表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最弱冒険者はパーティーから捨てられる  作者: 秋元智也
旅の始まり
13/163

12話 賢者の試練、上層

パーティー『金色の翼』は結構連携の取れたパーティーだと思う。


前衛二人に後衛一人、補助が一人。

後ろで眺めながら魔石と回収するカイトがみんなの戦い方を見な

がら黙々と魔石を取り出してはバッグに詰める。


「そろそろこの辺もいい具合だな〜」

「そうね〜、この辺じゃ物足りないわ〜」


レイアの言った通り、ダンジョンに入ってから一層目はほとんどが

スライムばかりで歯応えがなかったので、早々に2階に降りてきた

のだが…。


2階に降りるとトレントが出てきた。

枯れた木のような魔物で少し硬いが魔法ですぐに燃える。

しかも動きも遅い為攻撃も当たらないので楽勝だった。


レイアを調子付かせるのには十分だっただろう。

ただ、トレントは魔石がない為、倒してもあまり美味しくない。

経験値はいいが、ドロップアイテムもレアで数百倒しても出るかど

うかだった。

その為、次の階層に降りてきたのだ。

そして今いるのが、第3層。


ゴブリンが数匹ずつで向かってきている。


ゴブリンは群れでいるとかなり厄介だが、2、3匹だとそう驚異では

ない。

次々と屠って行くと、後ろで死体が山のようにできていた。


「ちょっと、カイト何やってるの?早くしなさいよ」

「無理だよ。解体ばかりしていて刃こぼれしてるし……」


そう言うとカイトは持ってきた砥石でナイフを研いでいた。

さっきからずっと解体ばかりしていて、戦っている人よりも多く酷使

しているのだった。


見かねたイルギも解体を手伝うが、どうにも戦うのと勝手が違うせい

なのか上手く、切れない。


「おい、カイト。どうやって捌いてるんだ?」

「これは…ここをサクッと、ちょっと待ってね」


カイトは研ぎ終わったナイフを手に持つと腹の下からサクッと差し込

むと。一気に引き裂いた。


さっきまで刃が入れなかったイルギにはびっくりするほどの切れ味だ

ったのだ。


「それ、俺のも研いでくれるか?」

「いいけど…刃こぼれしてた?」

「最近買ったばかりだが、ちょっとな…」

「分かった。ちょっと待ってて…」


そう言うと、カイトはイルギの武器の短剣を研ぎ始めた。

そのやりとりを見ながらダルカも剣を構えると腹に突き立てた。


ザクッ…グチャッ……グチャグチャ……


目を背けるレイアとナノを無視して魔石を取り出す。

肉にくっついていて、なかなか取り出せない。


その間に研ぎ終わったカイトから短剣を受け取ったイルギがゴブリン

の腹を同じように切り裂いた。


さっきと違って手応えがない。

サクッと切れると魔石の近くの肉も素早く割いていった。


「…」


「どう?切れそう?」

「あぁ……」


カイトのが非力だったがずが、ここまで違うのか…。

刃物の手入れだけで違い過ぎると感心したのだった。

イルギは重装士のスキルを持っているせいで力だけが人よりあった。

力でなんでも無理矢理やってきたが、解体のような細かい作業は苦手だ。


「おい、カイト。後で俺の斧も研いで貰えるか?」

「いいよ、でもまずはこれが終わったらね」

「あぁ、それで構わない。」


イルギは常日頃から、カイトを疎ましく思っていた。

回復が使えても遅いし、ポーションとの併合だったからだ。

それならいっそ戦えないカイトよりも神官を仲間にしたいと。


常に回復があれば多少の怪我でも恐れず戦える。


タンクもやるイルギにはそれが理想だった。

だが、神官は教会から派遣される。


高い金を払ってレンタルするのだ。

今のパーティーでは払えないような額だと聞いていたからだ。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ