表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最弱冒険者はパーティーから捨てられる  作者: 秋元智也
旅の始まり
100/163

98話 オークの侵攻

エルフの村では迎撃体制が整いつつあった。

先行隊として数人のエルフの戦士が先に偵察へと出ていた。


そこで見たものは、ありえないほどのオークの大群だった。

そもそもオークがここまで一糸乱れず来る事自体が異常だった。


「これは……ジェン、エリン、急いで族長に伝えに戻ってくれ」

「ハーベスとフルーマンはどうするの?」

「俺たちはこのまま偵察してから帰るから…」

「安心しろ、ハーベスと一緒に戻るから」


男性の二人のエルフがそこに残り、来たばかりの女性のエルフには

戻るように指示を出していた。


「分かったわ、絶対に突っ込んじゃダメよ!」

「私達が応援を連れてくるまで見つからないでね」


二人が森の中を器用に枝を蹴ってかけていく。

残された二人は顔を見合わせると、頷いた。


「悪いが、少し時間稼ぎをするか…」

「あぁ、援護は任せろ」

「そうだな、信用してるぞ」

「生きて帰ってあいつを悲しませる訳には行かないからな…」


さっきの女性を見送ると、前を向き直った。


弓をつがえると魔法をかける。

矢の周りを風が絡みつく。


「いくぞ…」


放った矢は先頭のオークに命中すると、周りを巻き込むように大きな

竜巻へと変わった。


そこに、追い討ちをかけるように炎を放つと、巻き込まれたオークを

焼き尽くす。


逃れようと逃げ出そうにも火に包まれて体力を奪われる。


「もういっちょ行くぜ!」

「あぁ……ん?」


もう一度矢をつがえた瞬間、何もない場所から氷の刃が飛んできたの

だった。


枝の上から矢をつがえていたエルフは一瞬にして直撃を喰らうとその

まま地面へと落下していった。


もう一人は気の後ろに身を隠すと、周りを警戒した。


「なんなんだ今のは……オークにあんな攻撃はできない……だったら…

 おい、ハーベス、ハーベス聞こえるか?」


地面に叩きつけられたまま動かない仲間を呼ぶが、反応はなかった。


「チッ……」


舌打ちをするとそのまま踵を返して逃げ出していた。

姿が見えない敵には、対処のしようがない。


今は撤退するべきだと判断したのだろう。

それは間違ってはいなかった。


が、敵に背を見せる事がどれだけ危険かを、理解していなかった。

こっちからは見えなくても、敵からは丸見えだという事に考えが至ら

なかった。


上空に舞い上がると、枝を飛びつる瞬間。

まさに、その瞬間に足元から炎に包まれると一気に骨も残らぬ火力で

燃え上がると塵となったのだった。


唯一のエルフの戦士の証だけがその場に転がった。

燃える寸前、懐から転がり落ちたのだろう。


倒れたままのハーベスの上に降って落ちてきたのだった。


「なーんだ、つまんないの……もういいわ、蹂躙しちゃってよ」


つまらなそうに言うと、オークに命令した。

オークの群れはなんの疑いもなく、イーサの言葉通りに進んでいく。


そして、イーサは姿を再び消すと、その場から離れていったのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ