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最弱冒険者はパーティーから捨てられる  作者: 秋元智也
旅の始まり
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24話 第5階層

メンバーの言う『あいつ』とは前にいたメンバーの事だろう。

このポーションを何本も持っていた?


その事実にハンナは驚きを感じていた。


態度が悪く、戦いにも参加できない程のていたらくだと聞いていた。

しかも女に手を出そうとするようなクズだとも。


どんな人物なのだろうと思っていたが、少し興味が湧いてきた。


こんな便利なポーションを手に入れれる人物とはどれほどの金持ち

なのだろうと。


話を聞く限りでは同じ村の出身で、裕福そうには聞こえなかった。


母親はポーションを領主に納めていると言っていた。

それも高性能な回復ポーションだという。

それなら名のある神官のはずだった。


「名前はなんと言うのですか?その、前にいたメンバーの母親の名

 前です!」

「なんて言ったっけ?ダルカ〜覚えてる?」

「んーーー?なんだっけ?」

「覚えてるわけねーじゃん。余所者だしな〜」

「カイトに聞けばいんじゃね?」

「ってか、もう路銀が尽きて村に帰ってる頃じゃん?最後だって分

 前も渡してねーだろ?」

「あぁ、あんな穀潰しに払う金はねーって」


おかしい。

実にこの態度はおかしかった。


どう見ても、最低なメンバーに飽き飽きしながら従っていたと言う

態度ではない。


これでは、まるで逆ではないのだろうか?

ハンナは戦闘を終えて慣れない手つきで魔石を剥ぎ取りイルギの横

に腰を下ろした。


「イルギさん、ちょっといいですか?」

「なんだ?」

「この作業っていつもやってるわけじゃないですよね?要領が悪い

 気がします。いつもは前のメンバーがやっていたのですか?」

「………」


少し沈黙が流れた後で、向こうにわいわいとしているダルカを眺め 

ながらため息をはいたのだった。


「あぁ、カイトが全部やってたんだ。ポーションもカイトの手作り

 だ」

「そう………ですか」

「もう、いいか?俺も慣れてないんだ。あいつが出て行ってからこ

 ういうのも俺の仕事になっちまったからな……戦闘以上にこんな

 に厄介だとは思わなかったぜ…」


愚痴るように呟いていた。


戦闘なら叩き切ればそれでいい。

だが、魔石と素材剥ぎ取りはそうはいかない。

綺麗に、丁寧に、それが金銭の上下に関わって来るのだ。


今日も問答無用に魔法をぶっ放すせいで毛皮は焦げているし、上手

く剝げなくてところどころに切れ目が入ってしまった。


多分最低賃金になってしまうだろう。


だったら、ボスまで行きたいと思ってしまう。

きっとこの5階層のどこかにボス部屋があるはずだった。

それを見つけてボスからドロップする魔石と宝箱があればきっと儲

かる。

誰もがそう信じて疑わなかった。


神官のハンナが加わってからと言うもの、順調だった。

カイトの荷物から回収したポーションがたっぷりあったと言うのも

あるが、それ以上にハンナをレンタルする時に一緒に渡された聖水

がよく効いていたおかげだった。


同じ教会でもらった聖水でも、今日のは一味違った。


剣にかけているだけで、蜘蛛達が怯むのだ。

その隙にどんどん倒していく。


あっという間に討伐する事ができたのだった。

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