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覇者の実力

「何がおかしい?」

 一之瀬は無意識にも笑みを浮かべている俺に問う。

 恐怖なんて俺は感じた事がない。だがそれでもコイツの前では恐怖を感じた。それが、久しぶりと感じてしまったのだ。

 過去に、コイツに恐怖を感じた事があるような気だってする。

「貴方に、恐怖を感じてるんですよ。」

 実際、それだけの実力、実力差が一之瀬にあるはずだ。

「俺は、慢心している強者が嫌いだ。さらに努力で才を伸ばせるだろうと思っているからだ」

 一之瀬は近寄ってきて一発殴りを入れてくる。

 俺は今度は避ける事が出来た。一之瀬は本気で涼しい顔をしているのだろう。本気の十分の一出してるか怪しい。

 まあ俺も全然本気じゃない。その事を一之瀬は気付いているはずだ。

 また、話し出す。

「お前、最低でも…Sに行けただろ?俺から見ると手を抜いていたようにしか見えなかった。」

 一之瀬は静かに、こちらを見ている。キレているようだ。

「更にお前は見立てなら現時点、流奈よりも実力があるだろう?」

 俺に回答を求めているようだ。

「流石に買い被りすぎです。」

「まあ、お前の攻撃を見たわけじゃないから分からないが、俺の攻撃を受けて四肢が一つも取れていない。確実にお前はDなんかにいる人間じゃないんだよ。」

 一之瀬はこっちに身体を向けて、

「答えろ」

「試験で、そういう結果が出ただけです」

 俺は、静かに返す。腕が動くのを確認しながらだ。

「試験を真面目に受けなかったのか?」

「動物に会えなかったんです。」

 一之瀬は俺の発言に何かおかしい所が有ったのか、笑い始めた。

「動物は強者に寄っていくように教育している。それでもお前が会わなかったって事は避けてたって事だ。」

「今回の試験は、索敵も求められた。単に戦闘能力を測るなら人間同士のやりあいで良いです。だけど、この学校はそうじゃない。」

 俺はしっかり言葉を返していく。

「じゃあ俺がちゃんと確かめてやろう。」

 一之瀬の顔が少しずつ笑みに変わっていく。

「……マジか…」

 俺は静かく漏らすが一之瀬の耳には入らなかったようだ。

「後で試験管に言っとこう。こんな逸材をDなんかに…お前の目は節穴だって…」

 一之瀬は消えた。というより視界外に跳んだ。

次の瞬間、拳が頸の後ろに飛んでくる。

 俺はそれを身体を前に倒し、紙一重で避ける。

 この人、俺を殺しに来てる…

 本気を確かめる気だ。

 信じられない緊張感だった。

 コイツが…この人が、世界最強だ…流奈なんか比べ物にならない。

だが、そんな物で俺が本気を出すとでも思ってるのか?

 汗が頸に垂れる。

 この速さ、汗を拭いてる暇なんてない。クラスの者達は少しずつ避け始めた。危険だと本能が察知したのだろう。

 また、速くなった。もう先生の動きを視認する事は厳しい。ほぼ勘で後ろに跳んだ。そこでなんとか一発タックルを避ける事が出来た。

 こんな攻撃まともに喰らったら骨砕けんだろ!

「お前は今本気を出す気はないのか。得物は?どうする?」

 先生は趣味の悪い笑顔を浮かべる。

「得物なんて出したら、殺し合いじゃないですか…」

 先生は懐から得物を取り出す。包丁だ。

「俺は、そういうつもりだぞ?」

 汗が額から流れる。

「生憎と、俺はそんな物もってません」

 一之瀬はまだ、笑顔のままだ。

「死に面した時人間は抵抗したくなる物だ。」

 と、言って。

 急に包丁を持って俺に突っ込んできた。

 俺はギリギリで蹴りを腕に入れる。一瞬怯んだかと思うと一秒無い間にまた、突っ込んできた。

「ここに来た目的は?」

 一之瀬は走りながら聞いてくる。

 俺は返さない。返したら負けだ。こういうの。

「まあ、Dはろくな授業を受けさせてもらえなかった。俺がやると言って無理やり授業を受けさせられるようにした。」

 俺は一瞬目を見開く。驚愕した。その事実に。

「なぜなら雑魚に、努力で勝ち取らせたいからだ。」

 俺はこのDの人間を雑魚と呼んでいる先生は心底彼らをバカにしていることに気付いた。

「こんな事アイツらが聞いてたら引かれますよ…」

 俺は苦し紛れに先生と話をするが、少しずつ、気づいてきた。

 普通に速く刺されるが、一発も当たらない。普通に避けられる。

 いや、遅い。ということは手を抜かれていると言う事だ…

 次の瞬間、腹部に衝撃が走る。腹部に視線をやるとそこには脚。

「以外にこういう攻撃には気付かない。」

 少し飛ぶが、そこの着地に攻撃を合わせてくる。

 俺は先生の肩に着地して、避ける。

「危ないですよ…」

 一之瀬は、

「さっきも言ったが俺はDの奴らに努力で勝ち取ってほしい。だがお前は、才能がある。だからこういう仕打ちを受けてるんだぞ?」

 次の瞬間に刺されていてもおかしくはない。

 俺は先生の肩から背面に跳んだが、一瞬で半回転され先生はジャンプし、俺を空中でぶん殴った。

 俺より先生が高く飛び、上から殴ってきたので、俺は背中に信じられない程の衝撃が走る。

 これでもまだ本気ではなさそうだ。

 先生は俺の顔を見ずに、

「まだ、戦うのか?」

 俺は、立って反応した。

「耐久力が凄いな。てかなんで反撃してこない?俺が虐めてるみたいだろ?」

 これが…覇者の実力…はて、普通に戦ったらどうなることやら。

「普通の学園は先生に反抗なんてしたら退学でしょう?」

 と、俺は先生に言う。

「能力主義。詳しく考えれば能力が万能だったりしたら強いだろ?言い換えれば実力主義とも言えるな。」

「だから、覇者の俺の言う事は全部通る。まあ、覇者…評価はZと言った所か?」

「自分が覇者だって普通に明かすんですね。」

 俺は少しでも体力を回復させるため、時間を稼ぐ。

「お前は知ってただろ?で、俺の言う事は全部通る訳だから俺は何があってもお前を退学させない。」

「だからと言って反撃しても俺の実力じゃあ、先生に傷一つ付けれないですよ。俺に対して言ってるのは先生の勝手な評価ですから。」

 そういえば流奈にも勝手に強いとか言われたなあ…

「俺の勘は俺が一番信じている。」

 彼は、自分が最強だから、自分の実力を信じている。勘もその中に入っているのだろう。

「結局なんで俺はぼかすか殴られてるんですか?」

「お前の本気を見るためだ。」

 先生の表情が真面目なものに変わる。

「だから先生の勘は外れてますって。」

「謎なお前。そんな奴の実力を見たくて何が悪い?ハズレだたっとしても結構強い事には変わらない。」

 一之瀬は絶対に引かないようだ。俺が強いと確信している。

「俺は全て吐かせる。お前の気になる事全て。特に実力がバレなかった所とかな」

「言わなかったらどうなるんですか?」

「死んでも文句は絶対言うなよ」

 この言葉を境に、包丁が飛んでくる。反射的に避けたが次の瞬間には先生はいなくて、後ろで包丁を持っていた。

 どんな速さしてるんだ!!

 この速さでどう避ければいい…考えろ…今までの知識を全て引き出せ!

 全て少しも話すつもりはない。なら!

 俺は作戦を実行するのであった…


先生かっこいいよね

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