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最弱冒険者はパーティーから捨てられる  作者: 秋元智也
旅の始まり
22/163

21話 教会からの派遣

ダルカとレイアはみんなからお金を徴収すると、すぐに教会へ

と向かった。


「ようこそいらっしゃいました。今日はどのようなご用件です 

 か?」

「神官とダンジョンへ行きたい。空いている神官はいるか?」

「それでしたら…ハンナ〜、こっちへいらっしゃい」


中に案内されると一人の女性が呼ばれた。


メガネをかけたおっとりした感じの女性だった。

名前をハンナというらしい。


「お呼びでしょうか?」

「えぇ、あなたにこの方々と一緒にダンジョンへと来て欲しい

 という依頼がありましたよ?あなたはどうですか?」

「そうですね…お布施の金額次第ですね、それと私は神官です

 ので戦闘には加わりませんし、ヘイトを買うことは一切しま

 せんし、魔物の解体もしません。」


はっきりと自分の役割りを伝えて来た。


「私にできるのは聖魔法でのシールドと回復のみです」

「というわけなのだけれど、どうしますか?」


話しているのを聞いている限りではカイトと変わらない立ち位置

ながらも、もしもの時の為のシールドと回復上位魔法とくれば全

く問題なかった。


「それで構わない。寄付はどのくらいすればいい?」

「それは日にちによってですね。1日なら金貨3枚。日にちがかさ

 むほど増えていく形です」


説明を受けると3日分を手渡した。

これは持ってきた自分たちのへそくりだった。


「これで3日分頼む。朝から日没まででいい」

「わかりました。明日、朝からここへとお越しください」

「わかった。明日から頼むぞ、ハンナ」

「できる限りの支援を約束しましょう」


ハンナはいたって平然と答えると奥に戻って行った。

それからはハンナへとセクハラや暴力をしないようにとの念押しと

どう攻略するのかと色々聞かれた。


「なるほど聖水を使った結果そんなことが…おかしいですね〜、前

 に来た冒険者は良く効いたと言われていたのですが……」

「現に、次々と魔物が出て来てだな〜」

「そうですか…一応今回の事はギルドにも伝えるとしてお詫びと言

 ってはなんですが、コレをお渡ししておきます」


それはあの時高い値段で買った聖水の入った瓶だった。


朝早くにメンバーと一緒に教会へと向かうとすでにハンナが待って

たのだった。


「彼女が神官様かぁ〜!回復特化のエリートって聞いてるけど本当

 なのか?」

「そうに決まってるじゃない。イルギ、当たり前の事を聞かないで

 よね?あんなお荷物のヒーラーと一緒にしないで!」

「悪い悪い」


悪気のないイルギの言葉にナノが訂正した。

ハンナからしたら何を言っているのか理解できなかった。

お荷物ヒーラー?

それではすでにヒーラーが前に居たかのような言い方だった。


「よろしければ、前に居た人の事を聞いても?」

「いや、なんでもねーよ!」

「そうよ、何もできないようなクズよ。魔物の死体の解体しかでき

 ないようなやつよ」

「ですが、ヒーラーと言いませんでしたか?」

「いえいえ、神官様に比べたらかすり傷を治す位ですよ、それも

 ポーションを使ってね」

「なるほど、ポーションを渡すからヒーラーと?まぁ、いいでしょ

 う、私がいる限りは安心して下さい」


自信満々で言うとそのまま一緒にダンジョンへと向かった。


向かう途中で前にいた人物の事を聞かせれた。


「では、その人物はレイアさんにネックレスを渡しておいて、追い

 出されたら返してくれて言ったんですか?」

「そうなのよ〜、胸が触りたいからって渡してきたくせにっ…最低

 な奴なのよ〜」

「だったら、村を出る時にどうして置いて来なかったのですか?」

「それは……ちょっとね……」


レイアは言葉に止まった。

すぐにダルカはハンナを振り返った。


「ポーション。俺らの村にはポーションを作れるのがあいつの母親

 しか居ないんだ。ここみたいな大きな街なら金で買えるが、村で

 は領主様へ送る分で精一杯で、余分な分はないんだ。だけど、息

 子が旅に出るといえば、寝る間も惜しまず作って持たせてくれる

 だろう?」

「それは………それでは、それだけの為に我慢していたと?」

「そうだな……」

「そうよ!そうなのよ!全く気持ち悪い奴なのよ!」


言いたい放題言うとダンジョンの入り口に着いたのだった。

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