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最弱冒険者はパーティーから捨てられる  作者: 秋元智也
旅の始まり
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13話 怪我の治癒

第4層まで降りてくると遠くで何かが飛び跳ねた気がした。


「ここはうさぎだってよ?ここのうさぎにはツノがあるからそれが

 まぁまぁ売れるって話だぜ?」

「いいわね!うさぎなら楽勝じゃない〜」


見た目は確かに可愛い。

が、向かってきた時のスピードが尋常じゃなかった。

真っ直ぐに来ているだけなのに跳ねながらのせいかダルカの剣が擦

りもせずに空振りに終わった。

すると一気に後衛まで走ってきた。


「ちょっ…何やってるのよ!…きゃっ!」


避け損なったレイアの太ももにウサギのツノが刺さる。


すぐにナノがナイフを突き立てて殺したが、深々と刺さった太もも

から血が溢れ出てきた。


「ちょっと痛いわ!カイト、ポーション出しなさいよ!」

「はい、これっ……」


差し出す前にひったくると一気に飲み干した。

が、それで治るわけではない。


あとはカイトがヒールをかける。ゆっくりだが、痛みが引いて行く。

傷口からの出血もなくなり、傷が塞がって行く。

その間もカイトの作った劣化版ポーションを足にかけながらヒールを

繰り返した。


「早くしなさいよ!これじゃ戦えないじゃない!」

「待ってよ…結構これ中まで抉ってるんだってば……」

「知らないわよ!あんたが避けるからでしょ?」

「それは……」


一角うさぎが来た瞬間カイトは素早く避けていた。

あろう事か、全く避けもしなかったレイアに標的を変えたのだった。


避けない方が悪いのだが、冒険者にはよくある事だった。

逃げれない人間はダンジョンではやっていけない。

魔物も馬鹿ではない。

必ずしも前衛だけを狙うわけではないのだ。


今まで木の陰で魔法を唱え、ダルカたちがダメージを与えた後だっ

たり、気を引いてる隙に一気に魔法をぶちかましていた。


しかしここでは一本道で、丸見えなのだ。

前衛を抜けられたら、すぐに自衛できなければ生きていけない。


悔しげに何度も愚痴を漏らしていたが、傷が治るとホッとしたのか、

杖を持ってダルカの後ろへと戻った。


「レイアっ…あれ返してよ…」

「何よ、くれたんでしょう?返すわけないじゃない!それより、し

 っかり集中しなさいよね、まったく」


戦闘中に余計な事を言うなと言葉にすると行ってしまう。


ぽいっ、ぽいっと後ろに放り投げられてきたうさぎの死体から角を剥

ぎ取る。

鞄にしまうと肉と皮に分ける。


ダンジョンに入る前の資料にも書いてあったが、うさぎの肉は美味し

いらしい。このダンジョンでは唯一の食肉だという。


奥へ潜りたければまずは肉の確保が優先なのだと…。


ヒールは療す事でもあるのだが、浄化の上位版なのだ。

よって、肉にヒールをかけておくと、鮮度を保ったまま保存できた。


これはカイトしか知らない。

母親から聞いた話だったが、誰にも話していないからだ。

金色の翼のメンバーは常に新鮮なものを食べているのもこのせいな

のだが、気にも止める者はいなかった。




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