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最弱冒険者はパーティーから捨てられる  作者: 秋元智也
旅の始まり
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19話 これからの選択

ここロイエンの街で暮らしていくなら稼がなければならない。

村に帰るにしても旅費がいる。


ダルカ達は今日の分の配分をしたが、カイトには1コインすら

くれなかった。


「一匹も倒してねーのにわけ前だけ強請る気かよ?」

「でも……僕も生活が……」

「村に帰ればいいだろ?やっぱり冒険は合わなかったってよ?」


ダルカは笑いながら揶揄った。


「…」


悔しいけど反論できない。

カイトには戦闘向きなスキルがないからだった。

攻撃力もたった10しかない。

これではいくら当てても魔物を倒すことは叶わぬのだった。


「レイア…僕の返してよ。それだけは持っていかれるのは困

 るんだ。それに、見つかって困るのはレイアの方だと思う

 よ?」

「煩いわね〜これはもう、私の物なの!文句ある?」


ムキになるレイアにダルカが不思議そうに聞く。


「何を言ってるんだ?」

「あのね〜ダルカぁ〜、この前カイトが私にくれたっていう

 ネックレスあったじゃない?あれをいきなり返せって言い

 出すのよ?自分でくれたのによ?それにくれた時に私のお 

 っぱい揉んでいったのよ?」

「えぇ!違うよ!そんな事、僕してないからっ………」


その一言で、ダルカの拳がカイトを捉えていた。


「仲間に手を出すなんて許せねーな?ちょうどいいじゃねーか

 もう金輪際俺らについてくんな!今度見かけたらただじゃお

 かねーからな!」

「最低ね…」

「カイト、見損なったぞ…」


ダルカが殴りつけた後で、汚物でも見るような目でナノが言うと、

イルギも口を開き、そのまま店を出ていく。


ここに来てカイトはひとりぼっちになってしまったのだった。

宿屋の部屋へと帰るとボロいベッドに横たわった。


もう明日までしかお金がない。

何としてでも稼がなければこの宿さえも追い出されてしまう。


ポーションを作るか…それとも…。

今はそんな気力もなかった。

ただ疲れた……


「明日から……どうしよう……」


一人言を言うと目を瞑った。


朝一番でギルドに行くとダンジョンのドロップ品の依頼や、街の

下水掃除の依頼が貼られていた。


「今日はこれにしよう…すいません、これいいですか?」

「はい、下水掃除の依頼ですね。承諾しました〜」


受付けの人が依頼書を受け取ると、すぐに向かったのだった。

向かった先ではヘドロのような物がいっぱい溜まっている。

地下水道に降りると臭いが凄く鼻がおかしくなりそうだった。

すぐに浄化をかけるとしばらくの間だけならその場所が綺麗にな

った。

奥まで行くと詰まった部分を見つけて浄化を片っ端からかけて行

ったのだった。

何度もやっているうちに自然と綺麗になって行った。


「よし、これでいいかな…」

 

自分に浄化をかけるとギルドへ行って今度は採取依頼を受けて来

たのだった。


森では初心者らしき人が狩りをしている。

ここはダンジョンではない。

ダンジョン『賢者の試練』から少し離れた場所だ。


はぐれ魔物が出ると言うことでたまに冒険者が来るのだ。


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