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最弱冒険者はパーティーから捨てられる  作者: 秋元智也
旅の始まり
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17話 嵌められた?

その日は何度も5層に挑戦したのだが、思うような結果は出せ

なかった。


それも、数匹見つけて戦っている隙に、次の数匹がこちらに向

かって来ていたのだ。

これでは、どう見ても連戦になってしまう。

そして、休む暇がなければその分ミスも増える。


たかが数匹の蜘蛛だが、団体になればそうもいっていられない。


「今日ちょっとおかしくない?」

「だよな?俺もそう思った…先日はこんなに連続で出てこなかっ

 たし、連戦になった事などなかったはずだ。何かが違う気がす

 るんだが……」


疑問に思いながら自分の剣を眺めた。


少し刃こぼれしている気がする。


先日よりも明らかに数は少ないし、戦闘時間も短いはずだ。

なのに、武器の消耗が激しい気がする。


それを眺めながら少し離れた場所で魔石を剥いでいるカイトを眺

めた。

相変わらず綺麗にスパッと切ると器用に取り出す。


体液を浴びる事なく捌いていくので見事な手捌きだった。

これで戦闘に使えないのだから全くの役立たずだ。


「何でカイトのやつはあんなに魔物をスパッと切れるんだ?」


ダルカの疑問にイルギが先に口を開いた。


「あいつダンジョンに砥石を持ち込んで暇な時間は刃こぼれしない

 ように研いでたぞ」

「砥石?何でそんなもんいるんだ?」

「…解体でだろ?俺も研いで貰ったら切れ味よかったぜ?」


イルギが言うとダルカは舌打ちするように苛立ちを抑えきれなかった。


これ以上のダンジョンでの戦闘は諦めると引き返す事にしたのだった。


完全に剣が折れては修理ではなく、買取りになってしまうからだ。

昨日自分の剣がボロボロになったので今は代用品のを借りていた。


代用品だからこそ、同等の物を借りたはずだった。

が、そうではなかったらしい。


粗悪品をつかまされたと思ったのだ。

教会から貰ってきた聖水も結構な金額がかかった。


それなのに、全く効かなかった。

効果を感じられたらまだよかったが、逆に酷くなった気さえする。


効果を実感したくて鎧にもたっぷりかけたのが悪かったのか…。


結局はギルドへ行って、この事を報告すべきだと考えたのだった。


「くっそぉ、まじで今日は厄日だぜっ!」


苛立ちながら宿屋で食事をとりながら愚痴る。


「でも、ギルドも酷いわよね〜、自分たちの情報のせいでこっち

 は苦戦してるってのにさ〜」

「だよな?聖水って言ってたけど本当なのかも怪しいよな〜」


今日の成果は全部ギルドのせい。

そして魔物の異常な動きも全部教会から渡された聖水のせいと決

めつけると早々に部屋に戻っていったのだった。


「ねぇ〜レイア待ってよ…」

「なにょ?」

「あれ、返してよ。本当に持ってる資格のない人が持ってちゃい

 けないんだよ…」

「あれって?もう私の物なんだから煩いわね〜。それに私に持っ

 てる資格がないって言いたいわけ?」


勝手に奪った御守りのアクセサリーは母親から言い聞かせられた

事があったのだ。


『これは教会が発行した物なの。だから誰かにあげたり、渡しち

 ゃダメよ。資格を持ってない人が決して持ってちゃいけない物

 なの。カイト貴方なら資格があるわ。私と同じくらい…だから

 いつもしっかり修練をするのよ』


ポーションの精度が上がった時に散々言われた事だった。

もちろん母親には敵わないが、それでも出来はよくなって来てい

る。


買取り価格も上がって来ていたのだった。


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