106話 スキルの改変
全員のスキルが消えた事で、もう勇者パーティーとは
呼べないものになった。
どんなに足掻こうとスキルは神がくれた恩恵だと信じて
いる人には分からないだろう。
これは神の掲示でもなければ、ただ偶然発動したものに
過ぎない。
だから消し去る事もできるし、逆に付与する事も出来る。
それはリリーが長年かけて研究し、自分に施したのだっ
た。
だが、その研究は誰の目にも触れる事はなかった。
もし誰かに見つかっていたのなら、きっと多くの人がそれ
を使っていく種類ものスキルを行使出来るようになってい
た事だろう。
それをよしとしなかったのが、リリーの誠意だったのだろう。
最期に弟子を取りたいと思ったのも、そのせいかもしれない。
人間でありながら何年も生きていたというのがあり得ないと
思う。
が、現に昔の魔王討伐時に勇者パーティーにいた魔法師だと
いうのだから、感慨深いものがある。
世界樹の森で暴れた彼らを縛り付けるとエルフ達に渡したの
だった。
「これを持っていきなさい」
「これは……世界樹の葉ですか…」
「そうじゃ、ただし…これは世界樹が自ら落としたものじゃ。
世界樹は不思議な生命を宿すと言われる樹木なんじゃ。引
きちぎるように葉を取ると、すぐに萎びてしまう。じゃが、
しっかり世話してやると、自ら葉を落とすんじゃ」
「へ〜そうやって葉を手にするんですね……」
「そうじゃ…お主には仲間が多く助けられたからの」
そう言うと、後ろにはカイトのポーションで大怪我を負って
いた人達が集まってきていた。
「先ほどはありがとうございます」
「俺達の命の恩人です。あのポーションはすごい効き目です
ねー、もう腕を諦めていました」
「俺なんて、下半身が潰されて死んだって思ったんだ!あり
がとな!」
各自言いたい事はあるだろうが、それを長老が止めた。
「それくらいにせい!困っとるじゃろ?」
こんなにエルフ種族が親しげだとは思わなかった。
まるでよそ者を寄せ付けないイメージがあったからだ。
「わしらは、人間が嫌いでのぅ……じゃから盟約を結び、
不可侵条約としたんじゃ。考えが甘かったんじゃな」
「これからどうするかは、お任せしますよ。彼らはもう
勇者ではなくないし、どんな沙汰でも下せると思います
よ?」
「それは……じゃが、鑑定をかければわかるじゃろう?」
「いえ、もう、スキルごと消してしまったので」
にこやかに言うと、奥からエルフの青年が鑑定紙を持って
きた。
ラキスの手に触れさせるとレベル、名前から各情報が出て、
スキル蘭には何も書かれてはいなかった。
エルフ達はみんな木属性のスキルがついている。
これは伝えられるものだからで、人間は色々なスキルを持つ
と聞いていた。
だが、まかさ教会で受けるスキルは消してしまえる事もある
のだと、驚いていたのだった。




