16話 検討
入り口を出ると鞄に入った魔石や皮、うさぎのツノなどを換金する。
個数や、状態をカードに記載されるとそれを持ってギルドへと向かう。
一般的にリーダーのダルカのカードに全部の個数が記載される。
あとは分配はリーダーがするので、ギルドでは全部の報酬を一括で受
け取る。
代わりにギルドではダンジョンの攻略情報を買う事も可能だった。
「ちょっくら、ギルド行ってくる」
「私も行くわ〜」
ダルカの後についてレイアもついていった。
残ったイルギと荷物持ちのカイトは宿へと向かう。
隠密スキルで隠れているナノも一緒に後を追った。
ダルカが人数を詐称しているせいで出入りの時はナノが姿を見せる事は
ない。
代わりにカイトはマントを深く被り顔を見られないようにしている。
これにはダルカからの指示だった。
いつかナノの位置だとでもいっている気がしたが、今はあまり気にしな
いようにしていたのだった。
宿屋に着くとカイトはポーション作りに熱中した。
今日のようにすぐに怪我が治せないと、もしもっと上に行ったら治癒に
時間などかけていられないからだった。
それ以上に早くレイアから母から貰った御守りを返して貰わなくてはな
らない。
二人っきりの時にしないと、レイアが何を言い出す分からない。
次の日も同じようにダンジョンへとみんなで向かった。
何度やっても蜘蛛の魔物で苦戦させらえたのだった。
「全然効かねーじゃね〜か!」
ダルカが苛立っていた。
なぜなら、昨日ギルドで苦戦した話をした時に5層の攻略をお金で買っ
たらしいのだが、全く通用しなかったらしい。
それは、教会でお布施と交換した聖水を剣や武器にかけると蜘蛛が少
し怯むので、それを利用して倒すと言う方法だったらしい。
が、それが全く怯みもしないしかえって勢いよく向かって来たのだ。
そのせいで余計な怪我が増えたのだった。
「おい、カイト!ポーションよこせ!」
「はいっ!」
手渡すとグイッと一気に飲み干したのだった。
劣化版といえど、軽い傷なら治せる。
酷い傷となるとヒールも必要だった。
レイアが蜘蛛の糸で絡め取られると噛みつかれていた。
「きゃあぁっぁーー!」
「レイアに…触るなぁぁーーー!!」
レイアに取り憑いた魔物を切り裂くと庇うように後ろに隠す。
「おい、下がってろ!」
「ありがとっ……」
カイトがすぐに駆け寄るとポーションを傷にかけるとヒールを
かける。
そのうちにイルギから呼ばれた。
「カイトっ!ポーション!」
「怪我ですか?」
「あぁ、ちょっとしくじった」
「なら、こっちのが……」
そう言うと、ポーションを渡すのではなく傷にかけた。
飲むよりもこっちのがよく効く。
飲む方が時間は短縮できるが、あまりに蜘蛛からの攻撃を受けた
後だとヒールを一緒にかけた方が効果は絶大だった。
「いい感じだ…前に行ってくる!」
「うん…」
すぐに死骸を後ろに投げるとイルギが再び前線に向かう。
少し魔物の数が多い気がする。
まだ数体と出くわしただけだったはずだ。
なのに、倒し終わったら、次々に沸いてくている気がする。
「なんかおかしくないか?」
「そうよね?昨日はこんな連戦じゃなかったわ」
「だよな。なんか俺たちの位置を分かって来てるみたいじゃないか?
魔物のくせに………おかしいだろ?」
「一回引かないか?」
イルギの声にダルカも賛同して一斉に引き返した。
階段までくると、すぐに帰っていく。
「ここまでは…来ねーな…」
「一体何だったのよ〜!これじゃ〜持たないわ〜」
服がボロボロになったのが気に入らないのだろう。
レイアはずっと文句をいっているのだった。




