試験
投稿頻度が…
「ところで貴方、実技と頭脳、どちらを受けるの?」
屋上で座ってすぐにその質問は飛んできた。
「俺は、実技を受ける。頭脳は試験勉強とかありそうじゃん」
俺が少し面倒くさそうな顔をすると、
「…本当の一人称は俺なのね。頭脳もただの勉強ではないらしいの。サバイバル知識に近い感じ?みたいな」
琴乃が説明する。琴乃はやはり頭が良く、頭脳を受けるらしい。
「実技って何すりゃいいか知ってるか?」
俺の質問に琴乃は、
「三時間、島に連れられる。獰猛な肉食動物を倒すとポイントが貰える。これを十ポイント集める。毎回千人近く参加するそうで、十個の島に分かれるらしいわ」
やはり、人数が多い。それもそのはず、七星学園は世界最高峰なだけあって卒業すれば未来は約束されているような物だ。
ま、その卒業できる者が少ないのだ。
「スマホ貸して、蒼生」
琴乃は俺のスマホを取って、受験の手続きを始める。ちゃんと実技にしてくれたようだ。
受験日は丁度一週間後で申し込みは今日までであった。
そして準備が終わり、これからの一週間、琴乃は学校を休むらしい。
どこから出るか分からないため、今まで以上に勉強するつもりなんだろう。
そこから他愛のない雑談をしながら家に着き、俺は準備を始めた。
それから一週間が経ち、受験会場に俺はやってきていた。
そこはほとんど港のような所だった。船が何隻もある。
周りには数百人の人が立っている。
次の瞬間、マイクの音が聞こえる。
『受験生の皆さん、おはようございます。ルールは知っていると思いますので、船に乗り込んでください』
俺は船に乗り込んだ。このマイクで何かを言った者は俺を見て、何か驚いているように感じられた。
俺が乗ったのは三隻目の船であった。
十ポイント分三時間で稼げば良いのか…一匹で何点貰えるんだ?
そこで責任者のような人がやってきて時計のような物全員に取り付けている。
その画面には〇点と表示されている。現在のポイントが分かるそうだ。
そしてしばらく船に乗っていると島が見えてきた。
また島の港に到着して、降りる時に、
「普通に戦って死ぬかもな」
と言う声が聞こえた。
なんだ?熊とかでもいるのか?
と考えていたらマイクで、
「十点取った者から迎えに行きます。それでは、始め!」
九十九人の人達が一気に走り出す。出遅れたのは俺だけ。
少し人が居なくなるのを見てから、
「近くの生命体をマークしろ」
と少し言うと、俺の視界は周りにいる動物が壁などすべてを貫通して見えるようになった。
多分、速く倒せば倒すほど教師からの評価は上がるのだろう。それは、注目されるという事になる。
色々面倒くさそうだし時間ギリギリで倒して評価を落とすのが優先事項か…
この島には約千匹の動物がいる。肉食動物も多くいるようだ。
ギリギリになっても多分余っていることだろう。
そして、少しずつ倒そうと思い、弱そうな鳥の所へ向かっていると、熊が突っ込んできた。
このままじゃ俺が殺されると思い、一発殴って殺してしまった。
「弱いな」
独り言を漏らすと、
「アンタ、私の獲物取らないでもらっていいかしら?」
と、謎の女性が俺の前に立ちはだかる。
『三ポイントが追加されました』
時計から音が鳴る。
「いや、これは漁夫っても倒したもん勝ちだろ」
俺がゆっくり返すと、
「まだ私は一撃も与えて無かった。一発で倒したって事は実力者でしょう?」
彼女は一つ言うが、
「いや、別の誰かが逃がしたのをやった可能性だってある。」
ふと時計を見ると人にポイントをプレゼントできる機能があった。
俺は無言でそのポイントを目の前の女性に渡し、後ろへ走った。
「なにしてるの?」
困惑の声が聞こえてきたが面倒くさいのでさっさとずらかろう…
奴は谷川流奈。よくテレビに出ている者だ。今世紀最大の天才とか言われている。らしい。頭脳も実技もずば抜けて出来るんだって。
文武両道ってすごいよねえ。
奴の能力は想造。脳内でイメージした物を作れる。
俺はそこから二時間程人や動物と会わないように木の上で昼寝していた。
空中浮遊で上ったが、誰も見ていないのを確認してから上った。
起きて時間を確認したら残り三十分で良い感じに人が減ってきた。
降りたら、鳥とかを十匹倒し、船に乗り込ませてもらった。
俺が乗るとマイクで声が聞こえた。
『皆さん三十人が試験突破者です。別の者は全員死にました。』
と、残酷な声が聞こえてくる。
椅子に腰かけ、船が動きさす。学校も島にあるらしく、更に海の奥へ進む。
そこから時計を返却し、レベルで分けられた。突破順だ。
S、A、B、C、Dの五段階のレベルがあり、突破者六人ずつが割り振られた。
よし、俺は一番目立たないDだ!
その後、少し仮眠を取っていたら横の者に揺られて起こされた。
「行くぞDの教室に」
そこは港だった。港の大きさだけでも多分先刻の島の半分程あるだろう。
「ああ、ありがとう。俺は七瀬蒼生。よろしく」
俺が名乗るとその男は
「僕は、霧日唯月。僕もよろしくね七瀬君。」
彼も、学校で虐められていて、ここを卒業し、自分を虐めていた奴に一泡吹かせたいらしい。
そして、俺達は自己紹介などしながら話していると、Dの教室に着いた。
そこには三十人程度の者達。この者たちが底辺なのだろう。
ここは体育館のような所だった。舞台にいた者が話出し、そちらに視線を向けると、先刻俺を見て驚いていた教師だった。
「俺は一之瀬雄斗。この学校の底辺、Dを教育するための者だ。先に説明しておこう。好成績を収めたら上のレベルに上げてやるよ。」
と、説明する。レベルが上がるならこの中でも底辺を取り続けることをするしかないか。
俺は気付く。コイツは過去に最恐の王を殺した覇者として、世界に英雄扱いされていた。だが、急に表から姿を消した…
一之瀬が生徒達を見ていると、
「なんでお前がここにいる?」
と、俺の方向に向かって話しかけてきた。
次の瞬間、俺の目の前に跳んでくる。化け物みたいな速さだ。
タックルしてきたが俺はなんとか紙一重で避ける。
また、右腕が飛んでくる。今度は避ける事が出来なかったが、俺は左手刀を一之瀬の右手首に直撃させ、拳の威力を落とす。
だが普通に拳は腹に当たる所だった。咄嗟に右腕で拳をガードする。
十メートル程後ろに飛ばされ、背中に衝撃が走る。
壁に当たったのか…と、瞬時に理解した。
「なんですか先生!」
俺が一瞬の隙に大声で質問する。
一之瀬は俺のセリフに動きを止め、一言生徒へ質問した。
「今の動き見えてたか?」
「消えたようにしか…」
生徒の大半は同じ意見だった。
「俺の攻撃を受け、受け身まで取れている。おかしいだろう?」
一之瀬は不敵な笑みを浮かべている。
「ギャンブルです。この辺に来るかなって。」
俺はすかさず返す。
こんな状況、久しぶりだ。恐怖まで感じる。
だが俺はこの状況を楽しんでいた…
中二病、かっけーだろ