23話 回復ポーション
『金色の翼』という冒険者パーティーと一緒に行動を共にする
神官ハンナは初日で五階層へと来ていた。
さっきの階でつのうさぎの肉を捌くところを眺めた限りでは慣
ていない手つきで、実に雑だった。
毛皮も歪でこれでは買取り価格もそうたいしたものにはならな
いだろうと思えた。
魔石の剥ぎ取りもそうだが、どうにもやった事があるのか?
と思える程に男性陣が不慣れなのだ。
だが、女性陣は汚いと言って一切触ろうともしなかった。
ハンナには、前にいたであろう仲間の方が気になっていた。
荷物も簡易的な物しかなく、明らかにダンジョンに入るには
軽装すぎる。
明らかに誰か、大荷物を持っていた人がいた証拠だった。
魔石のもそうだった。
毎回ダンジョンで狩りをしている人達とは思えない手際の悪さ。
セクハラをして出て行ったという最低な人間とはどういう人
なのだろう。
パーティーメンバーにここまで嫌われながらも一緒に旅をして
来て、ポーションをいつも自分でがめているというが、それは
本当にそうなのだろうか?
ポーションはそう安いものではない。
それを当たり前のように疲れたくらいで飲んでいるのだ。
コレを異常と言わずしてなんというだろう。
「あの…ちょっといいですか?」
「なぁに〜?」
「そのポーションって回復ポーションですよね?」
「そうよ?ハンナも飲む?」
「怪我したのなら私が……」
そういうと、ダルカはすぐに否定してきたのだった。
「ちょっと疲れたから飲んでるだけだ。別に怪我したわけ
じゃないから心配しなくていい。ハンナも飲むと一気に
疲れがなくなるぞ?」
「いえ、そういうことでは…」
高いポーションをこんな風に使うなんてと言いたかった。
それを察したのかナノが付け加えた。
「これは前任のやつが持っていたものだから別に使っても
平気。それにそんなに高くないし」
「ポーションなのにですか?」
手渡されるとハンナは鑑定をかける。
普通のポーションはHP回復効果が付与されている。
が、コレにはHP回復効果は少し劣化しているが代わりにMP
回復効果がついている。
初めて見るポーションだった。
魔力切れでもコレを飲めばすぐに回復すると言うことだった。
疲れが取れるのもこの効果のおかげだろう。
「コレはどこで買ったんですか!」
「ん〜?これ?どこだっけ?」
レイアは知らないと言いたげな顔で周りを見回すが、誰も知ら
ない様子だった。
「コレは結構いいものですよ!売ったら結構値打ちですよ!」
「そんなわけねーじゃん。あいつが用意したもんだしな〜」
「だよな〜、あいつコレいっぱい持ってたし」
「そうよね〜、いつもバックに大量に持ってた記憶ある〜」
口々に言う。
ハンナにとってはそれこそ、重大な事な気がしたのだった。




