103話 勝てない相手
森に住むエルフ達はほとんどが風魔法か、木を操る魔法しか使えない。
他種族に比べて魔力も多いし、魔法適性もほとんどのエルフ達があった。
が、火炎魔法を防げる程の魔法は持っていない。
飲み水を出すくらいは出来ても、火の攻撃を打ち消す程の水魔法に適正
がある者などいなかった。
「ここまでか……」
人間達は、色々な属性が使えたり、産まれた時に付与される事がある。
が、エルフ達にはそれがない。
教会でスキルをもらう事もなければ、神からの祝福をもらう事もない。
里の者が、自分のスキルを他者へ分け与えるという形で受け継がれて
きたのだ。
だから単一の魔法だけが発展したのだ。
これは閉鎖的な里にはよくある事でもあった。
「手も足も出ねーだろうな〜。イーサの魔法食らって生きてる奴なんてい
ねーだろ?」
「世界樹には当てるなよ?」
「えぇ〜。それって難しいわよ〜、このくらいでいいかな〜」
魔力を止めると、一気に振り翳した。
そして大地に向けて一気に放つ。
世界樹の根本に居るエルフ達へと放たれたる。
大地を抉って、木々を焼きつくし、一気に始末がつく。
そんな光景を想像していたはずだった…
が、思いもよらない事が起きたのだった。
ちょうど、火球が無かった先に、後方から何かが飛んできたのだった。
そして大きな水の塊。
それが世界樹の周りの空間を一気に埋めつくしたのだった。
もちろん火球も即座に飲み込まれ威力を失うと、鎮火してしまった。
魔力で作られた炎は魔力で作られた水でなければ消えない。
と言う事は、これは魔力で作られたものということになる。
それができる魔法使いがエルフの中にいるとは思えなかった。
もしいたのなら、もっと楽に戦況を変えられていたからだった。
という事は……今飛んできた人物がそうなのだろう。
見た目、フードを被っておりエルフかどうか迷った。
が、魔力が尋常ではなかった。
イーサには分かる。
誰がわからなくても、同じ魔法使いなら自分と相手の力量くらいは
把握できたのだった。
もちろん、カイトは森で歩き回っていた時は魔力を極力隠していた。
が、さっき一気に魔力を使った時に解放していたのだ。
牽制としてもこれで良かったと思っている。
「いってぇ〜……えーっと、みんな無事そうだね……」
「おいおい、今度は誰だよ?」
「えーっと勇者の称号を持つラキスさん、そして最年少魔法使いで
有名なイーサさん歴代聖女の中で1番優秀だというイザベルさん
あとは……確か、そうそう格闘家のアンさんだったかな?練習試
合いで相手を殺すまで殴ったって言ったっけ?」
結構このパーティは有名な人の集まりだった。
いわゆる問題児のだ。




