22話 神官とダンジョン
ハンナの前でかっこいいところを見せたいのか、一階層から飛ば
していた。
スライムを見た瞬間瞬殺したのだ。
神官のハンナも安心するように眺めていた。
二階層へ行くとすぐにトレントが出てきた。
木の魔物なので動きが鈍い。
苦戦する事もなく通り過ぎる。
そして三階層。
ゴブリンを見つけると魔法で一気に焼き殺した。
「レイアさん、コレでは魔石まで燃え尽きませんか?」
「別にいいじゃない?こんなところの魔石より私達はもっと上の
場所で狩りをするのよ?こんなの放置でいいわ」
「ですが…死体を放置は……ダンジョン内では何が起こるか分かり
ませんし…」
慌てるようなハンナにレイアは何を言ってるの?とでも言うように
メンバーを見つめた。
当然のように仲間も同じ考えだったらしい。
倒した死体もそのまま。
魔石を取れば死体は自然と風化していく。
コレは魔石が魔物の身体を形成しているとされているからだった。
だが、魔物をそのままにすれば何が起こるかわからない。
むしろ魔物が魔物の死体を食べて魔石を吸収するのではないかとさ
え囁かれたほどだった。
「次の階層に行くぞ」
「ほらっ、ハンナも行くよ!」
「まぁまぁ、レイアも、ハンナも、大丈夫だって〜!さぁ〜行こう!」
「神官がいて恐れるものはない!だろ?」
ナノは会話を止めるとイルギは先へと進めさせた。
前を行くダルカとレイアが次の階層へと向かっていた。四階層はつ
のうさぎだった。
すばしっこくて攻撃は額についているつのだった。
ぴょんぴょんと飛びながら逃げ回りいきなりぶつかってくるのだ。
捕まえれば防御力は弱く短剣でも倒せる相手だ。
ただ、コレに一回レイアは痛い目に遭っている。
そのせいか、今回は見た瞬間一気に高火力で通路ごと焼き払ったの
だった。
「ちょっと!つのうさぎは毛皮も高価に売れますし、肉はダンジョ
ンでの唯一の食糧ですよ!ここのダンジョンの10階まで行かない
のならここでの肉はしっかり確保するべきではないですか!」
「大丈夫だって、今から俺らが狩るからさ〜」
そう言うとイルギとダルカが前に走り出していた。
レイアが焼いたのは前方に居た数匹だけだった。
次に出てきた二匹はダルカとイルギが仕留めて持って来た。
このパーティーは弱くはない。
が、パーティー行動がてんでバラバラな気がした。
協力し合っている気がしない。
まだ低下層ならまだしも、この先に進むのなら心配になるほどだ
った。
ハンナはこのパーティーの戦闘力を測りながらどこまで付き添う
かを悩んでいた。




