄に突っ込んでおいても平気なくらいに鮮度が

いいままだった。


普通の冒険者なら切り取って終わりなところをカイトは日が昇る前に

取って来て一旦水に浸す。

その事によってさっき取ったばかりのみずみずしさが生まれるのだ。


鮮度が良ければ良いほど高値がつくのだった。



「今日も、採取の依頼ありますか?」

「えぇ、あるわよ。戦いに欠かせないポーションの材料なのに、受

 ける人が少なくてね〜、助かるわ〜」


ギルドの受付けのお姉さんはすぐに依頼書を出してくれた。


「ヘレニアさん、ありがとう」

「いいえ、カイトくんのはいつも鮮度がいいし、助かってるわ」

「僕にはそのくらいしかできないから…」

「そんな事言わないで、金色の翼にいた時から魔物の皮や、素材の

 剥ぎ取りが綺麗だったのはカイトくんのおかげだったのね〜、最

 近ではどれも雑だし、値段があまりつかないのよ〜。自分達が粗

 悪品を渡しているのに、値段が低いって怒るし〜」


ヘレニアさんも困っているそうだった。

カイトも苦笑いを浮かべると依頼書にあった薬草を取り出すと渡した。


いつもの依頼なので、先に取って来ている。

それと一緒に作ったお手製ポーションも納品したのだった。


「そうそう、カイトくんの持ってくるポーション人気なのよ?回復は

 少ないけど、気力や、魔力も回復するって事で魔法師達の間では、

 奇跡のポーションって呼ばれてるのよ〜」


嬉しそうにヘレニアさんが話してくれた。


「そういえば、もうパーティーは組まないの?」

「それは………僕なんかが入っても戦力にならないし……」

「そんな事ないわ。金色の翼は最近神官を入れたそうじゃない?でも、

 そこまで攻略が進んでないし、まだ5階層なのよね〜。いっそ、他の

 ペーティーに入って追い抜いちゃいなさいよ〜」

「僕は……別にいいかな……」


消極的な考えのカイトにヘレニアは勿体ないと言ってくれたのだった。


それからも何度か他のパーティーの人と合わせてくれたりもした。

が、カイトは頑なに誰とも組まなかった。


しかし、このロイエンの街で暮らしていくにはとにかくお金がいる。

宿だけじゃない。食費だってバカにならない程高い。


一日一食にしたとしても、やっぱり採取依頼とポーションだけでは心許

なかった。


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